悪目立ちより希薄な存在感
わたしは目立たないし、存在感はあまりない。
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小学生高学年頃に早すぎる成長期により、悪目立ちしたことはあるけど、それがトラウマになっているから、それを抜けて、元々のように大勢の中に埋没できるようになると、心底ホッとした。
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小学生高学年で160センチ近く身長があった(昭和の時代には珍しかった)ので男女合わせても頭一つ分出ていたから、みんなからすれば異物感ありありだったんだろう。
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結果的にいえば、現在のわたしの身長は160センチで要するに中学生になると伸びが止まった。
でもまぁ、その年頃の女の子にとっては、からかいやら、何よりも女の子と認識して貰えないのは、かなり堪えた。
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気にしていると思われるのは無けなしのプライドが許さなかったのか
『ワタシモ ジブンガ オンナノコ ダトハ オモッテナイカラ ヘイキ』
だから大丈夫、というフリをしていたけれど内心はズタズタだった。
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そして、やっとやっと。
元々、スポーツができるとか、勉強ができるとか、美しいとか、そういう意味で目立つことも無い、地味な少女だったから、この身長問題で目立たなくなると、本来の状態に戻ってきたのだ。
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自分からしたら、かなり思い切った言動をしたつもりでも、目立たない。
どうも、わたしの思い切ってしたことは、他の人の普通にすることと同じようだった。
だからといって大胆不敵になれたのかといえば、そうではないのだが。
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個人的に悪目立ちの恐怖が染み付いているから、希薄な存在感は有難い。
この、大勢の中の一人でいられる安心感よ。
なにか飛び抜けて優れていれば、また違っていたのかもしれないけれど、人並みでも精一杯の身からすれば、目立たずに隅っこでひっそりと……が、どれだけ安らげることか。
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それでも、少しは自己主張するようになったのだ。
希薄な存在感自体は有難いのだけど、あまりにも退き過ぎると、この人には何を言っても何をしても大丈夫と思われてしまう。
それはそれで困るし、気分のいいものではない。
この辺は難しいところだと思う。
好きなように
だから、言うべき所は伝えて、怒るべき時にはキチンと怒りをあらわすべきだろう。
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それがわたしは、下手なのだ。
できれば議論したくない。
とにかくゴチャゴチャしたくない。
多少の我慢なら自分がして、場を収めたい。
卑怯かもしれないが、ついついそう思ってしまう。
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議論一つにもパワーは必要だ。
きちんと自分の意見の言うべきところは言って、相手の意見をちゃんと聞いて理解する、これを根気よく続けなければならない。
若い頃には若干なりとも、それが出来ていたというか、そうするための努力をしていたのだが。
今は、そんなパワーが、もう無くなった。
あまりにも一方的に決めつけて投げつけられた言葉に対してでも、自分の考えは伝えるし、自分なりの誠意は尽くすが、それ以上のこと、意見の交換までしたいとは思わない。
もうそこまで向き合う余力は、わたしにはない。
***
空気のように、何事もなく漂い続けたいと願うわたしは、冷たい人間なのかもしれない、と思ったりするけれど。
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