40パーセントの幸せ

 まだ若い頃、結婚する前の話。

 買い物に行ったデパートの片隅に占いコーナーがあって、そこで占って貰ったことがある。


 手相だったか占星術だったか、もう忘れたけど、結婚運について聞いてみたら、今、お付き合いしている人との相性は、あまり良くないと言われた。

「幸せになる確率は40%でしょう」


 その時は結婚式を数ヵ月後に控えていたから、かなりショックだったけど、占いで破局なんてのは馬鹿げてるし、0%じゃなくて40%あるんなら、あとの60%、愛と努力で足したらいいさと思ったのを覚えている。


 なんだろう、そういうのに左右されるのも負けるのも嫌だったのだ。


 それにしても40%というのは微妙だなぁと思う。


 結果的に結婚した夫は若くして亡くなってしまったわけだし、まぁ、色々あったりもしたから、結婚ということで言えば、40%というのは当ってたといえばそうかもしれないけど。


 でも、負け惜しみじゃないけど、これが40%なら、満更、悪くないんじゃなかろうか。


 我が人生のプラスとマイナス。


 飢えることもなく、住む場所があり、三人の息子に恵まれた。

 親子で迷走もしたけれど、今、三人とも元気で、頑張って生きている。


 この子達がいなければ、夫も亡く、父母を見送ったあと、一人娘のわたしは、どれほど寂しかっただろう。


 無いものばかりを思えば、不平不満ばかりで人生は楽しくなくなる。

 40%しか、じゃなくて、40%あると思えば、ここにあるものが、しみじみと愛おしくなる。


 落ち込むこと、どうにも笑えない日もある。

 失敗は数限りなく、弱音も吐くし、世を恨みたくなる時もある。


 でもまだ、ありがとうって思えるから。


 こうして今、生きている。

 わたしは確かに幸せだ。

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