創る

何かをつくるには、作者は少なからず、自らの魂を削って差し出さねばならない。

それほどにしてはじめて、他人ひとの心に響かせることができるのだ。


 ──なんてことを、何処かのヘッポコ詩人が、それらしく呟いたとかなんとか。


 しかし、確かに何かをつくり出すということは、厳しく孤独な作業でもある。

 まず、自身が終わらせない限り、終わることがない。

 1つをつくっても、それで満足すれば創造そうぞうの旅は、そこで終わる。

 それでもいいのだ。

 誰から強制されているわけでもないのだから。


 でも、どっぷりと"つくる"ことに取り憑かれた者は、そこで止められない。

 衝動を抑えられない。

 自身を削り、絞り出して、なお先の見えない、"つくる"ことを渇望する。


 これはもうごうであろう。

 もっと、もっと……まだ……と探し続ける。


 これほどしても、その作者と作品が後に残るのは砂漠の中の一粒。

 儚く消えていくばかり。

 残酷といえば、こんなに残酷なこともあるまい。


 それでもつくり手たちは、灯火に向かって突き進む。

 憑かれてしまったから。

 

 その創造そうぞうよろこびに……。

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いつかこんな冬の終わりに つきの @K-Tukino

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