複雑と単純。そして話は飛ぶ
人の不思議さ。
わたしの不思議さ。
***
変なところで複雑に考えすぎて、自分で自分に糸を巻き付けて、身動き出来なくしている。
ちょっと自分のシッポを追いかけてグルグルしている犬にも似ている。
変な生真面目さとポカンと抜け落ちたようなズボラさ。
犬も猫も好きだし可愛いけど、わたしは猫には、なれないなぁと思う。
あんな風に自由に軽やかには。
神秘的にも、しなやかにも。
犬が好きなのは要領の悪さというか、単純さというか、そういう部分に自分を重ねてしまうからかもしれない。
犬の方が、わたしよりずっと純粋だけど。
人間って厄介だなぁと思ったりする。
余分な心の贅肉がついていて息切れしてしまって。
考えることは大切だろうけど、考え過ぎて難しくすればいいというわけでもないだろうに。
かといって、肝心なところで疲れてしまうんだから世話ない。
*
そのくせ馬鹿みたいに単純だったりするのだ。
*
読みたかった本の1ページ目を開く時の、あのワクワクする気持ち。幸福感。
これは、本好きなら誰もが感じる喜びだろう。
こんな時、その本は厚ければ厚いほど良い。
物語が長ければ長いだけ嬉しい。
ずっと、その世界に居られるから。
その一文字一文字を、愛おしみ尽くしながら読む。
あまりにも、その世界に留まりたい時には、途中でワザと一旦、本を閉じたりする。
それから大切なお菓子を、ちびちびと
最後が近づいてくるにしたがって、親しくなった友人達と別れなければいけないような寂しさに襲われて、少しまた本を閉じる。
留まりたいけど、それでも読み進めずにはいられない。
この物語の終わりを見届けずにはいられない。
そして、サヨナラの時が来る。
登場人物たちは去っていき。
わたしだけが、まだ去りきれずに其処にいる。
寂しいのだけれど、まるで、ひとつの人生を生ききったような充実感があって。
そんな宝物のような本が何冊もある。
*
ああ、まったく、わたしの話は飛ぶ。
考えすぎてグルグルしていて、糸が絡まっていて行き詰まって。
だのに、そんな中で、ふっと(大抵は本だ)気を取られて、手にして、いつの間にか、のめりこんでいる。
そうして、いつの間にか少し息ができるようになっていたりする。
だから本を読みたいと思ううちは、まだわたしは何とか大丈夫なんじゃないかと思う。
***
わたしの話は飛ぶ。
わたしは複雑なクセに馬鹿みたいに単純だから。
でもだから、なんとかこうして生きているのかもしれない。
こんな変なヤツだけれども。
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