タイミングは何故かいつもズレる

元々、わたしはお世辞にも要領が良いとはいえない。


縄跳びの『郵便屋さん』では、いつも入っていくタイミングがつかめない。

急かされてアタフタして、やっと入っては、縄にひっかかって無様に転ける。


***


考えすぎてしまうのだ。

考えすぎた挙句にタイミングを逸する。


今だ!と思うのだけど、一瞬迷ってしまう。

そうして、その迷いが決断を遅らせる。


集中力も、そこで途切れる。

焦りが出てきて、判断力も鈍る。

汗が吹き出してきて尚更に、のぼせたようになってしまう。混乱する。


焦りまくった挙句に、ズレたタイミングで行こうとして失敗するという情けなさ。



その上というか、クジ運も全くない。

何か良いものが当たる時には、わたしを避けるかのよう。

まったく当たった試しがない。


それなのに、頼むから当たらないで、と祈るように思っている時は、嘲笑うかのように当たるという皮肉。



ひょいひょいと華麗に要領よく、タイミングの波に乗り、スマートに渡っていく人だって世の中には沢山いるというのに……。


いや、そこまででなくていい。

そこまで高望みはしないけど、せめて人並みの要領くらいは欲しい。



意識しすぎるからタイミングを外すのだと、考えすぎないようにしようとするのだけど、

この、考えすぎないようにすることが、また難しい。


みんな、一体どうして、そんな軽々とができるんだろうか。

いつも羨ましく思っていた。

隣の芝生は、いつも青い。



間違ってはならぬ、終わりだと思うから、余計にガチガチに緊張して、タイミングを失う。

リラックスしていた方が、しっかりと機を見るに敏となるのに。


わたしの敗因は、この辺にもありそうだ。


***


しかし、わかっていても、なかなか難しいもので。

わたしの『郵便屋さん』は相変わらず下手で、やっぱりタイミングがつかめずに、今日も思い切り転んでしまう。


てのひらひじ、膝は擦り傷だらけでジンジンして泣きそうな気持ちだ。

それでも、人生の縄跳びは簡単に抜けるわけにもいかず、わたしは今日も縄跳びの順番を緊張しながら待っている。


いつか、少しはタイミングをつかんで飛べるようになりたい。


そう、思う。

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