器用貧乏

 確かに順応性は、そこそこにあるのかもしれない。


 器用貧乏というのは決してめ言葉でなく

『何事もそつなくこなすが、突出して優れたものも持たないさま』

 という意味だが、わたしの場合は、"そつなくこなす"というほど器用では無いのが、また何とも中途半端だ。


 そうだ、この中途半端というのが、むしろしっくりきてしまうのかも。


 気が小さくて小心者だから、とにかく失敗が怖くて、周囲や相手に合わせることに腐心する。

 頑張りすぎて(頑張るというのは本来、良いことではあるけど反面、頃合いを知らねば潰れてしまう)自己崩壊を起こす。


 特別な才能がないのは自身が一番知っているので、力を程よく調整しながら、が大切なのに、それが上手くできない。


 この歳になって、少しはマシになったが、それでも人としてどこか一本ネジが足りない、抜け落ちている。人並みになれない自分に泣きそうになることが多々ある。


 何ものにもなれなかった、わたしという存在を今更、いとおうとは思わないが(やっとそう思えるようになった)やはり、器用貧乏という言葉を目にする度に、しょんぼりとしてしまう、わたしなのである。

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