やまいだれ

 子どもの頃、それなりに病気にはなったけれど、お陰様で大病はしなかった。


 それが今では、持病で病院通いの日々。

 決まった時間に、片手にこんもりと山をつくる量の薬を飲む。注射は毎回緊張する、苦手。慣れることがない。

 このルーティンが命を繋いでいると知りつつも、ややもすれば気持ちは沈んでしまう。


 元々、活発に出歩く方ではなかったとはいえ、ぶらりと近場を散策したり、図書館や美術館の企画展へ行くのも好きだったのに、コロナ禍を境に、すっかり変わってしまった。


 行動制限、ソーシャル・ディスタンス……そしてマスク。

 手洗い、うがい、消毒の徹底は悪いことではないけど、もう三年が過ぎようとしている。


 厄災を前に人間ひとは出来うることをしてきたとは思うが、それでも一部の権力を持つ人達の迷走に振り回されている現実も確かにある。


 病気には誰でもいつでも、罹患りかんする可能性がある。それにしても自分自身の病もだけれど、こんなにも病んでいく日本くにをこの目でみることになるとは思わなかった。


 昔は良かったなどと言うつもりはない。

 実際、改善されてきたこと、便利になったことは沢山ある。


 でも、どうしてだろう、人々の疲弊は積み重なり、猜疑心さいぎしんは募り、心から笑えないようなこの日々。


 国もわたしも病んでいる。


 病んでいくなかで、それでもどう生きていくのかを考える時期ときになってきたのかもしれない。

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