『風が吹くとき』その時、何ができるのか
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『風が吹くとき』(かぜがふくとき、When the Wind Blows)は、イギリスの作家、レイモンド・ブリッグズが1982年に発表した漫画。アニメーション映画化もされた。
(あらすじ)
老夫婦のジムとヒルダは、イギリスの片田舎で年金生活をおくっていた。しかし、世界情勢は日に日に悪化の一途をたどっていく。ある日、東西陣営による戦争が勃発したことを知ったジムとヒルダは、政府が発行したパンフレットに従い、保存食の用意やシェルターの作成といった準備を始める。
そして突然、ラジオから3分後に核ミサイルが飛来すると告げられる。命からがらシェルターに逃げ込んだジムとヒルダは爆発の被害をかろうじて避けられたが、互いに励まし合いながらも放射線によって蝕まれ、次第に衰弱していく。
――Wikipedia より
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随分、昔の作品だが、むしろ、昨今の世界情勢を鑑みると、自分たちには関係の無い話などといえなくなってきたことに恐怖を感じる。
最初にこの作品を観た時、老夫婦の無知が、ひたすらもどかしかった。
見当違いを信じ、対応する姿に、何故?と苛立ちさえ覚えた。
けれど、それから何度かこの映画を観るたびに感想は変わっていった。
真実を知るというと聞こえはいいが、それが逃れられない絶望でしかなかったら、それを知ることに救いはあるのだろうか。
その真実を目の前にしても、人は耐えられるのだろうか。
大きな力、隠蔽された真実に対しての無知は愚かで恐ろしい。でも、知らないことで救われることもあるのではないか、と。
◆
政府が発行したパンフレットや限られた情報のなか、それに従うことが正しいと信じて、いたわりあい寄り添いながら、破滅へと向かっていく老夫婦の姿はあまりにも痛ましい。
作品世界を
あまりにも残酷で恐ろしく、でも極限のなかの愛を描いた作品は、わたしの心にずっしりと重く残っている。
◆
戦争による核兵器使用という、権力による大きな厄災が現実に起こってしまったその時に、わたしたちには、何ができるのだろうか。
決して絵空事では無い。
この作品から、わたしはずっと、そんなことを突きつけられている。
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