マザーコンプレックス

 マザーコンプレックス。

 マザコンなんて言われて、随分、嫌がられている。

 昔、ドラマにもなった冬彦さんを思い出す人も多いと思う。

 あれほど極端すぎるものは、どうかとは思うけど、わたしはマザコン、嫌いではない。


 というか、わたしもそれでいうならマザコンだろうから(笑)


 反対に母としてのわたしにも3人息子がいて、母子家庭だったこともあって、普通に話すし仲は良い方だと思う。


 でも、わたしは人として真っ当に生きて欲しいとは思うけれど、こうでなければ!とか、こうあるべき!という自分の価値観の押しつけはしたくないとずっと思ってきたし、今もその思いに変わりはない。


 これには、わたし自身のコンプレックスというか、自信の持てなさというトラウマがあって、だから尚更、そのくびきみたいなものを息子達には負わせたくないと思うからなのだけど。


 だから、仕事も結婚や人生のことにも相談には乗るけれど、あまり口出しはしたくない。

 結婚にしても、してもしなくても構わないと思っている。

 大切に思う対象にしても、共に歩けるパートナー、友人(男女問わず)だったり、例えばその対象が音楽だったり、文学だったり、映画だったり(淀川長治さんは映画が生涯の恋人だったといわれるけど、それも素敵なことだと思う)でもいい、形でなくとも心の支えになるものを持てれば、それも幸せな生き方だと思う。


 何だかマザコンから、ちょっと話がズレてしまった(汗)

 話を戻そう。


 もし、息子が結婚したら、親も大切にはして欲しいけど、同居はしたくないし、まず、自分の家族を一番に考えて欲しいと思う。


 順番を付けるものでは無いけど、元々は他人が一緒に暮らして、一つの家庭を作っていくのだから、まずその相手を思い遣って欲しい。

 そうは言っても、あまりにも蔑ろにされたり、道理に合わないことをされれば「母ちゃんも怒るかんね!」ではあるのだろうけど(さすがに、そんなよく出来た聖人君子なんかではないので)


 ただ、親を大切にすること=マザコンみたいなのには、やっぱり違和感を感じてしまう。

『嫁のわたしよりも、お義母さんを優先するのね!キィーッ!』みたいなのは、どうなんだろうと思う。

 こういう人は、自分が歳をとって姑の立場になった時に、どうするんだろう。

『どうぞ、どうぞ、お嫁さん優先で大丈夫よ』と笑って言えるんだろうか。

 それなら良いんだろうけど。


 パートナーが親を蔑ろにして、自分優先してくれて嬉しいものだろうか。

 わたしは、そんなのは嫌だな。


 ***


 わたしは母のことが好きだった。

 喧嘩もしたけど、母はお茶目で可愛らしいひとだった。

 所作が美しくセンスがあって、人を思い遣ることを知っていた。

 自慢の母だった。


 わたしは立派なマザコンだ。

 胸を張ってそう言える。

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