第43話 裏奴隷商掃討作戦開始
3日をかけてハンクと王都の歓楽街で遊び倒しながら、裏奴隷商への足掛かりを掴んだ。
いつもの様に力技でも良かったんだけど、それだと裏の繋がりが炙り出せずに有耶無耶で終わるかもしれないからな。
裏奴隷商なんて言う商売は、売る方も確かに悪いんだけど、買う方にも責任の半分はあると思う。
今回は芋づる式に引きずり出してやるぜ。
翌日の夜、今日はアランとカイルも連れて来ている。
「ハンク、昨日のオークションでの購入者の足取りはつかめたのか」
「はい、ノア王国の南部に領地を持つ伯爵ですね。この伯爵は幼い女の子に性的興奮を覚える変態です。人属限定で、結構な人数を今までに購入している様です」
「良し、その情報を街中にばら撒いて非難が集まる様に仕向けてくれ」
「了解しました」
俺はまずこういう噂が広まった貴族に対して、この国がどういう対応をするのか見極める事にした。
今回の2つの裏奴隷商なんだが、俺的には教会の司教としての立場を利用して、孤児院まで使ったワンハイ勢力の方がより闇が深いと思う。
こう言う司教がのさばる事が出来る、フィオーネ聖教と言う組織にも不信感を覚える。
場合によっては、この国を敵に回すかもしれないが、俺は俺のやり方で勝手にやらせて貰おう。
まぁ裏奴隷商も2つの勢力があるし、勢力ごとに違う方法で解放してもいいだろう。
もう一つのペスカトーレファミリーの保持する奴隷は、獣人やエルフが中心だという事だから、助け出した後は、『
人属はアーガイル翁にお願いする宿場町の方で保護をするのが良さそうだな。
まだ建物が何も無いから、当面はファルムの屋敷で保護するか。
「今日は昨日の店ではなく、他の裏奴隷商の店を襲撃する形で奴隷を開放する。解放した奴隷は森の入口の街で、まだ人を住まわせてない部分の村落の跡地に取り敢えず転移させるぞ。今日はペスカトーレ勢力の裏奴隷商を襲撃しよう。人属以外の奴隷の取り扱いが多いようだしな」
俺達は今日の行動方針を決めると、全身黒ずくめの衣服に着替えて、ペスカトーレ勢力の裏奴隷商へと向かった。
裏奴隷商の店は、ハンクの調べによると20件のすべてが表向きはナイトクラブとして営業しており、地下にカジノとオークションハウスが、裏の顔として存在している。
現在は夜の9時で最も繁華街が賑わう時間帯だ。
俺達は、結構な賑わいを見せているナイトクラブへいきなり煙球を投げ込み、「火事だー」と叫んだ。
ただの煙球だから、実際に火は出ないけどね。
店内の混乱に合わせて、地下への通路を駆け降りると地下も上の騒ぎが、伝わっていて騒ぎになりかけていた。
俺達4人が地下へ侵入すると、いかにもマフィアな連中が「何者だ、ここをペスカトーレファミリーの縄張りと知って襲撃したなら、お前らを捕まえた後で、関係のあるすべての人間に地獄を味わせてやる」と、凄んで来た。
何も返事をせずに、取り敢えず腹を殴って気絶させたぜ。
ウザイしね!
ここは、入り口は一つしかない筈だが、犯罪組織なら脱出経路を確保していても不思議はないな。
ハンクとアランにこの階段を守らせ、誰も通さない様に言い含め、俺はカイルと内部に侵入した。
地下には客らしき存在が50人程いたが、全員動かない様に指示を出し、店内中央部に集め魔法で眠らせた。
明らかに貴族っぽいやつらが「俺を誰だと思ってるんだ。すぐに開放しないとどうなっても知らないぞ」などと叫んでたが、こんな裏組織に貴族様が通い詰めてる事がばれたほうが、問題が大きいと思うのは俺だけなのか?
そして、マフィアの連中は問答無用で殴り倒し意識を奪いながら、一番偉そうにしていたやつを見つけた。
「奴隷たちはどこだ? 」
「馬鹿かお前は? 聞かれて答える訳が無いだろ。マフィアを敵に回したことを一生後悔しながら過ごす事になるぞ」
「あー、そういうのいいからさっさと吐け。俺もお前たちみたいなドブネズミの命に興味は無いから、喋らないならこの場で殺す」
と、行って取り敢えず、腕を一本切り落としてやった。
「喋る気になったか?」
「ヒィッいてぇ、喋る、喋ります。何でも聞いてください」
「最初から素直にそう言えば痛い思いしなかったのに、馬鹿だろ? お前」と、言いながらもう一度頭を殴っておいた。
その男の止血だけしてやり、奴隷のいる場所に案内させた。
しかしこの場所は当日にオークションに掛けらる奴隷しか連れて来ていないようで、6人だけしかいなかった。
「他の奴隷達は、何処に居るのか教えろ」
「それを言ったら、俺の家族もろとも組織に皆殺しにされちゃいます。勘弁して下せい」
「じゃぁ今死ぬか? 俺に教えれば俺が組織事潰してやるから、家族は助かるかもしれないぞ? まぁ約束は出来ないけどな」
聞き出した奴隷の収容施設は、予想はしていたが、後ろ盾になっている法衣伯爵の別荘で、そこには100人以上が捕らわれているらしい。
売られる前の奴隷たちは、違法薬物の精製などもさせられており、隷属契約により他言できなくなっているとのことだ。
「お前は良く喋ってくれたから見逃してやる。どこへでも消え去れ。だが次は無いぞ。またマフィアに関係した仕事をしてるのを見かければ迷わず殺す」
さて今日はこの6人の救出だけで辞めておくか。
一日余裕を与えてやろう。
迎え撃つつもりで戦力を集めてたりしたら、逆に一気に片付いて都合がいい。
取り敢えず救出した6人の奴隷を、連れてフォレストゲートの村落へと転移した。
隷属紋を解除してあげて、ジョアンナに世話を頼む。
今日の6人は獣人が4人エルフが2人だった。
一度イザベラの屋敷に立ち寄り、アーガイル翁と建物の事で話す事にした。
「アーガイル翁、ゼストの領地に旅館の建物で購入できるような物件は無いでしょうか? 」
「無いことは無いが、どうするんじゃ?」
「アーガイル翁に隠してもしょうがないから言いますが、俺は容量の大きなアイテムボックスを使えますから、建物ごと運んできて移設してしまおうと思います。今から普通に建設してたら半年以上かかりそうですし、取り敢えず必要な建物は全部移設で揃えようと思ってます」
「なんと……そこまで大きなアイテムボックスなど聞いたことも無いわい。何から何まで規格外れじゃのう」
「早く軌道に乗せたいですしね!」
「解った、ゼスト領で現在使い手のいない程度の良い物件を、手当たり次第に買うとするか」
「では明日は朝から俺の転移で、ゼスト領に向かいますので、お付き合いください」
「あい解った」
横で話を聞いてたイザベラが話しかけて来た。
「ファルムの貴族街にも、空き物件が何件かあるからお願いできるかしら? 私の別荘として使いたいわ、コウキとの愛の巣として使ってもいいわよ」
「てかさ、イザベラは何で会ってすぐの頃から俺に対して積極的なんだ? 冷静に考えると色々おかしいよな?」
「私は、鑑定の上位スキル持ちだからね。初めて会った時にオークから助けてもらった間に鑑定したから、この国の伝説の勇者様に匹敵する能力の持ち主だと解ってたわ」
「あーそういう事かよ。 やっと納得がいったけど、もう少し常識的な好意の示し方って出来ないのかよ」
「そんな照れ臭いこと出来る訳無いじゃない。自慢じゃないけど彼氏いない歴=年齢なんだからね」
「お前辺境伯令嬢なんだろ? 許嫁とか婚約者とか普通居るんじゃ無いのかよ?」
「私はアリスと違って、母親が妾だからね。貴族的なお付き合いはアリスの担当だわ」
「良く解んないが、イザベラの事は嫌いじゃ無いからもっと普通にしろよ」
「な、何言ってんのよ、私はこれが普通なの」
上位鑑定スキルってLV差とか関係なしに鑑定できちゃうみたいだな。
まぁ俺と敵対する気はないだろうから、このままでいいか。
さぁ明日は朝からいろいろ忙しくなるな!
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