第31話 奴隷紋
今日はこれから俺達が、何をしていくのが良いかという事で意見を出し合い、当然新しく貰った土地の開発は行うけど、まだオークの活動が確認されているために、安全が確認されるまでは、女性陣は別の事をしてもらおうという事になった。
まずは、フローラが行う鍛冶によって作り出される武器、防具の店を出すことにした。
カオルが倭国の料理を出す食堂なんかどうでしょうか?と言う意見を出したので、それも面白そうだなと思い早速店を始めるの場所を、商業ギルドに探しに行く事にして、カオルとフローラを伴い商業ギルドへ向かった。
一緒にファルムの街を歩きながら、道行く人々を観察してみる。この街は本当に雑多な人種の人達がいるが、ゼスト侯爵領等は基本的に、人族ばかりだった。他種族の人は殆どが奴隷の身分であった。
そして改めてカオルとフローラを見ると、メイド服を着ているけど、奴隷紋が見えないように、首筋まで大きく覆われているのが気になった。他の街を歩く女性達は、もっと開放的な服装をしている。
「なぁカオル俺は決めた、やっぱりみんな奴隷の身分からは開放することにする」
「ぇぇ私達はみんな、コウキ様の奴隷である事に誇りを持っていますからこのままで全然構わないですよ?」
「それでもだ、カオルは解るだろ?やっぱ奴隷制度って俺には耐え難いものが在るんだよ」
「まぁそうですねぇ文化的には私やコウキ様の育ちだと、受け入れられにくいですよね、でも奴隷門の解除は奴隷商に行って隷属師のJOBを持つ人に行って貰うのですが、犯罪奴隷の奴隷紋の解除は10万Gの保証金と奴隷紋を解除された奴隷が、再び犯罪行為を行った場合はその奴隷の主も同罪に処される法律がありますよ?」
「そうなのか?面倒な法律だな。でもカオル以外の七名はすべて犯罪奴隷だったが、皆を俺は信用している。問題はないさ」
そこでちょっと思いついた俺は、『ナビ、俺に奴隷紋の解除が出来るようにならないか?』と聞いてみた。
『隷属紋操作のスキルを取得しました』と脳裏に声が響いた。
『このスキルで、コウキ様の意志で隷属紋を書き込むことも、消すことも出来ます。書き込む際には命令を強く意識することで強制する項目を指定できます』
ぉ夢想スキルが働いてくれた「カオル、フローラちょっと家に帰ったら実験して見たいことが出来たから、楽しみにしといてくれ!」
「実験ですか?ちょっと怖いですね、でもコウキ様が言われることなら了解です」
そんな感じで、話しながら商業ギルドに到着した。
「本日は、商業ギルドへいらして頂きありがとうございます。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「武器店と、食堂を始めたいと思いますが、物件を紹介して頂けないでしょうか?それと商売を始めるための許可証など必要な物が在るのでしょうか?」
「商業ギルドへの登録は、お済みでしょうか?他のギルドへの登録がある場合は、500G無い場合は1000Gの登録料が必要となります。武器店は、領主様への届け出が必要で、飲食店は商業ギルドで最低限の衛生設備が整っている事を確認した後で、営業許可証が発行されます。どちらも1000Gの許可証の発行手数料がかかります。
物件の紹介を商業ギルドが行わせて頂いた場合は、許可証の発行手数料がサービスになります」
俺は自分の冒険者ギルドのカードを取り出し、「商業ギルドへの登録はありませんので、新規での登録をお願いします」と伝えた。
俺の冒険者カードを確認した、受付の女性が首を傾げて「このランクはどう言う物なのでしょうか?」と聞いてきた。どうやら冒険者ギルド以外には、オメガランクの話は伝わって無いようだ。
「ああ、そのランクは一応SSSの上のXランクと同じ扱いらしいですけど、俺は帝ではないから別に作られたランクです」
そう返事をすると、いきなり慌てだし「少々お待ちくださいませ」と言って奥へ「マスター大変ですー」と叫びながら消えていった。なんか騒がしい人だな。
一分程で、恰幅のいい男性が現われた。なんか見た事があるような人だな?何処であっただろ??と思いながら「登録をお願いします」と再び言った。
「始めましてコウキさん、お話は兄に伺ってますよ。私はハッサンの弟でマッサンと言います。この商業ギルドのマスターをしております」
ああ、ハッサンさんに似てたのか納得だ、「登録は大丈夫ですか?」
「コウキさんなら最初からBランクの商人ランクをご用意させて頂きます。Aランク以上は取引額の実績で認定されますので、私が用意できる最高ランクでございます」
「ありがとうございます。商人のランクってどう言うふうに決まってるんですか?」
「Dランクは、露天商 、Cランクで店舗を構えることが認められます、Bランクになりますと、交易まで認められて、Aランクで他領への支店の開設が認められます。Sランクは全ての商取引が制限なく行なえます。現在ファルムでは、Sランクは兄だけで御座います」
「そうなんですね、先程も女性の方にお願いしたんですが、武器屋と食堂を始めたいので、お店の物件を紹介して欲しいのですが?大きさ的に武器屋はそう大きくなくて良いですが扱う商品が商品ですので、セキュリティーのしっかりした物件が良いですね、食堂は人手はありますので、100人程度は、座れる大きさのお店がいいですね」
そう言っている間に先程の女性が、物件のリストを抱えて戻って来た。
忘れられていたわけじゃなかったんだな。
「それでは、私は商業ギルドのカードをご用意してまいりますので、物件の話はこの、アマンダから伺って下さい」
と言ってマッサンさんは奥へ引っ込んでいった。
「コウキ様先程は失礼致しました。伯爵様と同格の方と伺って気が動転してしまいまして、私が厳選したお店を何件かご用意いたしましたが、早速見に行かれますか?」
カオルとフローラにそれぞれ気になるお店の資料を選ばせて、3件ずつ見て回ることにした。
まずは武器店からだ。扱う品物の内容が内容だけに、衛兵の詰め所が近い門の側の物件を3軒選んでいた。
鍛冶を行ううちの屋敷からもそんなに離れていない、2番目の区画の大通り沿いの物件が気に入った。大きさも手頃である。「こちらの物件ですと家賃も一月2万G程で商売を行うには手頃な物件だと思います、人通りも多く衛兵の詰め所も近いために、安全面も安心できます」
次は食堂の物件だが、これも偶然というか武器屋の隣の酒場を営業していた店が、営業を辞めて空き店舗になっていた。元が酒場なので殆ど手を加えること無く使える。テーブルやカウンター椅子にキッチンの設備までそのまま残してある。その分居抜き料金は発生するが、新規で揃える場合の三分の一程度で済むのはお得だ。
結局カオルもこの物件を気に入ってくれたので、早速契約をしようと思ったが、計算をしてみると2軒とも買っても1200万G程だったので、現金で買い取る事にした。
手入れも比較的されていて、みんなで一度大掃除をすればスグにでも営業を始めることが出来そうだ。
武器屋も陳列棚さえあればすぐに営業を始めれるし、陳列棚を作る家具職人も商業ギルドの紹介で工業ギルドに依頼を出せばすぐ見つかるそうだ。
早速アマンダに頼み家具職人さんを呼んでもらって、棚の採寸等をフローラの立ち会いでやって貰う事にした。俺とカオルはその間に、ハッサンさんの商店に行き、盗賊討伐の時に手に入れた財宝の残りを、全て預けハッサンさんに捌いて貰う事にした。
一括買取りで渡しても良かったのだが、ハッサンさんがお金を急ぐので無いなら、オークションでの取引がいいと勧められたので、それでお願いする事にした。
もう俺も商業ギルドへ登録したから自分でも出品できるのだが、相場も解らないし、ハッサンさんに売上の20%の手数料を払う事で、面倒な手続きや現金のやり取りを全て代行してもらえるとの事なので、丸投げでお願いした。
ハッサンさんのお店を出て、再びフローラの武器屋の場所に戻ると、丁度陳列棚の採寸も終えた所で、翌日までに見積もりを用意してくれるとの事だった。俺達は3人で一度屋敷に戻る事にして、早速先程獲得したスキルを試す事にした。
まずはカオルからだ。上着を脱いでもらって、奴隷紋に手を当て【奴隷紋の解除】と念ずると、スーッと色が薄くなっていき、全く見えなくなった。
「カオル試しに俺のお腹を殴ってみてくれ」奴隷紋が有効だと主人へ柄の暴力行為は出来ないので、カオルに命じてみると、「パチン」と音がして、俺のお腹を殴ることが出来た。「解除成功だな!」
それから全員を順番に呼び、全員の奴隷紋を消した。ユーリも大きな屋敷の方に迎えに行き、解除をした。
8人の元奴隷たちに一度集まってもらって、
「これでみんなは奴隷では無くなった。これから先自分でやりたい事などがあるなら、遠慮せずに言ってくれ。もしここに残ってくれるならこれからは、奴隷としてではなく、俺の大事な仲間として、よろしく頼む」と頭を下げた。
その姿を見た皆が、「ご主人様が頭を下げるなんて事は、絶対にしないで下さい。奴隷紋が有ろうと無かろうと、私達はこの先の一生をご主人様に尽くすと決めていますので、これからもよろしくお願いします」と笑顔と涙が混ざったような表情で言ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます