第4話 家を借りよう

 ギャラリーで集まった人達がみんな驚いている。オークラはあれでもこのギルドでは結構な実力者だ。


 ミチルが声を掛けてきた。


「おめでとうございますコウキさん。コウキさんはCランク冒険者として登録させて頂きますね。でも本当にJOBは無職なんですか?」


 「あー嘘をついてもしょうが無いからな、俺は無職だよ」


 オーク野郎が近寄ってきた。「済まなかったな生半可な気持ちで冒険者になろうって奴が多いから、ここではみんなああやって、鼻っ柱を叩き折る所からスタートさせる決まりになってたんだが、俺はこのギルドの副マスターをやってる、オークラだ。改めてよろしく頼むな」


 おかしいと思ったが全員グルのイベントって事かよ。


「お陰で、自分の実力がどの程度なのか、大体見当がつきましたので逆に助かりました。これからよろしくお願いしますね」


 「そう言ってくれると助かるが、無職でその強さって、一体どれだけのLVなんだ?」

「あーLVは秘密って事で」


 「そうか、まぁCランクになると、強いモンスターが現れた時の、招集に応じてもらう事などもあるから、よろしく頼むな」


ミチルちゃんに「この街で暮らすための家を借りたいと思うんだけど、何処かいい場所はあるかな?不動産屋みたいな所を紹介してもらえれば良いんだけど」と伝えると。


 「冒険者の皆様に住居を紹介するのは、このギルドで行っておりますよ。パーティ単位で借りられる方が多いので、部屋数の多めの物件が多いですけど。


 先程の紹介状に、色々と便宜を図るように添え書きがしてあるのと、保証人にはイザベラ様が成るとの印章も押してありますので、何も問題ございません。何軒かの物件の書類を出してきて、今ですとお薦めはこのあたりの物件ですね。今後PTを組まれる事を考えたら少し広めでお風呂のある物件が良いですよ」


 「早速何軒か見せて貰えるかな?」と伝えるとミチルちゃんが直接案内してくれることになった。


まずは一番安い物件からですねー・・・そこは安いだけ在って部屋数は4つあるが庭も狭くお風呂も小さい物件だった。場所も外周の街でもスラムに近く、セキュリティにも不安がある。ここの売りは家賃の安さです4DKの一戸建てがなんと一月3000Gです。


次は一番高い物件です・・・次に案内された物件は、3番めの壁を超えた場所にある、高級住宅街の様な物件だった。部屋数は12もあり庭も十分に広い。お風呂も広々とした浴場が一つと、別に普通サイズの風呂が3箇所もあり、トイレも4箇所ある。完全に来客対応用の屋敷だよな。一人でこの家をどうしろと言うんだ。コチラの家ですと、家賃は20万Gですね。


最後は私のおすすめ物件でございます・・・2番めの壁を超えた敷地にあるその家は、広めのお風呂が一つと普通サイズのお風呂が一つ、トイレが2つに部屋数が6つ、リビングは50畳近くて、庭もそこそこ広い。そして鍛冶を行うための場所が在った。この物件は過去にSSSクラスのパーティがこの街に滞在したときに建てられた、冒険者の要望を満たして作られた物件です。これだけの設備が整っていて、家賃はたったの5万Gお得でしょ?


 5万Gって50万円って事だよな?お得なのか?「ちなみに買うことは出来るのか?」


 20年分の家賃を一括払いされれば買取も可能です。もしくは30年間賃貸を続けられた場合も、所有権が移ります。


 買い取るにはお金が足らないな、取り敢えずはこの物件でいいか。「じゃぁここを借りるね」


 「ありがとうございます。早速書類を作りますので、ギルドに戻って頂いていいですか?」


 修繕積立金という名の敷金を3ヶ月分取られたが、無事に家の契約は完了した。でもこんな広い家を維持しようと思うと、お手伝いさんが必要だよな。


 「ミチルちゃん、お手伝いさんって紹介してもらえるのかな?」と聞いてみた。


「あのクラスのお屋敷を維持するには、皆様大体奴隷を購入される方が多いですね。通常の奉公人ですと盗難等の危険性もありますので」


 あぁこの世界は奴隷制度なんてあるんだな、言葉的に奴隷制度には嫌悪感を感じるけど、この世界では当たり前の事だと言うなら、一度見てみるか。


 奴隷商の場所を聞いた俺は、地図を片手に向かった。奴隷商の建物は意外にきれいな建物だった。完全武装の門番が立っており少し入るのに度胸がいるな。


 門番に奴隷を見せて貰えるかと伝えると、店内に案内された。12畳ほどの応接間のような場所に通され、店主であろう男が挨拶をしに来た。


「この奴隷商を経営するマルクスと申します。早速ですがご希望の奴隷はどの様な人材をお求めなのでしょうか?」


 「先に大体の奴隷の相場を聞かせて貰えますか?」


 「用途や容姿でピンキリでございます。犯罪奴隷であれば男性は戦闘ができるかどうかで価値が大きく変動します。女性は性的な志向に合致するかどうかで価値が変わります。勿論購入される方の好みに応じて戦闘できる女性や性的嗜好に利用される男性の場合もございますが、犯罪奴隷に関しては、命令に関して拒否権が存在しない点が大きな特徴でございます。


 金額的には男性で下は1万Gから上は500万Gでございます。

 女性の場合は、下は5万Gから上は2000万Gまで幅広くなっております。


 勿論欠損や病気などで、この価値以下の者も居りますが、まず需要がございませんので。


 次に借金奴隷と呼ばれる者たちの場合ですが、これは男女共に同意のない性的命令等は拒否できます。無理強いをすれば、奴隷の主であっても犯罪行為として処罰されます。借金奴隷の場合は借金額の返済完了により奴隷契約も終了致します。


 金額的には借金額を一括して購入者が返済した後に、通常の奉公人を雇う場合と大差ない金額で、返済させていくシステムでございます。この場合でも守秘義務や、主人の不利益に成る行為の禁止などの制約を課すことが出来ますので、一般雇用をされる場合より信頼が出来ると言う利点がございます。勿論奴隷契約終了後に継続的に雇用することなどもよくある事です」


 「では早速ですが、家事一般を任せる事が出来る女性の方を紹介して欲しいのですが、性的サービスは求めていませんので、家事スキルの優れた方を紹介して頂けますか?犯罪奴隷でも借金奴隷でも種別は問いません。人種も問いません」


「畏まりました、少々お待ちくださいませ」


10分程の時間をお茶を飲みながら過ごし、奴隷が連れてこられるのを待った。

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