第45話 裏奴隷商掃討作戦③
俺達は4人で裏カジノの設置してる酒場へと向かった。
酒場のカウンターで会員証を見せ地下のカジノへ案内されて行く。
カジノは相変わらず盛り上がっている。
ざっと見てこの店内に客が100人、従業員は30人程度だな。マフィアっぽい連中は表には基本出てこない様にしているだろうから後10人は居る筈だ。
時間的にはまだ早いから、オークション会場へは誰もいない筈だ。
恐らくこの店のオークションに掛けられる奴隷たちも、当日に必要な数が連れてこられるシステムだろうな? と予想を付ける。
まぁ今日のこの店での目的は、カジノで徹底的に金を稼ぐことだ。
裏組織を潰す為の資金は裏組織に負担してもらわなきゃ、手出しは嫌だしな。
俺は取り敢えず1万G程の金を、専用チップに替えてルーレットのテーブルに向かった。
俺がテーブルに付いた時点で、一昨日大勝ちをした客だと気が付いた店がディーラーを変更して来た。
恐らくこの店で一番の腕利きディーラーなんだろう。
俺がテーブルに付くと、俺の賭ける目に乗じて勝とうとする客や、逆に店が真剣に俺が勝った額を取り戻そうとする筈だと、逆張りをしようとする客が集まり、ギャラリーも含めて盛り上がって来た。
まずは手始めに1000G分のチップを張る。
赤に1点勝負だ。
まだ時空スキルは発動していないから素の運だけだ。
結果は赤、倍になった。
再びルーレットが回り始めボールが投入される。
俺はディーラーの手元に注意を払いながら、そのまま2000Gを再び赤へ張る。
結果は赤。
4000Gを再び赤へ、結果は赤
8000Gを再び赤へ、結果は赤16000Gになった。
何もしかける気はないのかな?
と思いながら、次のスタートを待つ。
違和感を感じた。
時空スキルで結果を覗くと緑の0番に収まる未来が見えた。
俺はにやりと笑い、16000Gのチップと手元の9000Gのチップ25000G分を緑の0番へ一点張りにした。
ディーラーの顔が一瞬引きつった。
客たちの中には、生粋のギャンブラーも混ざっておりディーラーの微妙な表情を見逃さず、0番の枠に集まったチップは10万Gに及んだ。
結果は当然の様に0、店側は360万Gのチップを客につける。
日本円だと3600万円分だ。
このディーラーは恐らく今日は立ち直れないだろうな。
そのまま黒服に連れられディーラーが奥へ連れていかれ、替りのディーラーが付いた。
俺の手元には90万G分のチップ、このテーブルの上限は10万Gの張り目までだったな。
「青天井のゲームは無いのか?」と交代したディーラーに尋ねる。
「バカラのテーブルには青天井のテーブルがあります」と教えられた。
「チップだ」と10万G分のチップをディーラーにプレゼントしてバカラのテーブルに移動した。
周りのギャラリーも「チップ10万Gとかすげぇな」と口々に言いながら、俺と一緒にバカラのテーブルに移動して来た。
景気づけにギャラリーの皆に振舞ってくれと、この店で一番高級なシャンパンを10本ほど開けさせ、バニー姿の店員がギャラリー達に注いで回った。
シャンパン10本で10万G取られたがまぁ別にいい。
ギャラリーをほぼ味方につけ、バカラのテーブルに移った。
「このテーブルは青天井で間違いないな?」
最初に確認をした。
「間違いありません」
その言葉を確認してゲームに参加した。
同じテーブルに2人の人間が座っていた。
恐らく貴族であろうその2人はそれぞれ10万G程度のチップを持っていた。
俺は残りの70万G分のチップを置き、ゲームを始めた。
プレーヤー2倍
バンカー1.95倍
タイ8倍の一般的なルールの様だ。
絶対バカラをこの世界に広めたのは、太郎か一郎のどっちかの勇者だよな。
カードも地球と同じだし、ルールも同じとかありえねぇよ。
でもバカラって、仲間同士で楽しむ遊びじゃ無くて、あくまでもカジノのギャンブルとしての集金ゲームだから、2人の勇者もただの善人って訳じゃ無さそうだな。
まぁその辺の事情は置いといて今日は稼ごう。
青天井なら、普通にやってみるか。
10万Gをプレーヤーに賭け、結果バンカーの勝ちだった。-10万
次は20万Gをプレーヤーに賭け、プレーヤーの勝ち。+20万 累計+10万
プレーヤーに10万賭け、結果プレーヤーの勝ち。+10万 累計+20万
プレーヤーに10万、バンカーの勝ち。-10万 累計+10万
プレーヤーに20万、バンカーの勝ち。-20万 累計-10万
プレーヤーに40万、プレーヤーの勝ち。+40万 累計+30万
ここまでで一度確認をしておく。
「このテーブルは現金でも賭けられるのか? 」
「いえ、チップのみです」
「そうか、アランチップに交換しておいてくれ」と俺はアイテムボックスから1億G分の白金貨を出した。
ギャラリーからどよめきが起こる。
「このテーブルであの賭け方をするなら、バンカーの14連勝が起こらない限り、店側がひたすらむしり取られるな」
さて俺達が帰るまでに、バンカー14連勝が出来るかな?
確率は16000分の一程度かな。
バンカーの方が若干有利だからな。
俺の横に座ってる2人の貴族らしき人物も1億G分のチップを目にして、少しビビってたぜ。
俺は周りのギャラリーに向かって宣言した。
「今から2時間でオークションが始まるだろ? それまでの時間つぶしだ。勝ったら今日のオークションで奮発するぞ」
あくまで金持ちの道楽をアピールしておいた。
しかしバカラはとにかくスピードが速い。
1時間が経過した頃には、俺の勝ちは2300万G程にも膨れ上がった。
ディーラーはポーカーフェースを装っているが、顔色が悪い。
1時間後からはベースを上げた最初のBETを100万Gに、これなら俺はバンカー7連勝で飛ぶ。
そこで露骨に仕掛けて来る筈だ。
俺はその10ゲーム後にはバンカーの6連勝をくらい残り一回しか倍プッシュが出来なくなったので、アランに更に1億Gをチップに替えて来いと伝えたが、アランがすぐに戻って来た。
交換所が閉鎖してます。
交換できませんでした。
「ほぉこのまま俺が勝ったとしても、換金できないって事かな?」
「いえ、そう言う訳ではございません。お客様が沢山のチップを交換されたから、一時的にチップ不足になりまして、系列店から運ばせるまでの間の一時的な処置でございます」
と、おそらくこのカジノのマスターであろう人物が現れて説明した。
「そうか、それなら次の一勝負がバンカーだったなら俺の運が悪かっただけだと諦めよう」
そう言って今日の最後のベットを行う事にした。
俺の張ったのは、タイに6400万Gだ。
勿論スキルを発動して、カードをタイになる様に仕組んだ。
プレーヤー、バンカー共に9の目で3枚目を引けない状態だ。
当然の様にいかさまを仕掛けてあっただろう本来のカードはバンカーの勝利だった。
時間の停止を解除して、自信満々でカードをめくるディーラーの顔が引きつった……
「タイ……です……」
ここで、俺の横に立っていたマスターらしき人物が焦った。
「まさかこれでお辞めになる訳じゃ御座いませんよね? 」
「当然終了だろ? 早くチップを5億1200万G分寄越せよ。客にはチップでしかプレーできないと言ったんだから、店がチップは無いとか言わないだろうな?」
「チップは5億G分は御座いません」
「それなら勝負は終了だ。店が払えないのにまだ営業を続けるとか無茶苦茶な理屈をこねないよな?」
周りでは、この話の行く末がどうなるのかで興味津々で野次馬がたかっている。
「畏まりました。それではチップの清算をさせていただきます。本日の清算レートは1対1000でございます」
そのマスターの一言で、カジノは騒然となった。
等価が基本の交換レートがいきなり1000分の1だ
「納得行かないならここに来ていただけなくても結構ですどうぞお帰り下さい」
まぁ違法カジノだし滅茶苦茶な理屈を言っても、客側が憲兵隊に泣きつくことも出来ない。
打破できるのは、相手よりも強い力で叩き潰す実力があるやつだけだ。
「折角楽しい店を見つけたと思ったのに残念だな。ギャラリーの皆さんもこんな所は見限って違法じゃ無い所で遊んだほうがいいですよ。遊ぶための資金はここの訳の解らない組織からしっかりと回収させてもらいましょうか。5億1200万G分暴れさせてもらうぞ」
俺達は4人掛でとりあえずバカラのテーブルを潰すと、他の客達も一気に火が付いた。思い思いに暴れだしてる。
その騒動を聞きつけ、マフィアの連中が殴り込んで来た。
暴れてる連中に、脅しをかける。
俺達に脅しは通用しないけどね。
「なんだ、又弱そうなのが湧いてきたな、俺は勝った分の5億1200万を払って欲しいだけなんだがな」
「そんな金払う訳無いだろう、馬鹿お前は?」
「ほー失礼な奴だな、人を馬鹿呼ばわりまでしやがって、まぁいいお前らもこの店の関係者なんだな?」
「借金分稼ぐまで隷属契約で働かせてやる。まぁ安そうだからほぼみんな一生奴隷だな」
「店は当然借金の肩で売り飛ばすぞ、お前らが法律なんか関係ないというんだから俺も関係ない」
「フザケルナやっちまえ」
と俺の言葉で更に逆上したマフィア達が、再び襲いかかって来た。
「ギャラリーの皆さんには被害が及ばない様にしますから、身バレしたくない人たちは早めに出て行ってくださいね」
と、俺が言うと、冒険者以外の連中は、みんなそそくさと出て行った。
冒険者達は、面白半分でみんな残って様子を見ている。
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