第8話 ギルド依頼

 昼ご飯を食べてから、取り敢えず俺はギルドに向かった。カイルはジョアンナと一緒に鶏を飼育する為に必要なものを、フローラにはアランをつけ鍛冶をする為に必要な物を、カオルはユーリと一緒に食料品の調達を任せ、それぞれ出掛けさせた。


 ギルドに着くと、ミチルが声をかけてきた。


「コウキさんこんにちはー、家の住心地はどうですか?」

 「あー快適だよいい家を紹介してくれてありがとうな」


早速、Cランクの依頼を貼ってあるボードを眺めるが、昼過ぎからでは良い依頼は無さそうだったので、聞いてみることにした。


「ミチルちゃん稼ぎの良い依頼って無いかな?」

 「コウキさんだと、Bランクの依頼までは受ける事が出来ますけど、割の良い依頼は今日はもう受けられちゃってますね、常時依頼の魔物を狩るのが効率いいんじゃないですか?」


「常時依頼の魔物で強そうなのは何処に居るの?」

 「最近オークの異常発生が報告されていますので、森の方に向かうともしかしたら集落を作っているかも知れませんね。集落だと群れのボスでオークリーダーやジェネラルが居ることが多いんですけど、そんな時はまずギルドに報告して下さいね。大規模な討伐隊を招集して向かう事になりますから。集落の発見は、報告していただくだけで、報奨金も出ますよ」


「森の方だな、解ったちょっと行ってみる」

 「一人で行くんですか?」


「あー今日の所は様子見程度しか狩らないから、一人で十分だ」

 「気を付けて下さいね」


「あぁ心配してくれてありがとうな」

 

すると相変わらず食堂で、新人冒険者に絡んでいたオークラが声をかけてきた。


「コウキ森に行くのか?俺も付いて行っていいかい?ちょっとオークの異常発生が気になってて調査したかったんだ」 

 

絡まれていた冒険者が、助かったと言う表情をしてた。


「別にいいけど俺のペースに付いてこれるのか?遅れたら遠慮なしに置いていくぞ」

 「馬に乗っていくから大丈夫だ」


「そうか、それなら早速行くか」


「コウキは馬とか使わないのかか?」

 「あー持ってないしな、俺は準備運動を兼ねて走るから大丈夫だ」


 二人で森に向かって出発したが、俺が普通に走ってると、馬よりペースが早かった。段々オークラが遅れてきたので、少し待ってやってると、ゴブリンの影が見えた。手頃な石を拾って投げつけると一発で頭を粉砕した。


 追いついてきたオークラがそれを見て「コウキって完全に規格外だな、魔法なんて必要無いな」と言ってきたので、「魔法はまだ慣れてないからな、今はこっちの方が手っ取り早い」と答えておいた。


 森が見えてくると同時に、魔物の気配も増えてきた。やはりオークの気配が多いな、適当に投石で倒していく。回収しないと勿体無いな、と思ったら


 『アイテムボックスを利用されますか?』とナビの声が聞こえた。勿論イエスだ。


 手で触れることで指定をして、収納が出来る、内部は時間経過が無いらしい。メチャクチャ便利だな。


 容量は使用者のLVの応じて増えていく仕様らしい、重さは関係なく容積で、今の俺だと一辺777Mの立法体の容量だ。


 但し生き物は収納できない。


 一度収納すると勝手にリスト化されて、取り出しはリストに載っているものを指定するだけで、自分の廻りにLV✕1M以内の好きな場所に指定できる。俺だと777m以内の場所に自由に取り出せる。これも使い道は多そうな仕様だな。


 しかも、魔物や獣の死体は、アイテムボックスの中で解体出来る。マジでアイテムボックスってチート過ぎるな。俺の夢想スキルがチート過ぎるだけなんだろうけど。


 俺が、アイテムボックスに倒したオークを次々収納していくと、オークラがびっくりして聞いてきた。


 「コウキもしかして収納バッグ持ってるのか?それにしては容量が多すぎる気がするが?」


「ああ、そんな感じだ、容量は気にするな偶然一杯入るのが手に入っただけだ」


 奥に向かっていく方向に、大量の気配があった。


「オークラこのまま奥に向かうと、恐らく集落があるな、気配が集中してる。どうする?」

 「集落を確認して、一度戻ることにしたいがそれでいいか?」


「ああ、俺も今日は様子見のつもりで来ただけだから構わないぞ」


 そのまま500メートル程進んだ所に、かなり大勢のオークの姿が発見できた。これが集落で間違いないだろう。魔物だから別に建物を建てたりする訳じゃないので、ただ集まっているだけだ。だがよく観察すると大勢が集まってる奥の方に、洞窟が確認できたこの洞窟が本拠地なんだろうな。


 オークラがその状況を見て、少し顔が青褪めている。

「この集落だと、恐らく総数で300を超える。そうなるとリーダーが30体ジェネラルが3体は間違いなく居る。下手すればオークキングが発生しているかも知れない」


 「オークキングってどの程度の強さなんだ?」


「オークキングは単独の出現でもSランクのパーティが必要になる。この集落を討伐しようと考えると、Sランクパーティが3組以上で、冒険者がCランク以上だけで100人は必要になる」


 俺は気になった事を確認してみた。


 「オークキングの肉って美味いのか?」


「美味いが、めったに出回ることはないな、ギルドに納品があれば大体は王宮が全部買い付けるから、一般で売られることはほぼ無い」 


 「それは強制的に買い取られちゃうのか?」


「ギルドに納品したものに関してはそうだが、討伐した本人が納品せずに食べる分には問題ないけどな」


 「そりゃ頑張って倒さないといけないな。ギルドはいつ動くんだ?」


「今ファルムにはSランクパーティが滞在してない、ギルドの通信網で連絡しても最速で5日は掛かるだろうから、それ以降の討伐に成るな」


 「この周りの村とか襲われたりしないのか?」


「それは、大変危険な状況だとしか言えない、オークは雄しか産まれないから、他種族の雌の体に、種族関係なしに生殖行動をしてくる。この周りの村は既に襲われているかも知れない。これだけ増えている以上は必ず襲われて苗床にされた雌の個体が居るってことだからな、人間でなかったことを願うしか無い」


 「既に襲われて村ごと滅ぼされてる可能性もあるって事か?」


「ファルムまで連絡が入ってきてないから解らないが、夜に襲われてたりすると、可能性はある、むしろこの規模のオーク集落があるって事は、その可能性のほうが高い。取り敢えずは急いで戻ろう。俺はギルドマスターと相談して出来る限り早急に討伐隊の準備をする」


 「なぁオークラ、俺が勝手にこの集落討伐するのは、構わないのか?」


「いくらコウキが強くても無理だ、数が違いすぎるし、単独討伐なんて帝でも無理な話だ」


 「どうせ討伐隊集めるまで日数かかるんだろ?それまでの間は自由にやらせてくれ、最低でも数を減らしておく位の事は出来るからな」


「絶対無理をするなよ、取り敢えず今日は戻ろう」


 俺は今日の所は、オークラと一緒に戻ることにしたが、また来るのになんか簡単な方法ないのかな?と考えたら、『転移』スキルを獲得しました。と、ナビの声が聞こえた。


 仕様を確かめると、一度訪れたことがある場所に転移をすることが出来ると表示された。これはメチャクチャ便利になったな。スグに試そうと思って、自宅に転移を発動してみたが、出来なかった。どうやらこのスキルを覚えてから、立ち寄った場所に成るみたいだな。

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