第1話 さぁどうする

 俺はマップに表示された、内容を基に街の方向に向かって歩き始めた。

 距離的には10㎞程だ。

 そんなに問題は無く着くだろう。


 10分程歩いたら、何やら気配を感じた。

 廻りに気を配ると『グレーウルフ5匹が存在します』とナビが伝えてきた。

 どうなんだ俺で勝てるのか? と思うと『ステータスを表示します』と聞こえ目の前に謎スクリーンが展開された。


グレーウルフ LV3


HP    33

MP    33

攻撃力  3

防御力  3 

敏捷性  3

魔力   0

魔法防御 1

運    1


 うん雑魚い。

 俺もしかしたらメチャクチャ強いのかも。

 これなら大丈夫だと思って、石ころを拾って投げつけてみた。


 石は簡単にグレーウルフを突き抜けた。

 もう一度石を投げる。

 今度も身体を貫きその場にウルフは倒れた。


 残り3頭が一斉に飛びかかってくる、手を噛まれたが、牙が刺さらない。


 咥えられたまま身体を地面に叩きつけると「ギャウン」と一鳴きして動かなくなった。


 残りの2匹が一瞬動きを止める。

 一匹蹴り飛ばしてみた。

 10mほど飛んでいき頭から地面に落ちた。

 首が変な方向に曲がってる。


 残り一匹召喚された時に握っていた剣を振るってみた。

 見事に縦に一直線に切り裂いた。

 勢い余って地面に刺さったが、地面も大きくエグれた。


 初めての戦闘を終えると……


獲得経験値15

獲得G   15G


 と聞こえた。うん謎システムだな。

 まぁ解りやすいから良いや。

 と深く考えないことにした。


 更に街に向かって進む。

 馬車が止まっている大きな馬が繋がれているが、既に馬は動いていない。

 首から上が無かった。

 

 そして廻りには、ずたずたに引きちぎられたような兵士の死体が4人分。

 馬車を覗くが誰も居ない。

 が…… 反応があった。


 荷物箱の中に小さな生命反応。

 開けてみると女の子が居た。

 怯えて泣いている。


 「何が在った?」と聞くと、「オークとゴブリンが襲ってきたの、イザベラがここに隠れていなさいって言って、入れられたの」と答えて来た。


 「その人は何処に行った?」

 「オークに攫われて連れて行かれたの、他の侍女と一緒に」


 ふむ、これは連れて行かれて苗床にされるパターンで間違いないか?

 助けられるかな?


 「どれくらいの時間が立ってる?」

 「5分くらいだと思うの」

 まだ泣いている。

 そりゃそりゃそうだよな。


 「このままここに隠れていろ」と言って探すことにした。


 ナビに確認する。

「ここを襲った魔物って表示できるか?」

『かしこまりました』の声と同時に謎スクリーンが展開した。

 赤い点で表示されているのが10個青い点が4個。

 これに間違いなさそうだ。


 距離的には1㎞も無さそうだ。

 早速走って追跡する。

 すぐに姿を捉える。

 途中で手頃な石を拾っておいたので投擲する。

 遠慮なしに頭をめがけてだ。


 次の瞬間、オークの頭が吹き飛んだ。

 続けざまに石を投げるゴブリン3匹、オーク2匹を倒す。

 

 仲間を殺られたことなど気にもとめず、女性達を抱えたオークがそのまま走り去ろうとする。

 既に女性達は服を破られ見えちゃならない所が色々見えてるが、そんな事を気にしてる場合じゃない。


 俺は剣を構えて、一気にオークに詰め寄る。

 一匹は後ろから心臓を一突きしてすぐに剣を引き抜き、もう一匹の首を跳ねる。

 残す二匹はこの状態になっても、侍女を連れ去ることの方が重要みたいだ。


 どんだけ性欲の塊なんだ…… 俺は走って真正面に回り込んだ。

 女性を後ろに吊るすように抱えていたからだ。


 オークの股間が巨大に膨れ上がっていた。

 キタねぇもの見せやがってと思いながら正面から切り裂いて倒した。

 はらわたをその場に撒き散らすようにして倒れたオークの首を跳ねて、取り敢えずは倒し終わった。


獲得経験値85

獲得G  85


 と表示された。

 この世界では経験値とGは自動取得みたいだが、ドロップアイテムは自分で剥ぎ取らなければ行けないみたいだ。

 死体がそのまま残ってるしな。


 女性達に声をかける。

「大丈夫ですか?」

「見ましたね? 嫁入り前の私達の身体を…… 責任取って下さるんでしょうね?」


「ぇぇ、その展開って酷くねえか?」

「冗談です」


「なんでこの状況で冷静にそんな台詞が言えるんですか?」

「慣れ?」 


「そんなに頻繁に襲われるんですか?」

「いえ初めてです」


「慣れ? っていう発言の意味は??」

「なんとなく言ってみました」

 

 綺麗な人なんだけどなんか苦手な感じがする。

 破られた衣服から色々見えちゃってるし困ったな。


 『修復魔法を獲得しました』使用されますか? と再び声が聞こえた。


 ぉ、【修復】と念じると侍女たちの服が綺麗に修繕された。


 「怪我はないですか?」と聞いてみる。


 一人の女性の手が大きく腫れ上がっている。

 あー折れてるなこれは、治せるかな?


 『治癒魔法を習得しました』使用されますか?


 ぉぉ、【治癒】と念じた。


 女性の手の腫れが収まっていく。


 「修復出来るのに後回しにして、私達の身体を堪能なさいましたね? 責任を取って下さるのですか?」


 またかよ!


 「取り敢えず馬車に戻らないと、さっきの女の子一人っきりだから心配だよ」

 と言うと、4人の侍女たちが、「アリス様ぁあ」と叫びながら走り去っていった。


 なんか賑やかな人達だよな。


 女性ばかりで馬の居ない馬車に戻っても大変だろう? と思って、俺も馬車の方に行ってみた。


……どんだけトラブルメーカーなんだろこの人達。


 今度は見るからに山賊な方たちに襲われていた。

 さっき折角修復したメイド服は、またしても破れ、抑え込まれて犯される寸前だった。

 再び石ころを拾って投げつける。

 山賊たちは全部で6人居たが、みんな頭に石をぶつけて、殺してしまった。

 罪悪感は無いな。

 不思議だ人を殺したっていうのに。


「また見ましたね、いやらしい目で…… その視線だけで妊娠してしまいそうだわ。責任を取って下さいますよね?」


 「いやいやいや、そうじゃないだろ? 他になにか言うことはないの?」

 「もっとよく見せろと? 本当にいやらしい人だわ、少しだけですよ」と破れた服を更にずらした。


 「


 再び【修復】を発動して服を治した。

 アリス様と呼ばれた女の子が、出てきたが死体だらけの現場を見て、顔が青ざめた。

 イザベラと呼ばれた侍女が、アリスを支え、「もう大丈夫ですよ悪い人はもう居ませんから、いやらしい人は一人残ってますけど」


 まだ言うか。


 山賊が乗ってきたと思われる馬が、側に繋いであったので、それを殺された馬のかわりに馬車に繋ぎ、動かす事にした。

 やった事はなかったが、ナビがその都度教えてくれたために、なんとかなった。


 侍女たちは、御者を出来るか聞いてみたが、誰も出来ないと言うので、しょうがなく俺が御者席に座る。

 死体を焼かないと魔物がよってくると言うので、持ち物だけ回収して、全員をひとまとめに集めて、燃すことにした。

 イザベラが高火力の魔法を使って燃やしたが、そんなに強い魔法使えるなら何で簡単に2回も捕まったんだYO。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る