第41話 カレーショップ華麗にオープン
流石にファルムの2件の屋敷でも100名以上の女性が暮らすのは、少し無理があるので今後どうするのかを話し合う事にした。
メンバーは、最初に俺が購入した8名と、イザベラ、トール、サリア、アーガイル翁の13人だ。
ちなみにタウロ子爵は、昨日の夜王都へ送り届けた。
今日からは、北の大地に現れた災厄へと向かうらしいけど、ギルドマスターとしてではなく、総帝としての任務だから基本は隠密行動でメンバーも帝のみが何名か招集されるそうだ。
帝が必要ならトールとサリアは? と思ったけど、何も言って無かったから別のメンバーを連れて行くんだろうな。
「みんな朝から集まって貰って悪いな。フローラのお店の方は大丈夫なのか?」
「あたいの店は、他の子達だけでも全然問題なく営業できます。みんなが良くやってくれるから」
「そっか、それなら安心だな」
イザベラが代表して発言した。
「まずは、オーク集落の討伐完了ありがとう。ファルムからの報酬は後日改めて提案させていただくわ」
「ファルムとしてはね、コウキに上げた土地を開発して貰いたのよね。今コウキが獣人国との街道整備をしてくれているから、この先あの土地が重要な街に発展することは間違いないと思うの。コウキの冒険者ランクが正式に伯爵位と同等であると、王都のギルドマスターもお墨付きをくれているから、コウキ領で問題無いしファルムからは一切口出しはしないから、好きに開発を進めて欲しいわ」
「でも、それだとファルム辺境伯からしてみたら、得が少なくないのか?」
「そんな事ないわよ。少なくとも街道が開通すれば、獣人国からノアの王都へ向かう場合9割以上が、コウキ領とファルムを通って王都へ向かう事になるわ。エルフの王国もその方が近道になる筈だし、それによってもたらせる経済効果は計り知れないわ」
サリアが獣人としての立場で意見を言ってくれた。
「あのね、うちは一応獣人国で侯爵家を名乗ってるんだけど、このノア王国は一応人種差別が無いっていう事になってるから、親密に行き来があるけど領地によっては必ずしも友好的では無いんだよね。アーガイル爺ちゃんのゼスト領でさえ、爺ちゃんが倒れてからは余り友好的ではなくなった街が沢山あったし、コウキなら本当に私たちが嫌な思いをしなくていい街を作ってくれそうだから期待してるんだよ」
「まぁどちらにしても、あの土地の開発は進めていくよ。当面は今回救助した女性たちをどうするかだけど、当面はユーリに心のケアをお願いして森の入口の土地で生活をしてもらおうかな」
「かしこまりましたコウキ様女性たちの事はお任せください」
「カイル、あの街で養鶏とカレーに使うスパイスの栽培を始めて貰いたいが、任せても大丈夫か? 」
「了解しましたコウキ様。お任せください」
「カオル、食堂の営業はそろそろ始められそうなのか? 」
「はい、コウキ様オーク素材で作ったカレーも大変美味しく出来上がりましたので、もういつでもオープンできます」
「そうか、早いほうが良いな。来週から始めよう」
「今日は実際にお店で提供するカレーをご用意してますので、皆さんでお召し上がりください」
それから、カオルの用意したカレーライスをみんなで試食した。
とても好評だった。
トールが「この間の飛竜のカレーも旨かったけどこれもいいな、上に載ったオークのカツレツとの相性が抜群じゃないか」とべた褒めだ。
「ハッサンさんの商会が、ノア王国全土への店舗展開をするらしいから、全国で味わえるようになるのもそう遠くないぞ」
「今日はこちらもお試しくださいね」とカオルが次に出してきたのは、カレーうどんだった。
「これはまた旨いな。わしはライスよりもこの太い麺の方が食べよいぞ」とアーガイル翁がとても気に入ったようだ。
「爺ちゃん。汁が飛び跳ねてお髭がカレーだらけになってるよ」
と、サリアに突っ込まれていた。
カレーショップは成功しそうだな。
◇◆◇◆
オーク集落の討伐が終了した事で、バロンへと抜ける街道の整備も安心して進める事が出来る。
昨日のオーク集落があった場所の小山を吹き飛ばして、かなり広い土地が出来上がったので、ここにはちょうど中間点でもあるので、宿場町を作れるように整備をしよう。
アランとサリナ、トール、サリアの4人を連れて、再びオーク集落の跡地を訪れた。
「コウキ、あそこ見てみろ湯気が出てるぞ」
トールの言葉に、その場所を見てみると池の様になった水たまりから湯気が出ていた。
「これは……もしかして天然温泉か?」
周囲を確認すると、風向きの影響で気付かなかったけど、硫黄臭もしている。
間違いないな。
小山を吹き飛ばした後の場所に、温泉が湧きだしていた。
「これは観光地としても、人気が出そうな土地になったな。今日は道路の延長は止めてこのオーク集落の跡地を壁で囲んで、町づくりの準備が出来るようにしよう」
俺が土精霊を呼び出して、周囲を広めに囲んだ。入口の土地と比べても半分程度の大きさがある。
3万人程度が暮らすには困らないだけの広さはあるな。
温泉旅館なんかを作ったら、きっと栄えるだろうな。
取り敢えず、湯が沸きだしている場所も土魔法でしっかりと固めて、セラミック化させプールのような広い湯舟を作った。
「熱いーーー」とサリアが手を突っ込んでから叫んだ。
確かに少し温度が高すぎるな。
付近を流れる小川から、水を引き込んで温度を調節したお湯を貯めるようにしないといけないな。
夕方までかかって周囲の囲みを完成させ、ファルムの街に帰還した。
早速イザベラの元へと、トールとサリアを連れて出かけ、今日のオーク集落の跡地の事を話した。
アーガイル翁も一緒に居て「温泉とな、どうじゃその街ならファルムの支配地域でもないし、わしが面倒見てやってもよいぞ」と言い出した。
「そうね、今回のコウキへの報酬はアビスフォレストの開発許可を与える事にしていたから、コウキが開発さえすれば、森の中は際限なくコウキの領土として認める事になるわ。王都の父とも話して決めた事だから問題は、何も無いわよ」
「でもさそれって、この国ノア王国としてはどうなの? そんなの認めるのかな?」
と俺が言うと、アーガイル翁が「それは大丈夫じゃて、わしは今のノア王とも親しくしておったで、わしが絡んで居れば何も王国から言われることは無い筈じゃて」
「そうなんだね、アーガイル翁頼んだよ立派な温泉付きの領主館を立ててあげるからね」
「ほーそれは楽しみじゃ」
宿場町も前途洋々だな!
◇◆◇◆
一週間が経過して、今日はカオルのカレーショップのオープンを迎えた。
大量の花が並び周囲に漂うカレーの香りにも誘われ、オープン前から大量の人が並んでいる。
100席ほどのお店だが、今日は俺の元で暮らす女性達も40人体制で、受け入れ準備を行っているので問題は起こらないだろう。
オープン前にハッサンさんの商会のメンバーも訪れて、簡単なオープン前の挨拶を行った。
このカレーとうどんのお店は、料金もリーズナブルに設定した。
基本の素うどんは一杯30G
カレーも基本の量だと38Gと毎日でも通える設定だ。
量とトッピングでどれだけでも、贅沢な組み合わせにもできるのも魅力だ。
名物になりそうなカレーうどんは50G
シークレットメニューの飛竜カレーは300Gに設定した。
開店時間を迎え、次々に入店するお客さんで店内は一気に満席になった。
提供時間が心配だったが、カオルが中々の采配を見せ、一気に埋まったお客さんに対して、総て注文から10分以内での提供が出来ていた。
俺はお店の外で、食べ終わって帰るお客さんの表情に注意を払っていた。
どのお客さんも笑顔で「美味しかったねー次は何をトッピングして食べようかと考えたら、毎日来なくちゃ行けなくなるねー」とかの声が聞こえ、俺の横に立っているハッサンさんも凄い笑顔で手ごたえを感じていた。
「いやぁコウキさん、想像以上の出足ですね。さっそく私の方も動き始めますよ、まずは王都とゼスタール男爵領に開店します1月以内にはオープンさせますよ、スパイスの確保も含めて王都で指示を出したいので、今日は後で王都へ送っていただけますか?」
と、もう完全に商売モードに入ってる。
これならハッサンさんがノア王国全土に支店を構える夢も、早々に達成されるかもね。
◇◆◇◆
初日の営業を終えた。
売り上げは平均単価80Gのお店としてはびっくりの20万Gを超えた。
2500人のお客さんが来た事になる。
「コウキ様ぁこんなに来てもらえると思ってなかったから、材料が足りなくなりそうです。もう今から明日の営業に備えて仕込み始めなくちゃいけません」
「嬉しい悲鳴だな、でも決して無理はするなよ。儲けを出す事だけが目的のお店じゃないんだから、一日限定何杯とかにしても全然構わないんだからな」
「でも皆とってもやる気になってるから、出来るだけ頑張ってみます」
「提供の速さも勝因だな、メニューを絞り込んだのは良かったな」
「今日は今から朝までトールとアランにうどんの麺を捏ねさせるか、あれは力がいるからな」
トールが俺を睨んできた。
「帝に麺を捏ねろとか、ひでぇなコウキ」
「俺に勝ちたいんだろ、鍛錬だと思えば丁度いいだろ」
アランも以前に体験しているだけに、少し顔色が悪く見えたぜ。
踏んで捏ねる方法なら女性でも全然、出来るんだけどまだその方法は教えないでおこうかな。
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