第22話・黄色の涙は悲しみの色。赤色の涙は喜びの色。

ポンポンは一本道に落ちている宝石をもう一度よく見てみました。よく見ると、ほとんどは黄色い色をしていますが、中には青色もたくさんあって、赤色のも少しだけあります。

「ドラゴンさん、この宝石ってマグマでできるのに赤色のはあんまりないんだね。」

「ああ、宝石の色とマグマは関係ないんだよ。涙の種類によって色が変わるんだ。黄色は悲しいとき。青色は寂しいとき。赤色は嬉しいときだよ。」

「そっかー。じゃあ、赤色が多い方が嬉しいね。」

「そうなんだ。」ドラゴンはまた一粒涙を落としました。「ボクは赤色の宝石がいちばん好きなんだ。だけど最近は黄色ばっかり増えていくから、その黄色い宝石を見ているともっと悲しくなってきて、また黄色が増えていくんだ。」

「ねえ、ドラゴンさん、この黄色い宝石ね、ドワーフの人にあげてもいい?きっと欲しがるよ?」

「ドワーフ?それなら、コンコルド鉱山の透明な宝石と紫色の宝石と交換ならいいよ。」

「じゃあ、ドワーフの人達呼んでくるね!」

ポンポンとバェェは急いでドワーフのところに戻って事情を説明しました。

(その前にバェェはドワーフに水をもらって元気に元の大きさに戻りました。)

ドラゴンの宝石はとっても珍しいので、ドワーフ達はとっても喜んでトロッコ3台分の透明の宝石と紫色の宝石をもってサンサーン火山にやってきました。

あっという間に火山の中の黄色い宝石は半分以下になって、その分、透明の宝石と紫色の宝石が置いていかれました。

「わー!黄色の宝石がいっぱいなくなったね!ありがとう、ポンポンさん、ドワーフのみんな!」

「…ねえ、ドラゴンさん、黄色は減ったけど、透明のと紫色のが増えているから、狭いままだよ?」

「あっ!本当だ!」ドラゴンはビックリしてまた涙を一粒こぼしました。

「どうしよう!黄色も嫌だけど、狭いのも嫌だったんだ!」

「そうだよね。困ったね、どうしようか。」ポンポンと顔3つのバェェはどうしようかとウンウン考えました。

「トットッタの人達を呼んでくるかい?」前にポンポンと一緒にトットッタ村まで行ってくれたドワーフが言いました。「トットッタの人達なら、石を使ってこの一本道に宝石を置く棚をつけれるはずだよ。」

「ほんとに!?」ポンポンとドラゴンが同時に聞きました。

「トットッタの人達にも宝石をあげたら、きっと協力してくれるよ。」

「いい?ドラゴンさん。」

「うーん…そうだね。棚に宝石を置いたらきっと、とてもステキになるからね。」

こうしてサンサーン火山の中にトットッタの人達の石の棚が付けられることになりました。

トンカントンカン。トットッタの人達はあっちにこっちに走り回って、火山の壁に道に沿った石の棚をあっという間につけてしまいました。その棚はトットッタの人達が彫刻した花と木の柄が横に入っていて、とってもステキでした。

ドラゴンはとっても喜んで、その大きい宝石はあっちに、小さめのはこっち。赤色のはそのよく見えるいちばんいいところに、青色のは紫色の二つにはさんで置いてと、あれこれ指示を出し、ポンポンもバェェもドワーフもトットッタもみんな汗だくで走り回りました。

全部の宝石が並び終わると、壁一面キレイに並んだ宝石がとってもピカピカ光って、コンコルド鉱山の中で見たお星さまの見える夜空の中みたいな宝石よりも、もっともっと輝いていました。

「ありがとう!とっても嬉しいよ!!こんなにうれしいのは、今まででいちばんだよ!!」

そう言ってドラゴンは、赤色の涙をいっぱい流しました。

ポンポンはその赤色の涙を見て、この赤色はきっと杖の魔石に入れるやつだとピンときました。

「ドラゴンさん、その涙ちょうだい!杖の魔石に入れたいの!」

そう言ってポンポンは杖を両手でかかげました。その瞬間、ドラゴンの涙がとっても赤く光って、スーッと杖の魔石の中に入っていきました。

ポンポンの杖の魔石はまた一部だけ赤くなって、髪の毛も少しだけ、もう肩まできていましたが七色になりました。

「君は色の魔法使いなの?」ドラゴンは目をパチクリさせました。

「そうだよ。ここには、赤色をもらいに来たの。」

「ちゃんと赤色はとれたかい?」

「ほら見て、魔石がいろんな色になっていて、ここんとこがちゃんと赤くなっているでしょ!」そう言ってポンポンは魔石の赤い部分を指差してドラゴンに見せました。

「そっか、よかったね!」

「うん、ありがとう!」

ポンポンとバェェとドラゴンはにっこり笑い合いました。

「あっ!そうだ。ドラゴンはね、色と色をくっつけることができるんだよ。」

「色と色をくっつける…?」ポンポンは首をかしげました。

「何か困ったことがあったら、ボクに言いに来たらいいよ。」

「わかった、ありがとう!」

「バェ…」気が付けばバェェの顔は1個半になっていました。

「わっ!大変、バェェがなくなっちゃいそうだから、もう行くね!」

「うん、またね、ポンポンさん、バェェさん。」

「またね、バイバイ、ドラゴンさん!」

「バェ…」

ポンポンは大慌てでバェェを連れて、サンサーン火山をあとにしました。

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