第50話・太陽に最も近き塔で目覚めのじゅもんが紡がれる。
「それでロロさん、これからどうしたらいいの?」
バェェが苔を食べて顔を5つに戻してる間にポンポンがロロさんに聞きました。
ロロさんは先代の色の魔法使いのことを書いた伝記をパラパラとめくって、ポンポンに見せながら話しました。
「ここを見てください。
『ドラゴンの生み出した金色に輝く
星のあかりを手に太陽にいちばん
近い塔へと向かった』
と、あります。
ポンポン様は七色の玉ですが、先代の時は金色の玉だったのです。」
「太陽にいちばん近い塔って…ゴマーベールの塔?」
「そうです。あの塔のいちばん上に行きましょう。」
ポンポンはまだ気持ち良さそうにスヤスヤ眠り続けるピョンピョンを抱っこしたままなでました。
「いちばん上ってヌボチがいた部屋?」
「ヌボチさんは何階にいましたか?」
ロロさんは本を閉じてカバンにしまいました。
「んーと、たしか6階だよ。でも普通の部屋だったよ。」
「その部屋から空は見えましたか?」
「小さい窓が3つくらいあったよ。」
「それでは、それよりさらに上でしょうね…。」
「もっと上があるんだ…。」
ポンポンたちは苔をいっぱい食べて元に戻ったバェェに乗ってゴマーベールの塔へと向かいました。
前にポンポンとバェェがゴマーベールの塔に来たときは、ポンポンは小人になる薬、リピスターリピマックスを飲んで、塔の2階にある小さい扉から中に入りましたが、今回は6階のヌボチの部屋のドアから塔の中に入りました。
「ヌボチいるー?ポンポンだよー。」
「ポンポンか!?色集めは終わったのか?」
ヌボチは前の時と違って体に紫色が入っていないからか、機嫌の悪い顔ではなく、穏やかな顔をしていました。
王様みたいなイスからすぐに立ち上がって、ポンポンたちのことを迎え入れてくれました。
「ピョンピョン!!!」
ヌボチはバェェの上でスヤスヤと気持ち良さそうに眠るピョンピョンに気付いて駆け寄ってきました。
ポンポンは、ヌボチにピョンピョンとなぜ今、一緒にいるか、ピョンピョンがなぜ眠っているかを話しました。
「ポーツネールの人たちも、ピョンピョンちゃんがなんで寝ちゃってるのか分からないって言ってた。」
ポンポンは心配そうな顔でピョンピョンをモミモミしました。
「そうか…。この塔にはビャンビャン様…いや、ビャンビャンの魔術の本がいっぱいあるから、探せばピョンピョンが目覚める手がかりが何かあるかもしれない…。」
「なんかね、あたしの杖を完成させるために、この塔のいちばん上の部屋に行かなきゃないんだって。」
ポンポンが天井を見上げて言いました。
「この部屋よりも上の階か?」
ヌボチもポンポンと一緒に天井を見上げました。
ロロさんが、また先代の色の魔法使いのことを書いた伝記をパラパラとめくって言いました。
「えー、先代によると、
『太陽にいちばん近い塔の、
太陽に最も近い広間で
金色に染め上げられた
色の秘宝を捕らえた』
と、ありますね。
少なくとも…この部屋は、太陽に最も近い広間という感じはしませんね。」
と、ロロさんは部屋中をキョロキョロと見回しました。
「たしかに。少なくても太陽が見える部屋じゃないとね…。」
ポンポンもキョロキョロと部屋中を見回します。
「バェッバェッ」バェェもうなずいでいます。
「ボクもこの部屋のことはよく知らないんだ。手分けして、何か手がかりがないか探してみよう。」
ポンポンとバェェとヌボチは床や壁に何か仕掛けでもないか、ロロさんはビャンビャーの魔術の本を調べることにしました。
ピョンピョンはやっぱりまだまだ目覚めそうにないので、ヌボチの王様みたいなイスに寝かせておきました。
「上に行く階段はないし、ドアは外に行くドアひとつだけだね。」
ポンポンは何かスイッチでもないか、壁をなでてまわりました。
「ああ。そもそもこの塔は6階建てだ。ここより上に部屋なんかないぞ。」
ヌボチはイスやら本棚やら家具やらを見ながら言いました。
「あります!先代は、ゴマーベールの塔の最上階は世にも稀な美しい部屋だったと言っていたのです!」
ロロさんが食い入るように見ていた本から顔を上げて言いました。
「しかし、ここにある本には、特に役に立ちそうなことは書いてませんね。」
「バェッ!バェッ!」
天井を調べていたバェェがみんなを呼びました。
「バェェ、なんかあったの!?」
ポンポンはバェェのいる天井を見上げました。
バェェは「バェッバェッ」と言いながら、体を天井全体にこすりつけています。
すると、天井一面がきれいな鏡になったのでした。
「バェェ、すごいよ!よく見つけたね!」
ポンポンがぴょんぴょん跳ねて喜びました。
「バェ!バェ!」バェェもお手柄なので、得意そうにボヨンボヨンと左右に揺れました。
「見てください!天井の鏡の真ん中に金色のでっぱりがありますよ!」
ロロさんが天井を指差しました。たしかに天井の真ん中に金色のでっぱりがあって、そこには小さい穴が2つあいていました。
ポンポンがバェェに乗って近寄ってみると、その小さい穴は鍵穴のようです。
ポンポンはカバンからアメーリアの祠とサンボーラの祠の鍵を取り出して、試しに鍵穴にさしてみました。
「やっぱり…!」ポンポンが思った通り、鍵はピッタリとはまって、カチリと何かが開く音が部屋に響きました。
そのカチリという音と同じタイミングで、グッスリスヤスヤ眠っていたピョンピョンが突然目を覚ましました。
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