第49話・白い繭に包み込んだ白くて黒いものの蒸しあげ方。
「ビャンビャン!!」ポンポンがビックリして叫びました。
「ビャンビャーだ!!」ビャンビャーは、やっぱりイヤそうな顔をしました。
「ポンポン様、渡してはなりません!!」
ロロさんがおさえられながら叫びました。
「黙れ!」
ビャンビャーが杖からバラの枝を出して、ロロさんを縛り上げました。ロロさんの苦しそうな悲鳴が響き渡ります。
「えっ、どうしよう!ロロさん、大丈夫!?」
「バェ!バェ!」
ポンポンとバェェは、どうしたらいいか分からずオロオロとしてしまいました。
「さあ!その玉をこっちによこすのだ!」
ビャンビャーがポンポンに手をのばします。
「ポンポン様、渡してはなりません!その玉は純粋な者しか、さわってはいけないのです!悪意のある者がさわると、たちまちただの土のカタマりになってしまいます!」
「黙れ!」
ビャンビャーがロロさんを縛るバラの枝をさらにきつくしました。
ポンポンとバェェがオロオロしていると、ドラゴンが隙をみてビャンビャーに火をふこうとしましたが、ビャンビャーはそれよりも速く氷の魔法を使ってドラゴンの火を凍らせてしまいました。
氷になったドラゴンの火は、マグマの中にポチャリと落ちて一瞬で溶けてしまいました。
バェェもなんとかしようと、少しだけ大きくなりましたが、この暑さです。
あっという間に汗いっぱいかいて、顔3つ分になってしまいました。
ビャンビャーが不敵な笑みを浮かべ、ゆっくりとポンポンの方に少しずつ近付いてきます。
「さあ、はやく渡すのだ。」
ポンポンは、しゃがみこんで玉を抱え込み、杖をかまえましたが、ロロさんに当たったら大変なので、ビャンビャーに攻撃することができません。
「ポンポン様!私のことは気にしないでください!
どちらにしろ、その玉は色の魔法使いしか使えないので他の者が持っても意味がないのです!」
ロロさんが必死に叫びます。
ビャンビャーはなおも笑いながら一歩一歩と、少しずつポンポンの方に近付いてきています。
「ふん!その玉がどうなろうと、わしにとってはどうでも良いことだ。今の時点でわしの方がその小娘より魔力が上だから、お前にそれを使わせなけりゃいいだけの話だ。」
ビャンビャーは静かにポンポンに杖を向けました。
ポンポンは、いちかばちかビャンビャーに攻撃しようと杖を持つ手に強く力を込めました。
と、次の瞬間、「わー!わー!」と叫ぶ声とともに小さい石のようなものがビャンビャーめがけてたくさん飛んできました!
「なんだ!?なんだ!?」
ビャンビャーもロロさんもポンポンもバェェもドラゴンも、みんな石が飛んで来る方を見てみると、ドワーフが壁に飾っているドラゴンの宝石や鉱山から持ってきた宝石をビャンビャーめがけていっぱい投げてきていました。
ビャンビャーがひるんだ隙にポンポンは杖に魔力をいっぱい込めて、火山の中、全部をまぶしい光でいっぱいにしました。
ロロさんもビャンビャーのバラの枝がゆるんだので、「えいっ!!」と、勢いをつけて、そのままビャンビャーに体当たりしました。
「ロロさん、よけて!!」
ポンポンは叫び、杖からさらに強い光を放ちました。
「ぐわー!!!」
ビャンビャーはまぶしい光を両手で目をふさぎ、バランスを崩してそのままマグマに落ちてしまいました。
ビャンビャーは、マグマに落ちながら最後の力を振り絞って杖から白い帯のようなものを出して、その帯で自分の体、全部を繭のようにグルグル巻きにして、マグマの中に落ち、プカプカと浮かびました。
「し、しんじゃった…?」
「バ、バェ…。」
ポンポンとバェェはこわごわとマグマを覗き込みました。
ビャンビャーを包んだ繭はまだプカプカと浮かんでいます。
「おそらく死んではいないですよ。」
ロロさんが、自分を縛っていたバラの枝から抜け出してポンポンのそばにやって来ました。
「先代が言っていました。あの繭のようなものにくるまれる魔法の中に入ると、中ではお腹はすかないし、のどもかわかないし、絶対に安全だと。
ただこのマグマの中なので自分では外に出られないでしょうし、外がマグマなので、相当暑いと思いますね。」
ポンポンがロロさんの服にひっかかっているバラのトゲを取りながら言いました。
「そっかー。もう戻ってこないなら、それでいいや。」
「バェ!バェ!」
バェェも2つになった顔でうなずいています。
「ピョンピョンちゃん、まだ眠っているね…。」
ポンポンはバェェの上で相変わらず気持ち良さそうに眠っているピョンピョンを心配そうに見ました。
「バェェさんも、もうこれ以上は危険でしょうから急いで外に出ましょう。」
ロロさんに急かされ、ポンポンはドラゴンが出してくれた玉をロロさんが背負うのを手伝って、ドラゴンとドワーフにお礼を言って急いで火山の外に出ていきました。
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