第18話・青き太陽の血潮をこの身に宿そう。
ポンポンとバェェは下に降りていき、像の正面に向かい合いました。
こんなに青い色をしているけど、この島では茶色があるはずです。ポンポンはそっとトンギルポヨス像の前に杖をかかげてみました。
すると、トンギルポヨス像の4番目の口から、先程の土と同じ茶色が出てきて、ポンポンの杖の魔石に入っていきました。魔石は他の色の時と同じく一部が茶色くなり、ポンポンの髪の毛もまた少しだけ七色の部分だけ増えました。
ポンポンが杖を高くかかげると、ペヨン・ポロロロヌスとペヨポポポースの人達は今までで1番大きい叫び声をあげ、今までで1番大きい歌声でうたい、今までで1番たくさん踊りました。
ペヨン・ポロロロヌスは泣きながらポンポンにお礼を言いましたが、少し長くなるので、どんな言葉を言ったかは、皆さんの想像におまかせするとしましょう。
トンギース島ではそれから1週間、宴が開かれ、ポンポンとバェェも参加しましたが、ペヨポポポースの人達は根っからの戦好きなので、ポンポンとバェェはこのままだと決闘に付き合わされそうだったので、2日目で立ち去ることにしました。
「ポンポン殿よ、そなたはこの聖地トンギース島に並々ならぬ恩恵を授けし色の天使、光の女神、太陽の天女である!そなたには、わずかばかりではあるが、我等ペヨポポポースの感謝の証としてこの聖地トンギース島の秘宝、七色柳で作りし腕輪を授けよう!」
七色柳の腕輪はトンギルポヨス像と同じ、角度によって色が変わる不思議な色をしていて、トンギルポヨス像のように気持ち悪い頭ではなく、一部に凝った花の彫刻がしてあってとってもステキだったので、ポンポンはとっても喜びました。
「ありがとう、大切にするね!!」
「その腕輪が、そなたらの旅に幸運をもたらすであろう。」
ポンポンとバェェはペヨン・ポロロロヌスとペヨポポポースの人達と別れを告げて、オシーゲの大渦にもう一度ハートの泡を与えて、アンギンザラー大陸に戻って行きました。
もちろん、別れ際にもペヨポポポースの人達の歌が響き渡りました。
遥か彼方の大陸よ
(ペーヨ・ペーヨ)
我を抱きし古の
(ペーヨ・ペーヨ)
その身に抱くは七色の
(ペーヨ・ペーヨ)
青き太陽の血潮よ
(ペーヨ・ペーヨ)
ポポポポース
我等こそ 選ばれし民
ポポポポース
この気高き 聖地に立つ
ポポポポース
七色柳の女神よ
我等 そなたの化身ぞ
いざ!いざ!いざ!
立ち上がれよ
我等 ペヨポポポース
戦の神に愛されし御子ぞ
(ペーヨ・ペーヨ)
(ペーヨ・ペーヨ)
大陸に戻ったポンポンは、まず地図を広げました。オシーゲの大渦とトンギース島の丸い黄色と茶色がちゃんとポコっとふくらんで少しだけ光っていました。
「んーと、次は…みどりだから、クドゥリ苔塚かぁ…、桃色だったらドールブラーイス山脈だから近かったのにね」
「バェェ!!!」
「大丈夫だよ!ちゃんと順番通りに行くから、苔塚に先に行くよ!」
「バェェェェ」バェェはきっと、順番よりもはやく苔を食べたかったのだと思います。
「バェェって、どれくらい高く飛べるの?」
「バェェェェェェ」バェェはポンポンを乗せて目一杯高く飛びましたが、その高さはせいぜいメリーベール村にあるおじいちゃん柳と同じくらいでした。
「こんくらいの高さならコントッタ山もバンパルネールの森も越えられないね…。」
「バェェェ」
ポンポンもバェェも残念そうです。
ポンポンは地図を見ながら言いました。
「しょうがないよバェェ、気にしないで?ユールーリの川を越えて、ギームンナー大橋とトットッタの人達が作ってくれた石橋を渡ってクドゥリ苔塚まで行こう!」
「バェェ!!」
バェェは苔塚と聞くと、少し興奮してしまいます。ポンポンはそんなバェェを見て、少し不安になってきました。
「バェェ、クドゥリ苔塚の苔は、他の苔と違って、クドゥリ様に守られてる大切な苔なんだよ?だから、そんなに簡単に食べちゃダメだし、メリーベール村の人達だって必要な分だけをちょっとだけ貰うようにしてるの。たしかにクドゥリ苔塚の苔は、他で見る苔よりもすごく大きくて、なんていうか、密集しているんだけど、それは大切な苔の証拠なんだからね!」
バェェは「バェ、バェ」と、ポンポンの話を頷きながら聞いていましたが、話を聞きながら全部の口からヨダレをいっぱいたらしていたので、どこまで理解しているのか分かったものではありません。
ポンポンもバェェがきちんと返事をするし、バェェの上に乗っているのでバェェの顔が見えないもんだから、すっかり安心しきってクドゥリ苔塚までバェェに苔の話を聞かせ続けたのでした。
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