第17話・四代目ペヨン・ポロロロヌスより賜りし土の恩恵。
「この杖に茶色を入れなきゃないの。どこにあるか分からないけれど、今まで取ったのなら、黒は丸い玉で、青はターレンスの像だったの。あとはオシーゲの大渦から黄色かな。
なんか、この島にも昔からある像とか泉とか、そうゆうんじゃなくても、何か古い物ってない?」
「さすれば、それなる場所は青き太陽の池とトンギルポヨスの像であろう。青き太陽の池はいつからこの島にあるか誰も知らぬし、トンギルポヨスの像ほど古き建造物はこの島において他にはない。この聖なる赤き決闘場であるコロッセオよりも古い。」
「トンギルポヨスの像?」
「左様。戦の女神の化身トンギルポヨス像だ。
知らぬとはいえ、その方等を捕らえし罪の償いとして、案内してしんぜようぞ。
気高き戦闘民族ペヨポポポースよ!馬引けーーー!!!」
こうしてポンポンとバェェは、ペヨン・ポロロロヌスとペヨポポポースの人達との大所帯でトンギルポヨス像の所へ行くことになりました。
道すがら、ペヨン・ポロロロヌスはトンギルポヨス像のことを説明してくれました。
「彼の場所はかつて青き太陽の池と呼ばれるこの世で最も青い物よりもさらに青い池があった。我等ペヨポポポースはその青き太陽の池で次なる戦いへの祈りを捧げ、来るべき決闘に備え身を清め、傷付きし時にはその青き水を飲み傷を癒してきた。我等ペヨポポポースはあの青き太陽の池と共に生きてきたと言えよう。すなわち、青き太陽の池は我等ペヨポポポースの命の源と言えよう。
しかし、長の年月でいつしかオシーゲの大渦が出現し、そのオシーゲの大渦の悪しき魔力により青き太陽の池が干上がってしまったのだ。
オシーゲの大渦を鎮めるべくこの聖地トンギース島の秘宝である七色柳を用い、三日月の夜光虫こと四代目ペヨン・ポロロロヌスにより、トンギルポヨス像が作られたのだ。」
「じゃあ、池は戻ったの?」
「いや、池は干上がったままであるし、オシーゲの大渦は年々その渦を巨大化させ、最早我等ではどのようにしたら良いものか、途方に暮れておった程だ。
この長の年月でこの島より出ていけた者は、金色の青きイカヅチことペヨヌース3世ただ一人であった。
大陸に渡ればオシーゲの大渦を鎮める手立てが何かあるのではないかと探りにいき、もうかれこれ15年。今となっては生きておるものやら、死んでおるものやら分からぬ有り様だ。
そしてこの長の年月で、この島に辿り着いたのは、その方等だけである。そなた、ポンポンと申したか?ポンポン殿、如何様にしてあの大渦を鎮められたのだ?」
「んーとね、アランドの村の長老さんが、オシーゲはハートのものが好きって言ってたの。だから杖からギムナージュの泉の藻から出たハートを出してオシーゲに向けたら入っていって、オシーゲがいっぱいまばたきして大人しくなったから、バェェに乗って来れたんだよ。」
「さ、左様か…。」ポンポンの説明では少し分かりづらかったみたいですね。ペヨン・ポロロロヌスは少し困ってしまいました。
やがてトンギルポヨス像の所に到着しました。
「……これ、何?」ターレンスの像のような鎧を着た普通の像を想像していたポンポンは戸惑ってしまいました。
「これは初代から四代までのペヨン・ポロロロヌスの頭部の像だ。合わせてトンギルポヨス像である。」
トンギルポヨス像はバンパルネールの森の妖精とはまた違う気持ち悪い姿をしていました。
頭部の像だけあって、丸い頭のような物が4つ縦に並んでいます。その4つの頭はそれぞれ目と口しかついていないのですが、1番上の頭には大きい目が1つとその下にポッカリ開いた目と同じくらいの大きさの口が1つ、2番目の頭には横に並んだ目が2つとポッカリあいた口が1つ(いちばんましに見えます)、3番目の頭には上に1つとその下に2つ並んだ合わせて3つある目とポッカリあいた口が1つ、4番目の頭には上にポッカリあいた口が1つとその下に口と同じくらい大きい目が1つついていて、4番目の頭以外、上3つの頭にはそれぞれひよこのような羽をつけています。
トンギルポヨス像はたしかに気持ち悪いのですが、使われている七色柳は光の加減で色を変える不思議な色をしているきれいな木でした。
「このトンギルポヨス像の下を見てみるがよい。」
ポンポンが下を見てみると、像の真下はまるく茶色くなっていますが、そのまわりの地面はとっても青い色をしていました。
「この青き部分がかつて青き太陽の池があった場所である。」
たしかに色がありそうな雰囲気はしましたが、これは青じゃないのかなぁ…と、ポンポンは少し不安になりました。
「さあ、ポンポン殿よ、心ゆくまで調べるがよい!」
「う、うん…。」ポンポンは気乗りしませんでしたが、何もしないで断るのも悪いと思って、なるべく目と口を見ないようにトンギルポヨス像を調べました。上からゆっくり見ていって、3番目の頭である物を発見しました。「あっ。」3番目の頭の3つの目の上に小さくサンボーラと書いてあったのです。きっとターレンスの像のようにどこかに鍵穴があるはずです。よく見てみると、3番目の頭の1番上の目の黒目の真ん中に鍵穴があいていました。
ポンポンはちっとも気が進まなかったのですが、鞄からサンボーラの祠の金色の鍵を取り出して、黒目の鍵穴にさして回してみました。
すると、トンギルポヨス像の下の青くなっている部分からボコボコボコっと水が湧き出てきました。
「うわっ!バェェ、乗せて!!」ポンポンはバェェをあわてて呼びました。
「バェェ!!」バェェは急いでポンポンを乗せてくれました。
「おお!青き太陽の池が息を吹き返しつつあるぞ!」ペヨン・ポロロロヌスとペヨポポポースの人達はワーワー叫びながら池の外側、地面が青くなっていない所まで走って行きました。
湧き水はどんどん増えていき、水から弾かれるように地面の土がトンギルポヨス像の上3つの頭の口めがけて飛んで入っていきました。
ポンポンとバェェは当たったら大変と、トンギルポヨス像の真上に行き、様子を見ていました。
土が口に入るのが止まると、そこにはペヨン・ポロロロヌスの言っていた通り、この世で最も青い物よりもさらに青い、太陽のようにまん丸の池がありました。
サンサーンの湖は透き通るような青い色をしていたのですが、青き太陽の池はただひたすら濃い青い色をしていました。
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