第16話・誉れ高き聖地トンギース島の神の子たるペヨン・ポロロロヌス。

遥か彼方の大陸よ

(ペーヨ・ペーヨ)

我を抱きし古の

(ペーヨ・ペーヨ)

その身に抱くは七色の

(ペーヨ・ペーヨ)

青き太陽の血潮よ

(ペーヨ・ペーヨ)


ポポポポース

我等こそ 選ばれし民

ポポポポース

この気高き 聖地に立つ

ポポポポース


七色柳の女神よ

我等 そなたの化身ぞ

いざ!いざ!いざ!

立ち上がれよ

我等 ペヨポポポース

戦の神に愛されし御子ぞ

(ペーヨ・ペーヨ)

(ペーヨ・ペーヨ)



ポンポンとバェェは奇妙な仮面をつけた人達に捕まってしまいました。

トンギース島には大きなコロッセオがあり、ポンポンとバェェは今、その真ん中に立てた柱に縛り付けられています。どうやら火あぶりにでもしようとしているのか、ポンポンとバェェの足元には枯葉や小枝がたくさん集められています。

そのまわりを島民達はペーヨ・ペーヨと歌いながら槍を振り回してグルグルと回っています。

「バェェ!あんた、なんで一緒に捕まってんのよ!そんな体してんなら抜けれなきゃ変でしょ!?」ポンポンは泣きそうになりながらバェェに文句を言いました。

「バェェ…」バェェは泣いています。

そこへ、ひときわ奇妙な仮面をつけ、髪の毛をたくさん三つ編みにしている男の人がやってきて、こう言いました。

「我こそは気高き戦闘民族ペヨポポポースの長、ペヨン・ポロロロヌスである!

その方等、この気高き聖地・トンギース島に何故攻め入って参られた!?その方等の申し開きによっては、この気高き聖地・トンギース島の悪しき侵入者こと、その方等を危険分子と見なし、その方等こと危険分子の心胆を寒からしめ、この気高き聖地トンギース島の神の子こと気高き戦闘民族ペヨポポポースの長、ペヨン・ポロロロヌスが聖なる裁きを加え、即刻死刑にしてくれようぞ!」

ペヨポポポースの島民達は、みんなワーワー言いながら槍を振り上げています。

ペヨン・ポロロロヌスが何を言っているのかよく分かりませんが、このまま黙っていたらポンポンとバェェは死刑にされてしまいそうなので、ポンポンはこの島に来た目的を話すことにしました。

(聞いてくれればの話ですが…。)

「待って、待って。攻めに来たんじゃないよ!あたしとバェェがこの島に…」

「なんと!」ペヨン・ポロロロヌスがポンポンの話を遮って言いました。

「その方等!攻め入って参られたのではないとな!?」

島民達はザワザワし始めました。

「では、我こと神の子たるペヨン・ポロロロヌスの噂を聞きつけ、その方等、決闘を申し入れに参ったのか!?」

島民達は、また先程のようにワーワー言いながら槍を振り上げました。そして、ペヨン・ポロロロヌスが島民達を見回して、左手をあげてこう言いました。

「気高き戦闘民族ペヨポポポースの民よ!静まりたまえ!

我こと神の子たるペヨン・ポロロロヌスは、この聖地トンギース島に生を受けてより、この長の年月、いついかなる獣にも恐れをなしたことはない!

魔物巣食うかの大渦オシーゲを打ち倒し、我こと神の子たるペヨン・ポロロロヌスに決闘を挑みし賢者を称え、我こと神の子たるペヨン・ポロロロヌスはこの暦に刻まれしこの決闘を正々堂々と受け、そして完全なる勝利を納め、我こと神の子たるペヨン・ポロロロヌスの記憶のメモに記し、日ごとにそのページを捲り、我こと神の子たるペヨン・ポロロロヌスの戦の神トンギルポヨスより授かりしこの絶対的なる力を噛み締めてくれようぞ!

さあ、勇ましき挑戦者を縛り付けし戒めを今こそ解き放つがよい!!」

ペヨポポポースの島民達の盛り上がりは、今や最高潮に達し、ついには肩を組んで歌までうたい始めました。このままでは決闘をさせられてしまいそうなので、ポンポンはもう一度、この島に来た目的を話すことにしました。

(やっぱり聞いてくれればの話ですが…。)

「ねえ、違うよ!決闘しに来たんじゃないよ!あたしは色の魔法…」

「なんと!」ペヨン・ポロロロヌスがやっぱりポンポンの話を遮って言いました。

「決闘では…ないと…。」

島民達もやっぱりザワザワしています。

少しだけ視線をさ迷わせてからペヨン・ポロロロヌスが何かを思い付いたように言いました。

「そ、そ、そ、それでは、この気高き、この聖なる、この戦闘民族たる、このトンギース島に、修行に参ったのであろう!!そうであろう!?」

ペヨン・ポロロロヌスはすっかり動揺してしまい、しどろもどろになってしまいました。

「違うよ?戦いに来たんでも、修行をしに来たんでもないよ。」

さっきまであんなに盛り上がっていた島民達は、水を打ったように静まり返っています。

ペヨン・ポロロロヌスは半ば泣きそうになりながらポンポンに尋ねました。

「そ、そ、そ、それでは、その方等、何を生き甲斐に…戦わぬのか?戦わ…戦わぬなら…なぜ…なに…何故…なぜ、この島で…戦わぬのか…?」

ポンポンはペヨン・ポロロロヌスが少しだけかわいそうに見えましたが、これでようやく話を聞いてくれそうになったので、ちょっぴりホッとしました。

「あたしは色の魔法使いのポンポン。あたしとバェェはこのトンギース島に色を探しに来たの。ここには茶色があるはずなんだよ。」

「色とな?色を探すとは、どういった決闘方法だ?」

ペヨン・ポロロロヌスは少しだけ落ち着いてきたようです。

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