第14話・七色の髪の毛の食事方法以外の利用の仕方。

ションシャンシャンの都はゴードロンド大王が住んでいるお城があるので、とっても大きな都です。

ションシャンシャンの都はカンドンゴラ海に面した大きい港がある、ユールーリの川とユンユルガーの川に挟まれた水の都です。都の中心にゴードロンド大王のお城があって、そこから放射状に細長い建物がいくつも建っている、上から見るとまんまるいカタチをしています。

ションシャンシャンの都は首都なので、都の外側には石でできた高い壁と、東西南北4ヶ所にある門を守る門番がいます。

この国は魔法使いに優しい国なので、杖を持っているポンポンが魔法使いだとすぐ分かった門番は、ポンポンのことをすぐに都の中に入れてくれて、おまじない屋さんのおばば様のお家への行き方も親切に教えてくれました。

おまじない屋さんのおばば様のお家はポンポンが入ってきた西側の門の右から数えて3番目の建物の5階にありました。

建物の外からは分かりませんが、中に入ると部屋のドアにおまじない屋さんのおばば様の印であるダイヤの中に釣り針とその両側に丸が1つずつ描いてある焼き印がしてありました。

ポンポンがドアをノックすると、ポンポンよりも頭二つ程小さいお人形さんのような女の子が出てきました。

「こんにちは。おまじない屋さんのおばば様はいますか?」と、ポンポンが尋ねると、その女の子はポンポンにこう言いました。

「お前はメリーベール村のおじじんとこの色の魔法使いだね?」

「そうだよ、ポンポンだよ。こっちはバェェ。おばば様はいる?おじじ様とお友達って聞いたの。」

「あたしがその、おばば様だよ。キンティールとお呼び。」

おばば様は自分だと女の子が言ったので、ポンポンもバェェもビックリしてしまいました。

「お入んなさい、ポンポンにバェェ。お腹がすいているだろう?キノコをお食べ。バェェ、あんたは…あんたは苔でお腹いっぱいのようだね。

さてさてポンポン、あんたは今、色を集めてるね?どこまで集まったんだい?」

キンティールは早口で一気に話しました。たしかにおじじ様のお友達だけあって、このおばば様もなんでもお見通しのようです。

「色はまだ2つだけだよ。黒と青だけ。これからオシーゲの大渦とトンギース島に行きたいんだけど、キンティールのおばば様、どうやって行ったらいいか分かりますか?」

「ここから東に行くと、サンボーラの祠がある。そこにトンギースの鍵があるから取ってから行くといい。祠の鍵のことは、今のあんたなら分かっているだろう?」

「うん。アメーリアの祠で鍵は取ったことあるから、同じでしょ?でも、オシーゲの大渦は?」

「杖を見してごらん。」キンティールはポンポンから杖を受け取り、まじまじと見つめました。

「いい杖だ。ギムナージュの泉の水で育った木と、あんたのキレイな魔力がこもった魔石がついているから、この杖なら安心だよ。今のあんたなら、サンボーラの鍵さえ忘れずに持っていきゃなんとかなるよ。」

「わかりました、ありがとうございます。」キンティールにほめられたポンポンは、キンティールの言うとおり、なんとかなるだろうと思えてきました。

「ポンポン、あんたの髪の毛、片側だけ少し短いね。」

「バンパルネールの森の妖精さんにあげたの。」ポンポンは妖精のことを思い出して、少しだけ顔をしかめました。

「その反対側、同じくらいの量をわしにくれんかね?」

「食べるの?」

「食べるもんか!髪なんか食べるのは質の悪い妖精だけだよ!ほっといたら、あんたの髪の毛なんか全部妖精に食べられちまうから、もう妖精に会わないようにしとくんだよ。」

「うん。あたしもあの妖精さんは気持ち悪いから、もう会いたくないんだ。」

「あんたの髪の毛でお守りを1つ作ってやろう。ほれ、切ってよこしなさい。」

「はーい。」

ポンポンは妖精にあげたのと反対側の髪の毛を少しだけキンティールに渡しました。


翌朝、キンティールはポンポンに耳飾りを二つ渡しました。一晩かけてポンポンの髪の毛をコトコト煮込んで作ったのです。

「うわー、キレイ!これ、キンティールのおばば様のと同じ印だね!」

耳飾りは金色で縁取りされているダイヤのカタチをしていて、釣り針と丸が2つ入っているキンティールの家のドアの焼き印とまったく同じカタチでした。そしてポンポンの髪の毛の七色と同じ色をしていました。

「この耳飾りは、ずっとつけておくんだよ。」キンティールはそう言って、ポンポンの耳に耳飾りを1つずつつけてくれました。

「また、何か困ったことがあったら、いつでも来るといいよ。」

「はい!行ってきます!!」

「バェェェェ」

ポンポンとバェェは、キンティールの家をあとにしました。


サンボーラの祠に行く途中、ポンポンとバェェはアランドの村でちょっと休憩をしました。

村人たちは魔法使いが大好きなので、ポンポンにはヤギの乳とベーコンの厚切りを、バェェには陽当たりのいい場所でいちばん立派に育った苔を食べさせてくれました。

「そうなの。オシーゲの大渦に行って、トンギース島にも行くの。でもあの大渦があるから船は出せないでしょ?」

「長老なら、きっと何か知ってるよ!」村の子供が言いました。

「そうさのう。オシーゲの大渦はハートのカタチのモノを好むと、わしが小僧だった頃に村の大じじ様がおっしゃってたのう。」

「ハート?」ポンポンとバェェは何かハートのモノがないかと、自分の持ち物や、身に付けている物を見回しましたが、ハートのモノは何も持っていませんでした。

「ハートなんて持ってないよね、バェェ?でも、キンティールのおばば様が大丈夫って言ってたから、なんとかなるかなぁ。長老さん、どうもありがとう。行ってみるね。」

「おお、気を付けてな。」

お腹いっぱいになったポンポンとバェェはアランドの村人たちにお礼を言って、サンボーラの祠へと向かいました。

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