第37話・白くて丸くてモコモコしたものの質疑応答。
司祭様が部屋にこもってしまってから、ポンポンは祭壇の透明な大きな玉に両手をあててみました。
「これで魔力を送り込めばいいのかなぁ…?あっ!魔力が玉に入ってく!」
ポンポンは玉に魔力がすーっと入っていく感じがしたので、そのまま魔力を送り続けようとしました。でもピョンピョンが丸いモコモコした体でポンポンのまわりをコロコロ転がっているので、ポンポンはなんだか落ち着かなくて、ピョンピョンにこう言いました。
「ねえあんた、こんな目の前でうろちょろされたら、邪魔くさくってしょうがないわ。」
「でもピョンピョン、ビャンビャンさまにおまえ、みはれいわれた。」ピョンピョンが転がるのをやめて答えました。
「だったらせめて、そうやってじっとしててよ。」ポンポンはちょっとだけ、くちびるをとがらせました。
「わかった。」
ピョンピョンは少しの間だけ黙っていたのですが、すぐに体を左右に揺らして歌い始めました。
ピョンピョンピョンピョン
ピョコピョコピョコン
まんまるの~モコモコだ~
ピョンピョンピョンピョン
ピョコピョコピョコン
コロンコロンコロン
コロンコロンコロン
ピョンピョンピョンピョン
ピョコピョコピョコン
まんまるの~モコモコだ~
ピョンピョンピョンピョン
ピョコピョコピョコン
コロンコロンコロン
コロンコロンコロン
ワーオ!
ピョコンピョコンピョコン
コロンコロンコロン
ピョンピョンの歌はやっぱり楽しそうなので、またバェェも一緒に歌い始めました。
ピョンピョンピョンピョン(バェバェ)
ピョコピョコピョコン(バェェバェェ)
まんまるの~モコモコだ~
ピョンピョンピョンピョン(バェバェ)
ピョコピョコピョコン
コロンコロンコロン
コロンコロンコロン
ピョンピョンピョンピョン(バェバェ)
ピョコピョコピョコン(バェェバェェ)
まんまるの~モコモコだ~
ピョンピョンピョンピョン(バェバェ)
ピョコピョコピョコン(バェェバェェ)
コロンコロンコロン
コロンコロンコロン
ワーオ!
ピョコンピョコンピョコン(バェェバェェ)
コロンコロンコロン
「ちょっとバェェ!あんたまで、やめてよ!!」
ポンポンは今度は参加できなかったので、裏切り者のバェェを怒ってしまいました。
「バェェ…」バェェはポンポンに怒られてしょんぼりしています。
ピョンピョンも歌うのをやめたのですが、今度はポンポンにいろいろと質問をし始めました。
「いろのまほーつかいってなんだ?」
「色の魔法使いは色の魔法使いよ。今は色を集めてて、ここには白をもらいに来たの。」
ポンポンは祭壇の玉をじっとみつめて答えました。透明だった玉が少しずつくもった色になってきています。
「なんで?なんで?」ピョンピョンは耳を左右にピョコンピョコンとしました。
「なんでって、色の魔法使いは色を集めて色の辞書を作らなきゃなんないのよ。」
「めりーべるむらってどこだ?そこから、きたんだろ?」
「メリーベール村はここよりずっと北にあるの。ユンユルガーの川をこえた先にあって、魔法使いがいっぱい住んでいるんだよ。」ポンポンは、おじじ様やおばばのことを思い出して、ちょっぴりにっこりしました。
「ごまーべるのとーより、とおいか?」ピョンピョンは耳をピョコンピョコンするのをやめてポンポンをじっと見つめました。
「あんた、ゴマーベールの塔に行ったこと、あんの?」ポンポンはピョンピョンの方を向いて尋ねました。
「ない。ピョンピョン、あめりあのほこら、ずっといた。」ピョンピョンは突然さびしそうに耳をタラっとたらして下を向きました。
「バェ?」バェェが少し心配そうな顔でピョンピョンを見ています。
「アメーリアの祠?あそこって、人が住めるようになってないよね、バェェ?」
ポンポンはビックリしてバェェに聞きました。アメーリアの祠は壁のない場所に玉が置いてあって、たしかに人が住めるようにはなっていませんでした。
「バェバェ」バェェもうなづいています。
「あめりあのほこら、うらからちかいける。ピョンピョンそこにいた。」
「なら、なんでこの神殿に来たの?」
「ビャンビャンさま、こいっていった。いろのまほーつかい、もうすぐくるって。」
ピョンピョンはさびしそうに下げていた耳を少しだけ左右に揺らしました。
「あんた、アメーリアの祠に帰りたいの?」ポンポンはちょっとだけピョンピョンがかわいそうに見えてきました。
「いまは、ごまーべるのとー、いきたい。」ピョンピョンはとってもさびしそうに答えました。
「なんで?」ポンポンとバェェは首をかしげました。
「ヌボチさまいる。」
「ヌボチ!?あんた、ヌボチのこと知ってるの!?」
「ヌボチさま、あめりあのほこらでいっしょにいた。」ピョンピョンはピョコンと顔をあげて、ビックリした顔でポンポンを見ました。
「あたし、ヌボチに会ったよ!ゴマーベールの塔で。」ポンポンもバェェもビックリした顔でピョンピョンのことを見ました。
「ヌボチさま、げんきか?」ピョンピョンが心配そうな顔をしました。
「うん。元気だったよ。ビスケットあげてお友だちになったの。」ポンポンはピョンピョンを安心させるようににっこり笑って言いました。
「ヌボチさま、げんき!よかった!げんき、よかった!!」ピョンピョンはポロっと泣いてピョコンと一回跳ねました。
「バェェェ」バェェも一緒にボヨンと一回跳ねました。
「ピョンピョンちゃん、なんだってあんたは司祭様に呼ばれたのよ?あんた、色の魔法使いとなんか関係があるの?いつヌボチと別れたのよ?」ポンポンはピョンピョンに立て続けに聞きました。
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