第43話・山積みのホコリと書類でくしゃみが止まらない

ゆっくりお茶でも、と思ったのですが、ロロさんのお家の中はなんともひどいありさまでした。

床には足の踏み場もないほどの本と書類が積み重ねてあり、テーブルはもちろんイスの上にもソファーの上にも本と書類、それにいつ使ったのかわからない食器も積み重ねてあり、台所にも汚れた食器が積み重ねてあります。おまけにドアも窓もずっと閉めっぱなしなのか、家の中がとってもホコリっぽいのです。

ポンポンは、部屋でお茶を飲むことを考えたらと思うと、とてもとてもゾッとしてしまいました。

バェェはホコリを自分の体にくっつけて遊んでいますが、ピョンピョンはホコリのせいか、くしゃみが止まらなくなってしまっています。

ポンポンは、ロロさんに部屋の掃除をさせてくれと頼みました。

「そんな!ポンポンさまのお手をわずらわすわけには、まいりません!どうぞ、おかけください!」

ロロさんはソファーに置いている本を何冊かどけて、ホコリのたつ床に置いて、ポンポンとバェェとピョンピョンの座る場所を作ってくれました。

「ロロさん、あのね、お部屋の中がホコリっぽくて、ピョンピョンちゃんなんか、さっきからずっとくしゃみばっかりしているし、このままだとバェェの体もホコリになっちゃいそうだし、あたしもこのコップでお茶を飲むのはイヤなの。だから、お部屋をお掃除します!」

そう言ってポンポンは、杖を置いて腕まくりをしました。

ロロさんは、だいじな本や書類を自分のわからないところにしまわれたら大変と、おおあわてでとなりの自分の部屋に持って行きました。

ロロさんが部屋と居間を本や書類を持って行ったり来たりしている間に、ポンポンは部屋の窓とドアを全部あけて、ホコリをはたいて床をはいて壁から床からテーブルからイスから全部雑巾がけをしました。

その間にピョンピョンは両耳を使って泡をいっぱいたてて器用にお皿洗いをしました。


そうして二時間もすると、部屋はピッカピカになりました。

やっと一息ついてお茶を飲めるようになると、ロロさんは大きくて分厚くて茶色い革の表紙の使い古された本をパラパラとめくりながら話し始めました。

「七色の星の涙は、離れスミレ諸島にあります。それから、七色の太陽のほほ笑みはコンコルド鉱山にあります。

この二つを融合させることで色の杖の魔石を一つにまとめることができるのです。」

「ゆうごう?」ポンポンは首をかしげました。

「はい。星の涙と太陽のほほ笑みを合体させるのです。この二つは本来、正反対の性質を持っていますので、ただ二つをそろえても合体させることはできません。

それには、朝露から採れるバラの雫が必要でして、この三つをサンサーン火山のドラゴンに与えることで色をまとめるものができるのです!」

「まとめ…る…?」ポンポンは、ロロさんの話をゆっくり思い出しながら言いました。

「うんと、離れスミレ諸島と、コンコルド鉱山に行って、ドラゴンさんのところに行って、七色の星の涙と七色の太陽のほほ笑みと、バラの雫をドラゴンさんにあげればいいってこと?」

ポンポンは、少し自信なさげにロロさんの顔をうかがいました。ロロさんはにっこりと笑ってうなづきました。

ポンポンは、ほっと一息ついてからロロさんに尋ねました。

「それで、それから、どうしたらいいの?」

ロロさんは、口をあけてなにか言いかけてから、思い直したのか、少し考えてから、こう言いました。

「今はお答えできません。私を連れて行ってくださるなら、お教えしましょう。」

ポンポンとバェェとピョンピョンは、先程のロロさんの突然泣き出したときの顔を思い出して不安に思い、3人で顔を見合わせました。

そんな3人の心配に気付いたのか、ロロさんは自信満々にこう言いました。

「大丈夫ですよ!私は先代の色の魔法使いと一時、共に旅をしていましたからね。

色をまとめる話も先代からちゃんと聞いておりますし、この、私が書いた先代の伝記に全部ちゃんと書いていますよ!」

ロロさんは、ひざに乗せている分厚い本の表紙を、ポンッポンッと2回たたいてから、得意げに笑いました。

先代の色の魔法使いのことを知っているなら安心かな、とポンポンとバェェとピョンピョンはうなづき合い、ロロさんも一緒にいくことになりました。

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