第40話・七色の光でニセモノなんかとかしちゃえ。

ピョンピョンが歌うと、ピョンピョンの中に入ったポンポンの魔力が少しずつポンポンの杖の魔石に戻っていきました。

ピョンピョンの歌が終わると、ポンポンの杖の魔石の一部が白い色になり、ポンポンの髪の毛全部が輝く七色になりました。

ポンポンは全部の色が入った杖を高くかかげました。

すると、とってもまぶしい光がビャンビャーに放たれました。

「ポンポンの魔力はポンポンのだもん!あんたなんかにあげないもん!!」

「ぐわーっ!!!」

ポンポンの杖の強い光がビャンビャーの顔に当たり、なんとビャンビャーの顔の半分はやけどをした時のように溶けてしまいました。

「キャー!きもちわるーい!!」ポンポンは杖を持つ手に力を入れました。

「ぐぬぬ…こんなところで死んでたまるかっ!!」

ビャンビャーはなにやらブツブツ言うと、杖からバラの蔦をたくさん出して、それでポンポンをぐるぐる巻きにしてしまいました。

「キャー!!」ポンポンはビックリして杖を持つ手をゆるめてしまいました。

「えー、くるしー!やめてよー!!」ポンポンはうねうねと体をよじらせました。

「お前…バラのトゲが刺さって痛くないのか!?」ビャンビャーはビックリした顔でポンポンを見ました。

「あれ?そうだね。」ポンポンは自分を巻き付けているバラの蔦にいっぱいついているトゲを見ながら言いました。

「あ!きっと、ポーツネールの村の人がくれたジャムを食べたから痛くないんだよ。」

「なんだと!?あの裏切り者共め!!」

ビャンビャーがカッとして怒鳴りました。

「だって、ポーツネールの村の人たち、あんたが本物の司祭様じゃないって知らないじゃない?」

「うるさい、黙れ!!」ビャンビャーは杖に力を込めて、ポンポンに巻きついているバラの蔦をさらにきつくしました。

「痛い!痛い!苦しいよ!!やめてー!!」

ポンポンが苦しそうに叫びました。

ドスンッ!!

バェェとピョンピョンがビャンビャーに体当たりしました。

二人に体当たりされたビャンビャーはさっきよりも派手にゴロンゴロンゴロンと転がりました。

バラの蔦がゆるんだので、ポンポンはもう一度、杖から光を出そうと、杖を高くかかげました。

ビャンビャーはさっきポンポンの杖の光で溶けてしまった顔半分をおさえてこう言いました。

「お前のその杖!色を集めただけで真の色の魔法使いの杖になったわけではないぞ!!」

ビャンビャーはニタニタした顔でポンポンを指さしました。

「え!?」ポンポンはビックリして杖を少しさげました。

「お前はまだ色をまとめる資格を持っておらん!」

そう言ってビャンビャーは突然杖から白い煙をたくさん出して、どこかへ消えてしまいました。

「え…消えちゃった…?」

ポンポンもバェェもピョンピョンもビックリしてキョロキョロとあたりを見回してビャンビャーを探しましたが、もうビャンビャーの姿はどこにもありませんでした。

「あいつ、きえた。」ピョンピョンが両方の耳をパタパタさせて言いました。

「バェェ」バェェもボヨンボヨンとしました。

「あー、こわかったね!」ポンポンは、ホッと胸を撫で下ろしました。

ドンドンドン…

突然、何かを叩く音が、どこからともなく聞こえてきたので、ポンポンとバェェとピョンピョンはキョロキョロとあたりを見回しました。

ドンドンドン…

音はなおも聞こえ続けています。

一番耳が大きくてよく聞こえるピョンピョンが音がする方向に気が付きました。

「あっちだ」ピョンピョンはさっきビャンビャーがバラのつぼみをモシャモシャと食べていた部屋にピョコンピョコンと飛んでいきました。

ポンポンとバェェはピョンピョンのあとを追いました。

ドンドンドン…

音は部屋の奥にあるビャンビャーがバラのつぼみを食べる時に座っていたイスの下にある小さな物置の扉から聞こえてきます。

ポンポンがイスをどけて、下の扉を開けてみると、なんとそこには猿ぐつわをされて、腕を縛られている本物の司祭様がいたのでした。

本物の司祭様は腕を縛られているので、なんとか足をあげて扉をドンドン叩いていたのです。

ポンポンは司祭様の猿ぐつわと、腕を縛っているヒモをほどいてあげました。

「あなた、本物の司祭様?」ポンポンは司祭様が床下から出てこられるように後ろに下がりながら尋ねました。

体が自由になった司祭様は大きく息を吐いてからヨタヨタと床の上によじ登って、げっそりした顔で答えました。

「いかにも…。いかにも私が本物の司祭です。あなたがたは?」

「あたしはポンポンだよ。こっちのモコモコがバェェで、こっちのモコモコがピョンピョンちゃん。」

バェェとピョンピョンは二人とも一回だけ跳ねました。

「しさいさま、わるいやつに、とじこめられれた」

ピョンピョンがもう一度ピョコンと跳ねて言いました。

「いかにも。あの者は、どこですか?」

司祭様がキョロキョロとあたりを心配そうに見回しました。

「ビャンビャンは、ポンポンとバェェとピョンピョンでやっつけたよ。いなくなっちゃった。」

ポンポンは司祭様を安心させるようにニッコリしました。

「それは…!なんとお礼を申したらいいでしょうか…。

しかし、あなたたちのような幼い者があの者をやっつけたのですか?」

司祭様はとってもビックリした顔をしました。

「ポンポンは色の魔法使いだもん。祭壇の玉から白い色をもらったら、ビャンビャンをやっつけれたんだよ。」

ポンポンはうれしそうに司祭様に杖を見せました。

「なるほど!あなたは色の魔法使いでしたか!どうもありがとうございました!」

司祭様は感心して何度も頷きました。

「あ!」ポンポンはビャンビャーが食べてしまったバラの苗を持ってきて、司祭様に見せました。

「このバラね、ポーツネールの村の人たちが司祭様のために作ったのを、あたしが持ってきたんだけど、ビャンビャンが食べちゃったの。」

ポンポンはしょんぼりした顔でそう言いました。

「これはひどい…!」司祭様はバラの苗をさわって悲しそうに言いました。「ですか、私ならこのバラのつぼみをもう一度よみがえらせることができますよ。」

司祭様はポンポンを安心させるように優しく笑いました。

「ホントに!?よかった!!」

ポンポンとバェェとピョンピョンはぴょんぴょんボヨンと跳ねてとっても喜びました。

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