第11話・おじじ様特製のウネウネと3回よじれる杖の作り方。

「おじじ様ただいまー!!」

「バェェェェ」

「おお、戻ったか。はやかったの。」

「妖精とドワーフとトットッタの人たちのおかげだよ。」

「そうか、そうか。材料は持ってきたな?見してごらん。」

ポンポンは少しドキドキしながら、バンパルネールの森で採ってきた木と、コンコルド鉱山でもらってきた宝石をおじじ様に渡しました。

「ほう、ギムナージュの泉で育ったいい木じゃ。宝石も鉱山の奥の方まで行って、ちゃんと自分のだと分かる物を持ってきておるな。」

おじじ様が満足そうにおヒゲをなでたので、ポンポンはバェェと一緒にぴょんぴょんボヨンと跳ねて喜びました。

「さて、ポンポンよ。材料がそろったので、いよいよ杖作りに入る。」

「はい!」ポンポンはピッと姿勢をよくして返事をしました。

「まずこの宝石。魔石の元となると言ったじゃろ?これは魔力を込めることで初めて魔石になるんじゃ。」

「魔力ですか?何かまじないですか?」

「いいや、願いを込めるんじゃ。両の手でつつみ、何か願いを込めてみよ。」

「願いかー。願い…願い…色の杖の…色の魔法使いの…願い…。」

ポンポンは両目をつぶって、宝石を持っている両手にグッと力を入れました。


願いよ・願いよ・色の杖

色を・入れよ・我の杖

黒から赤から白、黄色

我に新たな色をささげよ

願いよ・願いよ・色の杖

色を・入れよ・我の杖


「できたか?」

おじじ様の声でポンポンは静かに目を開けました。そして手をひらいて宝石を見てみると、さっきまで透明でゴツゴツしていたのに、今はうっすら七色で、ゴツゴツした角がとれてツルッとしています。

「おじじ様、これは魔石になったの?」

「おお、いい色じゃ。いい魔石になっとるわ。」

「へへ。」ポンポンは照れくさそうに笑いました。

「では次は杖を作る。どんな杖にするか考えたか?」

「はい!あみあみがついた杖です!持つところはあたしと同じくらいの大きくてウネウネしてる木で、魔石を入れるところがあみあみになってる杖です!」

「ふむ。では、木を持って、わしに続いて呪文を唱えよ。」

「はい!」

「ポロクロモンモークシュー」

呪文を唱えると木はウネウネと身をよじらすみたいにポンポンの手の中で動き始めました。3回くらいウネウネしてから、下の方が少しだけ細くなって、その分、木の上の方に余った部分が集まってかたまりになってから、ちょっとずつ隙間ができてきました。ポンポンがイメージした通り、ポンポンと同じくらいの大きさで、長いところが少しウネウネしていて、上に入れる魔石が隙間から見えるあみあみ付きです。

「おじじ様、杖ができました!」

「魔石を床に置いて、その上に杖を立ててみなさい。それから呪文を唱えるからな。」

「はい!」

ポンポンは言われた通り魔石を下に置いて、その上に杖を立てました。そしてまた、おじじ様の言う呪文を唱えました。

「モクモコイルマロシュー」

すると下に置いていた魔石が杖に吸い込まれていきました。魔石は杖の中でうっすら光っていて、外から見ても今どこにあるのかわかります。その光はちょっとずつ移動して、上についているあみあみのところまできたら、ポンッと出てきて、あみあみの中でコロコロっと転がりました。

「おじじ様、完成ですか!?」

「うむ、そうじゃな。まあ、いいじゃろう。」

「わーい!やったよバェェ!」

「バェェ!」

ポンポンとバェェはぴょんぴょんボヨンと跳ねて喜びました。

「ほれ、もう遅いから今日はゆっくり休んで、明日にそなえなさい。」

「はーい。」

「バェェェ」

ポンポンはおじじ様特製のキノコのベリー漬けを食べ、バェェは庭の池についた苔をおなかいっぱい食べてからぐっすりと眠りました。


翌朝、おじじ様はポンポンにおじじ様特製のキノコのベリー漬けの瓶と、ベリーとキノコのサンドイッチを渡して、こう言いました。

「ポンポンよ、この瓶を行く途中で、そこのおばばに届けておくれ。そんで、このサンドイッチはまた森で食べるがよい。ちゃんとキノコも残さず食べるんじゃぞ。」

「はい…わかりました。」ポンポンちょっとだけ、ドキッとしました。

「物語順に色を集めんと意味がないからな。手を抜くでないぞ。」

「はい!行ってきます!」

さあ、いよいよ色集めの旅の出発です。

と、その前におばばの所までおつかいがありましたね。

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