閑短話

黒曜の夢

 夢を、見た。


 幼い男の子と女の子が、森の中で楽しそうに遊んでいた。

 女の子は、石化して倒れた大木の幹に、ちょこんと座っている。

 少しだけ頬を染めて、すまし顔で。

 向かいに立つ男の子が、少しだけ緊張した面持ちで、白い花で編まれた花冠を持ってる。

『──を、誓いますか?』

 男の子が、真っ赤になりながら、少女に何かを告げた。

 すると女の子も負けずに顔を真っ赤にし、それでも、小さく、こくんと頷く。

 それを見て、男の子の顔が、ぱぁっと明るくなった。

 手にした花冠を、そっと、女の子の頭の上に置く。

『僕は、──を、永遠に幸せにし、永遠に一緒にいる事を誓います』

『私も、──を、永遠に愛し、永遠に一緒にいる事を誓います』

 男の子と女の子は、交互に宣誓する。

 そして男の子は、女の子の頬に、そっと、優しく、キスをした。

「──、──」

 僕は、その男の子と女の子の名前を呼ぶ。

 すると、僕の存在に気がついたのか、二人が僕の方を振り返り、満面の笑みで僕の名前を呼んだ。


 ──アル──

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