ここから歩き出す②
泣き止んだドレイクの手を掴んで立ち上がらせ、残った瓦礫の山の麓まで歩く。
瓦礫の中には鉄屑やゴミだけでなく、自分の見た事のある景色や物、更には死体まで転がっていた。
気分の良くないそれらから目を逸らして歩き続けているが、山頂が一向に近くならない。
うんざりして腰を下ろそうと足下を見ると、自分の足が透けていた。
「うぉぉー! 透けてやがるぞドレイク!」
「おっさんみたいな声出すなよエイ……ルぅおぉぉぉ! 本当に透けてやがる!」
「早く登らねぇとやべぇじゃねーか、言えよあの女。クソ、帰ったらケツの穴増やしてやる!」
「馬鹿やめろ、あんな美人滅多に居ないだろ。俺はケツの穴増やすより犯すな」
「私にゃお前らみたいな汚ねえ粗チンなんてねえんだよ! そうだ売り飛ばして追加報酬にしてやる」
「そうだな、あんな美人売ったら一生遊んで暮ら……下からなんか来たぞぉぉぉ!」
ドレイクが両手を使って何かから逃げる様に駆け上がり、下と言う単語を発していたのを聞き瓦礫の山の麓に目をやる。
そこにはゾンビの様な犬が大量に居て、一斉に檻から解き放たれて登って来る。
脳内の活動がフリーズして考えていると、明らかに私たちを餌として狙っている。
先に行ったドレイクは後でシメルとして、一旦落ち着く為にゆっくりと息を吐き切ってすぐに吸う。
「やべぇぇー! 犬に犯されんぞ!」
更に瓦礫の山の中に埋まっていた死体も動き出し、足を掴まれたり瓦礫に着いた手を掴まれたりする。
脆いゾンビの腕を手足に引っ付けたまま引きちぎりながら登っていくと、山頂前に立っている少女とドレイクが撃ち合っていた。
「お前本当に言葉使い汚過ぎるだろ、容赦無く下ネタ言うし内容がキツい」
「うるっせーぞマザコン童貞! 良いからそっち早く殺せ、犬っころは私に任せとけ」
「あーもう分かったよ、でも全然当たんねえんだよ」
「馬鹿言うな、代われよ下手くそ」
ドレイクのリロードに合わせて反転しながら発砲し、援護兼攻撃を担当する。
ドレイクはリロードしながら後方から迫るゾンビに向けて発砲を開始し、自分で決めたラインを跨がせない。
目の前の銃を持つ少女は撃ってこず、人を舐めたように微笑を浮かべながら避ける。
左に移動した少女を狙って右に誘導し、奪ったベレッタを抜いて意表を突く。
すると弾丸は嘘のように当たり、頭を撃ち抜かれた少女が倒れる。
開いた扉を確認してドレイクに合図して、膝辺りまで消えていた体で何とか扉を潜る。
夢から覚めた様に飛び起きると、何時も寝起きしている工場の奴隷宿舎だった。
ASCに表示される時計を確認すると、起床時間の少し前だった。
体に異変は無く、銃火器も装備も何もかも着けておらず、昨日の事が夢の様に錯覚させる。
同じく起きていたドレイクも同じ状況で、何が起きてるか分からないと言う状態だった。
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