ここから歩き出す⑥
身を隠す場所も無く全滅した奴隷の同僚たちは、砂浜を赤く染めて倒れ伏す。
その景色を見て頭の中で何かがブチ切れ、得体の知れないCodeが目の前の景色を埋める。
「目を逸らさないで、前だけ見てて。私が
そう言って足を一歩前に出して地面に着くと、特殊部隊の壁が一斉に地面に崩れ落ちる。
特に攻撃もしていないのに、魂が抜かれた様に突然脱力した。
「何なんだよ……結局救ってくのはお前ら才能があるやつらじゃないか」
「そうね、勝手にASC借りてるけど許してね、自分で作ったは良いけどUranos Codeが長くて」
目の前で次々に打たれていく文字は、完成した箇所から形を変えて、生きているかのように動きだす。
人間の脳の回転速度の限界を遥かに超えたスピードは、視界を僅か1秒も掛からずに文字で埋め尽くす。
漸く組み上がったCodeが展開すると、砂に溢れていた血が全て有るべき場所に戻って行く。
一番最初に撃たれた子どもが突然立ち上がり、それを合図にした様に次々に倒れていた子どもが立ち上がる。
「嘘だろ……死んだ人間が生き返るなんて、ドレイクと愛佳は」
体が繋がっていたドレイクは寝起きの様な顔をして立ち上がるが、千切られた愛佳は立ち上がらない。
聖冬の腕から出ようとするが、抱きしめられてて離れられない。
「待って、もう少し大人しくしてて。まだもう1つCodeがあるから」
「愛佳! おいてめぇこんな所で
「うるさいな……もう少しくらいゆっくり寝かせろよエイル、今何時だと思って……生きてるし。何だ夢か」
「……てめぇ夢の中でも寝てたのかよ、本当に生きてやがる。繋がってる、しゃべって悪態つきやがった、愛佳だ……」
「だから気持ち悪いって、そろそろ死なねえと性奴隷としてどこかに売るぞ。うるさ過ぎて値は下がるだろうけど」
「はい静かに、これから日本に連れてくからここで待ってて。増援で来る特殊部隊や警察は全部止めといてあげるから、先ずはもう到着間近の機体に子どもから乗せていって」
反論しようとした口を押さえられて、気怠そうに立ち上がった愛佳を睨む。
そっぽを向いて溜息を吐いた愛佳に向かって笑ってみせると、それに釣られたように愛佳も控えめに笑ってみせる。
聖冬の言った通りすぐに到着した機体の胴体が開いて、ボロボロのクロークを身に纏った斑鳩が姿を現す。
子どもを2人抱き抱えて機体に歩いていった斑鳩に続き、子どもを先に機体に乗せていく。
「大丈夫だ聖冬、有難う。乗ってくれ」
「はいはい、後で言いたいことがあるから貴方は残ってね。この場で何日でもアメリカの相手でもしてれば良いわ」
「冗談がキツいなそれは、帰ったら酒に付き合ってやるから許してほしいな」
「仕方が無いからそれで良しって事にするわ、援護お願いね」
聖冬が反転して機体に走ると同時に、銃を構えた斑鳩が特殊部隊に向けて威嚇射撃を行う。
追撃を許さない連携で難無くこの場を乗り切り、初めての航空機にはしゃぐ子どもたちが居る機内に座る。
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