Reloaded④
「JBまだかな〜、こっちはPhantomが来て少し押し返せたけど、やっぱりキツいかな。エイルちゃんには結構期待してたんだけど」
「残念だけど今はまだ期待外れ。まぁ、やってやれないことは無いって感じだけど。大器晩成型ってところね」
「そっかー、そうそうエイルちゃん。特殊武装はどうだったかな、気に入ってもらえた?」
「えっ? あぁ、何かすげぇなあれ。仕組みはどうなってんだ?」
突然振られた話に考えていた思考を遮断して答えると、1件のメッセージが送られてきて、添付されていたファイルを開く。
そこに書いてあったのは全く理解出来ない数式や、公式で埋め尽くされた設計図で、気分が悪い時に見たら1発で吐けそうな破壊力がある。
「はいはい、そっちは良いから。あと2分で降下させられるから持ち堪えて、2分で制圧されるなんて事無いでしょ」
「いやー、それが今回の動きはひと味違うみたいなんだ。Navy SEALsの服がちらほら見えてね、SEALを1つ送り込んできたんだろうね〜。普段の作戦遂行の約倍の人数の8人見えるよ」
「何でよりによって世界で2番目に戦いたくない特殊部隊が居るの、凛凪たちはきちんと守り切ってる?」
「その点は問題無いよ、物部姉妹の守る能力は鈴鹿でも手こずるからね。それともう通信を切るよ、私も前に出る事になった。待ってるよ」
大きな爆発音を響かせて通信が切られた後、JBが深い溜息を吐いて背もたれに寄り掛かり、両手を合わせて目を瞑る。
そろそろ降下地点に到着するのをマップで確認して、パラシュートを背負ってハッチの前に立つ。
「降下準備は出来た?」
「OKいつでもいける」
「任務危険度S級安全装置解除、ハッチÖffnen巡航速度確認。エアロック減圧油圧異常無し、降下までfünf、vier、drei、zwei、eins、降下!」
JBのカウントが0になると同時にハッチから飛び降りて、両手両足を体に力を入れて直立の体勢になり、頭から約270キロの速度で降下していく。
パラシュートを展開して迅速に地面に落ちて、火を付けてからパラシュートを放棄して、遅れて落下してきた黒い箱から武器を取り出し、装備を着けながら閉鎖された街の中を進む。
戦場となっているフランクフルトの少し北に自分のピンが刺さっていて、前線に行くには少し南下する必要があった。
ハンドルが付いている車両を探そうと街の中を走ると、JBから通信が入る。
「どうしたJB」
「出来るだけ田舎に戦線を移動させたみたいで、今からそこへ行くルートを送るわ」
言った通りに送られてきたフォルダを開くと、ELIZAを介してナビゲーションが始まり、街並みの画像も数枚出てくる。
そこはこの時代には珍しい、木組みの家が並んでいて、昔の伝統を守り続ける美しい光景が広がっていた。
「綺麗だなここ、隠居生活はここでしたいかも」
「ELIZAは余計な事しないで、私の報告書が増えるでしょ」
「お堅いこと言わないで下さいよジェビ子さ〜ん、そんなだから未だにけっこ、って通信切りよった〜!」
「今のはお前が悪い、それは今の過保護な時代訴えられても文句は言えないぞ」
「そんな事で訴える程金が有り余ってるなら、恵まれない子たちに寄付でもしやがれってんだよ! そんな事でぎゃーぎゃー騒ぐ程恵まれてて羨ましい限りですな!」
「私に言うな、それよりハンドル付いてる車両探してくれ」
何故か怒り心頭と言う様子で、文句を言いながらも車両を探し始めたELIZAを放っておき、3つあるスコープの調子を走りながら確かめる。
「ありました〜」とやる気のない声で車を自動運転で持ってきたELIZAは、既にこの辺のセキュリティを全てハッキングしていた。
大量にある監視カメラを壊す必要もなくなり、無駄な弾の消費も抑えられる。
その仕事の速さに感心したかったが、この残念さの所為で素直にしてやれない。
フロントガラスにぐでぇっと横たわるELIZAが隣にマップを表示し、目的地のブラウンフェルスを目指す。
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