Reloaded⑥

「おおぉ、M029ちゃんじゃないか、アルテマも揃って元気そうでなによりだよ」


「セイとリーリエも来るって煩いから連れて来たけど、まだここに来る途中かな。置いて来たから待ち伏せで足止めくらってなければ良いけど」


ゆっくりと家の中に入って来た2人は、特に焦るでもなく、のんびりとウラノスと会話をしている。

1人だけSEALsと睨み合ってるのが場違いみたいになっているが、普通の行動は私の方だ。


だがそんな事よりも、もっと重要な事を、この2人とウラノスは気付いているのか。

それを問おうかと悩み、結局聞いてみることにする。


「あのよ、あいつらが狙ってるのってウラノスクイーンなんだろ? それとウラノス、なんで親切に前線に出てくるかなお前ら」


「……えっ、私が目的?」


アルテマの顔を見るM029が突然曇り出して、アルテマが呆れたように口を開く。


「セイとリーリエがそう報告してたのを忘れたかな、見切り発車で飛び出して来るからこうなるんだ」


「忘れてた、確かにそんな報告もあったわ」


「そんなだから毎日セイに怒られて、リーリエが変な方向に育ったんだ。あーやだやだ、私に似てほしかったものだな、我が子ながら馬鹿過ぎる」


「貴女に似てしまったもの、仕方がないじゃない。あっ、SEALsの2人が裏手に回ったわ、コンカッショングレネードが飛んで来るかも。一旦逃げないとね、Phantomもどうせ3人を残してファンプリの護衛に回したんでしょ?」


表と裏手にM029がスモークグレネードを投げて、視界を悪くしたかと思うと、突然轟々とした爆発音の後に、眩い光が煌めいて、一時的に五感を麻痺させてしまう。


「さぁ行くよエイルちゃん、私の手を離したら駄目だよ」


頭の中に直接ウラノスの声がした後に手を取られて立ち上がり、何も見えないまま足を動かし続け、突然視力が回復したと思うと、ハンドルの付いた車に乗っていた。

左には不機嫌そうに肘を付いたM029が外を眺めており、右には運転手の青年にちょっかいを出しているウラノスが居た。


一番後ろに乗っているアルテマは、自分よりも大きい対物ライフルを抱えて、手よりも大きな弾丸を弾倉に詰める。

見た事も無い銃を見て興味が出て来て、アメリカで作っていた対物ライフルを思い出すが、その中のどれにも該当しない。


「それなんて銃なんだ、初めて見る」


「シモノフPTRS1941、ソ連時代の対物ライフルだ。これを持ってるとアズュールに嫌がられるからな、あまり使う機会がないから、こういう時に使わないと錆びれるだろう?」


「そんな事より、アルテマさんまで俺たちを置いてくことなかったじゃないですか。母さんも母さんで一緒に連れてって下さいよ」


アルテマの言葉を待っていたのか、話が終わった直後に、私が答えを返す隙もない程に口を開いた運転手は、不服そうにしながら車を走らせる。


「また始まった、セイのソレ。聞き飽きたって、あと母親じゃないからそう呼ばないで」


「また母さんのソレも始まった、俺は心配してるから言ってるんであって……」


「少し寝るから到着したら起こしてリーリエ」


「はーいママ、ゆっくり休んでね」


「リーリエ……なんでこうなるかないつも、甘やかし過ぎなんだよリーリエ」


「だってここ最近働き詰めだったし、今に始まった事じゃないじゃん? それに自由に踊るママは綺麗で好きだし、セイは嫌いなの?」


その問い掛けに答えずにセイは黙ってしまい、いつの間にか眠っていたウラノスと、静かな寝息を立て始めたアンジュに挟まれて、大人しく座っている事にした。

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