第3話ティアナの秘密


ティアナの秘密


俺は怪しいアプリを起動してしまい、怪しい女神と契約をしてしまった。

で、今は自分のスマホを使って、同じアプリを使った人がいないかググっているところだ。

もしかしたら位置情報で自宅を特定されているかも知れない。

ヤバイ、ヤバイ

もしも信仰宗教アプリかなんかで、壺とか象牙の印鑑とか買わされたら怖いし。

あせあせとスマホでサーチしていると、突然ピンクのスマホの画面が光り出す。

わーっ!  遠隔起動も出来るのかよ! 


「一樹君、いるんでしょ?」


ア、アプリも自動起動かよ。


「つ、壺とか絶対に買わないからな!」


「いったい何を言っているのです?」


「いや、ティアナって女神なんて聞いたことないし、やっぱり新興宗教なんだろ!」


「えーーと 神を信じ崇めるのだから、もちろん宗教よ」


「や、やっぱり」  俺はその場で膝からガックリと崩れ落ちる。


「か、解約する。  やっぱり解約だ!」


「へーー 解約するんだ。 せっかく幸せになれるのに、いいのかなーーぁ」


そう言ってティアナはちょっと悪い顔になる。  女神なのに。


「幸せってなんだよ」


「そうねぇ・・・ 例えばだけどぉーー

  あと10センチ身長が伸びるとかぁー

  もう少しイケメン顔になるとかぁー

  異世界に行ってチート冒険ができるとか

  あとは学年上位の成績が取れたりぃーーー

 ねっ、幸せすぎちゃわない?」


ごくりっ ← 生唾を飲み込む音


「そんなこと出来るわけが・・」


「あらあら・・ 出来るわよ。  このティアナに不可能なことは無いの」


「そんなナポレオンみたいなこと言ったって・・・」


「それじゃあ、お試し期間を設けるってのはどうかしら」


ティアナは、ますます怪しいセールスレディのようになって来る。


「さっきの契約はいったん保留にして、3ヵ月以内の願い事の達成率をみてから本契約するって事でどうかしら?」


「う~ん。 そ、それならばいいかも」


「やったぁ  それじゃ決まりね」


ティアナの表情がぱぁっと輝く。 (ただスマホの画面が光っただけなのかもしれないが)


お試し期間は3ヵ月。  今は6月10日なので、9月10日までか。

さっきティアナが言ってたことが、本当に実現できるとしたらすごくラッキーなことだよな。

それって、まるで魔法のランプを手に入れたアラジンのようじゃないか。


そんな事をあれこれ考えていると、いつの間にかピンクのスマホの電源はオフになっていた。


・・・

・・


場所と時空は変わり、ここは天界。


「ティアナよ。 昇級試験の状況はどうなっておる?」  天界で一番偉い神がティアナに問う。


「はい。  大神さま。  既にターゲットは確保いたしました」


「おお、そうか。 それでは昇級できるように励むよう」


「はい、かしこまりました」


「ところで、今の昇級判定値はどのくらいじゃ?」


「えーっと  7%でございます」


「ふむ、まだまだ遠いのぉ・・」  大神は天界の天空を仰ぐ。


「きっと・・ きっと一樹殿を幸せにして昇級試験に合格いたします」


「ほっほっほ・・・  サリエッタは既に40%と聞いておる。 今年度の合格枠は1名のみじゃ。  心して挑むよう」


「はっ」


『なっ・・  あのサリエッタがもう40%ですってぇーーー ヤバイ ヤバイ  わたし、ヤバイィーーー!』



第四話(一樹の願い事)に続く


 

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