第56話リベルク村
リベルク村
7日をかけて大草原を抜け、ようやくリベルク村と書いた立て札が見えて来た。
「いやー 毎日おなじ景色だと、気が狂いそうになるよな」
「ほんとにゃ。 朝起きると振り出しに戻った気持ちになったにゃよ」
「あたし、もう気が狂ってるアル!」
「いや、最初からじゃないの」
「一樹、蹴とばすアルよ」
「いや、やめて。 タイキックボクサーより痛いんでしょ」
「デデーーンッ 一樹、アウトーー! アル」
「えっ、なんで知ってるの?」
「ふふん こう見えても神さまアルからな!」
・・・
・・
・
そういえば、ティアナは最近スマホを見なくなった。 クーニャンも最後に使ったのは三の塔の守護者との電話連絡のみだ。
もしかして電波が届かないエリアなのだろうか。
まあ、話す相手もいないだろうし、面白いコンテンツなんかも無い世界なんだろう。
「さあ、もうすぐリベルク村に入るわよ」 ティアナが振り向きながら言う。
「一樹さま。 やっとお肉が食べられます。 マリア牛一頭はぺろりです」
「おいおい、その姿のままでも1頭いけるんかい」
恐るべき食欲である。 ギャル〇根やなんとかツイ〇ズよりすごい。
リベルク村に入ったと言うが、辺り一面広大な牧場で村に入った気が全くしない。
いや、これって草原と変わりないだろう。
牛の姿は、あちこちにに見られるが人とは全く遭遇しない。
マリアは牛を見て涎を垂らす寸前のような顔で歩いているが、店らしきものも見当たらない。
そのうち、みんなのお腹の虫が大合唱し始める。
グーーッ ギュルルーー
ゴーーッ
グルルーー
「もうだめにゃ、お腹が空き過ぎて歩けにゃい」
ポポが最初に道の真ん中で、しゃがみ込んだ。
「なんだよ、ほら立てよ。 もう少しで着くさ」 ポポの手を持って引っ張りあげる。
「アイヤー この先まだまだ何も無いアルネ!」
「なんだよ。 クーナニャン本当か?」
「千里眼を使ってみたけど何もないアル」
「そんにゃあ」
「だいじょうぶよ。 リベルク村は地下にあるから」
「そうなのか・・ そういう事はもっと早く言ってくれよな」
そして、それは少し歩いた先にあらわれた。
「こ、これは・・」
まるで首都高の東京港トンネルのような入口が、ぽっかりと口を開けている。
「さあ、リベルク村へは、ここから入って行くのよ」
ティアナが先頭になってスタスタ歩いて入口の中へ入って行く。
すると、真っ暗だったトンネルの中の両側に松明たいまつが自動的に灯ともった。
「へぇ、こうして見ると魔法もハイテク技術みたいなもんなんだな」
トンネルを100mほど進むと突然広い空間に出た。
周りの壁が強い光を放っていて、中はすごく明るい。
もしかして、この村に住んでいる魔物は、相当に頭が良いのではないだろうか。
もう少し先へ進むと建物が見えてきて、辺りが村らしくなってくる。
魔物と言っても見た目は人と変わらない村人も何人か歩いている。
「あの先の建物が食堂みたいよ」
「やったにゃ。 早く何か食べたいにゃ」
ポポが待ちきれずに食堂へと駆けだして行く。
そして・・
「にゃぁっ! 本日臨時休業だにゃあーーー!」
第五十七話(BBQ)に続く。
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