第33話腹ペコトリオ


腹ペコトリオ


一方こちらは、お金がなくなり仕方なくロルシュの町へ向かった、女神ティアナ一行である。


「お腹が空いたにゃあ・・・」


「お金がないアルから、我慢するよろし!」


「にゃぁぁーーー」


ハイネを出発してから、まだ半日でこの有り様だ。


「もう少ししたら、魔物が出没する森につくから、食べられそうな魔物を狩ることにしましょう」


ティアナは、スマホのパーセンテージを確認し、渋い顔をしながら二人を見た。


「美味しい魔物なんかいるアルか?」


「あら、ジャッカロープ(角の生えた兎)のお肉は最高に美味しいわよ。  それにキノコモドキは、水で洗って毒胞子を落とせば結構いけるし」


ゴクリッ


「にゃんだか聞いてるだけで、涎が出てきたにゃ」


ポポが急に元気になり、先頭をズンズン歩き始めた。


「他にも食べられる魔物はいるアルか?」


クーニャンは天界で暮らした時間も長く、すぐに守護者となったため魔物などは食したことがない。


「クーニャンは、2ランク降格になったのだから、これからはいろいろ覚えることも多くなるわよ」


「それは悲しいアルな」


「他に食べられるものというか、毒を持っている魔物以外なら、だいたいは食べられるから安心してね」


「そなのアルか?」


「ええ、牛に似た魔物は牛肉に近い味がするし、鳥系の魔物からは、たんぱくなお肉が取れるわよ」


そんな会話をしながら歩いていると、辺りは魔物が潜んでいそうな、うっそうとした森に姿を変えた。


「あっ うさこうを見つけたにゃ!」


目と耳の良いポポは、さっそくジャッカロープを発見する。


「うまそうにゃぁ」  ポポはジャッカロープ目掛けて飛び掛かる。


「あっ、待って! その魔物はすばしっこいので角に気を付けるのよ!」


ギャーーッ


「痛いにゃーーっ!」


一匹だと思っていたポポは、草むらにいたジャッカロープの群れに一斉攻撃をくらったのだ。


「ふんっ 未熟者アルな」


ク-ニャンが群れの中に飛び込んで行く。


こういう場面では、武闘家が圧倒的な強さを見せる。


飛び掛かってくるジャッカロープを次から次へと蹴り倒し、また拳を入れてあっと言う間に5匹を仕留めた。



・・・

・・


三人は比較的安全そうな場所を見つけ、さっそくジャッカロープを解体して、その肉を焼いたり、シチューを作ったりした。


「にゃっ これは美味しいにゃ」


「これほどとは思わなかったアルよ」


「ねっ 言ったとおり美味だったでしょ」  ここぞとばかりにダメ女神がドヤ顔をする。


「あと毛皮は高く売れるから、きちんと処理をして持っていくわよ」


「幾らくらいで売れるアルか?」


「そうね・・5匹分あれば宿に2泊できるかしら」


「へ~ぇ 意外と高く売れるアルな」


「そうなの。  だから魔物狩は、美味しいお肉が食べれたり、毛皮を売ってお金もゲットできて最高なのよ」


「にゃらば、この森の魔物を全部やっつけるにゃ」


「あらあら、ポポちゃんそれはダメよ。 生態系が壊れたら森も死んでしまうし、この辺で暮らしている人達も困ってしまうわ」


「そうだったにゃ」  ポポが頭をかきながらテヘ顔をする。


「だけど旅を続けるなら、もう少しお金が必要アルネ」


「そうね。 このまま一樹くんを追いかけながら、魔物も必要なだけ倒していきましょう」


こうして、一樹のことはあまり心配していない三人組は、旅を楽しみながらロルシュの町を目指すのであった。



第三十四話(合流したパーティ)に続く

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