第48話オアシスのお姉さんたち
オアシスのお姉さんたち
突然クーニャンのスマホからスター〇ォーズのテーマ曲が流れ始める。
わわっ!
スマホの着信音など初めて鳴ったのか、クーニャンは驚いてスマホを落としそうになる。
「もしもし・・はい、元二の塔の守護者クーニャンです。 はい、はい、そうです。 えっ? 見つかったのですか。 はい、わかりました。 そのように伝えます」
「電話なんて珍しいな。 こっちでも普通にかかってくるんだ」
「アイヤー わたし電話は初めてアルよ」
「へぇー そうなの・・・ そう言えば、電話の時はアルアル言わないんだな」
「そう言えばそうアルな」 クーニャンは自分でも不思議そうに首を傾げた。
「あれかな。 電話にでると妙に声が高くなっちゃうのとおんなじ理由だったりして」
「いや、そんなことより ティアナに朗報アルよ」
「ティアナに?」
「スマホが見つかったアル。 ちょっとティアナに言ってくるアルね」
そう言いながらクーニャンは、テントに走って行った。
なんでも後から聞いたところによれば、三の塔の守護者が3階層の復元作業をしていて、ティアナのスマホを見つけたんだそうだ。
画面に少しひびが入っていたようだけど、そのスマホからクーニャンに電話をかけたそうなので壊れてはいないだろう。
「ほんとにーーー! よかったーー♪」
テントは結構離れているのに、ティアナが喜ぶ声がこっちまで聞こえてくる。
「わたし、ちょっと急いで取りに行ってくるわ♪」
『へっ? 今から取りに戻るのかよ!』
さっきの魔物を見ている俺は少し心配になる。
ティアナが取りに行って戻ってくるなら1日のロスになるし、あの魔物が出た場所でキャンプは危険すぎる。
ティアナがテントから出て来たので、そのことを伝えると、この場所から少し先にオアシスがあるとのこと。
そこは小さいながら、店や宿まであるらしい。
まあ、クアタム村から歩いて1日の場所なので、宿があってもおかしくはないのだけれど。
そこで俺たちは、ティアナが戻ってくるまで、そのオアシスで待つことにした。
オアシスまでは予想以上に距離があったが、ポポが水の匂いを嗅ぎ分けられたため、迷わずに着くことができた。
そして、オアシスはある意味で男のオアシスだった。
「アイヤー ここは歓楽街アルネ」
「ポポはお酒の匂いは嫌いじゃないにゃ」
「一樹さまは未成年ですので、お酒を呑んではいけません」
「だいじょうぶだよ、マリア。 俺の家系かけいは下戸げこだし未成年は自覚してるから」
しかし、きれいなお姉さんがたくさんいて、歩いていると熱い視線が気になる。
ちょっとニヤけていると。
「いっ!・・ 」 マリアが俺の尻をツネってくる。
「一樹さま。 夜伽でしたらマリアにお任せください。 一樹さまのお世話はエバさまから命じられておりますので」
「いや、下のお世話は遠慮しておきまっ・・・ えっと、痛いのでやめて・・」
・・・
しかし困ったことに、このオアシスには普通の宿はなかったのである。
しかもオアシスには、テントを張る場所もないくらい建物が立っているし、やしの木に似た大きな木がいっぱい生えている。
しかたがないので、怪しい宿屋で泊まれるか聞いてみる。
『これって、やっぱりラブホだよな』
「えーっと 今日なんですけど部屋は空いてますか?」
「はいはい。 お一人さまで?」
「いや、4人なんですけど・・」
「一人部屋か二人部屋になりますが。 お一人部屋でしたら、外から女性を呼べますがどうされますか?」
「えーっと・・・」
「二人部屋を二部屋お願いします」 マリアが横から割り込む。
「えっ? えっ? 部屋割りはどうするんだよ」
「もちろん、一樹さまとマリア。 ポポとクーニャンですわ」
「いや・・ それはまずくない? いっ! 痛いよマリア」 マリアにツネられると確実に痣ができる。
「一樹さまのお世話はマリアの仕事ですので、同じ部屋に泊まるのは当然なのです」
『いや、新婚で嫁が怪我の治療中に、他の女性と一緒の部屋はまずいだろ! 普通なら殺されるぞ!』
どうするか悩むが、一人部屋でも宿代に外から綺麗なお姉さんがやってくる分も入っているらしいので諦めた。
・・・
そしてその夜。 俺はマリアに襲われたのだった。
第四十九話(できちゃった?)に続く。
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