スマホの中の女神さま

@a-isi

第1話スマホの中の女神さま

スマホの中の女神さま    

                        (物語後半はエロいッス)


キーンコーン カーンコーン

6限目の終了チャイムが盛大に鳴り響く。

この学校のチャイムの音は異常なくらいにデカい。


「よしっ、今日はここまで!」


銀バエというあだ名の銀縁メガネをかけた沼崎が、出席簿を脇に抱えて教室を出ていく。

と同時に、俺も猛ダッシュで教室を出た。

そうしないとまた立木達に捕まるからだ。

やつらは1年前から俺をターゲットにして、いじめ出したのだ。


今日は絶対に逃げ切ってやる!

廊下を走るなと言う注意書きポスターを横目に、昇降口(玄関)へと駆け抜けるが・・・


「とっとっと なんで先にやつらがいるんだよ!」


下駄箱前には、もう立木と森下が待ち構えているじゃないか。

もしかして隣のクラスの6限は自習だったのか?


「クソっ ならばこっちからだ」


立木達に気づかれる前に、くるっとUターンして裏口(グランド側)から外へ出る。

クツは仕方がないので上履きのまま小走りで家に向かう。


「ここまでくればもう大丈夫だろう」


帰宅部で体力がない俺は、鹿曲川の土手の斜面に座って一息つくことにする。

川から吹いてくる涼しい風が、体を冷やしてくれて気持ちがいい。

大の字に寝転んで白い雲がゆっくり流れて行くのをぼーっと眺めてみる。


「ちくしょー 俺も雲になりてーーっ!」


などと叫んでいるうちに、めっちゃきつめの睡魔に襲われる。


・・・

・・


急に鼻の上でバッタが跳ねて深い眠りから覚醒する。


「やっべっ! 寝ちまってた」


気が付けば辺りは、もう薄暗くなり始めている。

立ち上がろうとして手をつくと何か硬い物が指先に当たった。


「うん? スマホ?」


誰かが落としたのだろうか。 きっとこの草叢くさむらに隠れて見つけられなかったのだ。

そのままにしておくか一瞬悩んだが、明日交番に届けることにした。

ピンク色のスマホに淡い期待(きっと綺麗なお姉さん)を浮かべながら、カバンにスマホをしまう。

ぐぅーーー  俺のな正確な腹時計が午後6時を告げた。


・・・

・・


家に帰ってから拾ったスマホの電源を入れてみた。

パスワードも顔認証もない不用心なスマホの待ち受け画面は、家系らーめんの画像だった。


「拾うんじゃなかった。  俺のきれいなお姉さんを返せや!  バカヤロー」


スマホに向かって悪態をついていると・・


「んっ??  なんだ?」


ふと、どんぶりの下のアイコンがチャカチャカ動いているのに気づく。

そしてアイコンの可愛いらしい女の子は、ニコニコと笑っていた。

その笑顔につられて、ついアイコンをタップしてしまう。


♪♪~♪


BGMが流れ、きれいなお姉さんの顔が画面いっぱいに表示される。


「どぉもぉーー 拾ってくれてありがとーー♪」


「えっ?  何?  リモートアプリ?」


「ちがうわよ。 わたしは女神ティアナ。  あっ、電源は切らないでよ!」  


「いや、ちょっとキモイし」


「なによあなた失礼ね。 女神に向かってキモイって何?」


画面の中のお姉さんの顔が怒っている。


「それにしても、よくできたアプリだなー」


「アプリとは違いますよー。  本物ですよー」


「いやいや、ご冗談を。 俺は神様は信じていないんで」


高校に入ってからひどい目に遭っている俺は無信心者である。


「だったらどうすれば信じてくれるのかな?」 アプリ女神様はねばる。


「う~ん  そうだなぁ・・・  夕飯がカツカレーだったらかな~」


「プッ そんなことでいいの? なら決まりね!」


「OKそれで決まりだ」


やっぱりアプリの限界だな。

俺は帰って来たときにキッチンからの焼き魚とみそ汁の匂いを嗅いでいる。

俺はアプリを終了させないまま、電源ボタンを長押しした。

ほんとうは、アプリの終了方法が分からなかったのだけど・・・


「かずきーーー  ご飯出来てるわよー」


母さんの声が階下から響いてくる。


「いま行くーーー!」


パタパタと階段を下りて行くとテーブルの上には熱々のカツカレーがおいてあった。


第二話(本物の女神さま)に続く



※本作品は「小説家になろう」に挿絵付きで、先行掲載させていただいております。



以下、若干のネタバレ

<主な登場人物>

一樹    主人公

ティアナ  女神

ポポ    猫耳娘

クーニャン 格闘家

エバ    竜王の娘

サットン  執事    

オリビア  ヒーラー

アンソニー ガイド   

トラス   預言者   

マリア   竜族のメイド

エルマ   エルフ

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