第6話九つの塔

九つの塔


町に向かう道中、ティアナは九つの塔について簡単に説明してくれた。

塔の名称とその塔での試練によって手に入れることが出来るものは、だいたい次のようなものだそうだ。



一の塔(魔力の塔) 自分の持つ魔力の覚醒とレベルアップ

二の塔(技の塔)  剣技の習得とレベルアップ

三の塔(財宝の塔) マジックアイテムの入手とお宝ゲット

四の塔(情熱の塔) 己の魂の迸ほとばしる力の開放  

五の塔(誘惑の塔) サキュバスの誘惑と耐性力の習得

六の塔(知力の塔) どのような状況下でも正しい判断を下すことが出来る能力の鍛錬 

七の塔(試練の塔) 上級冒険者のクエストと更なるレベルアップ

八の塔(勇気の塔) 死の恐怖とそれを乗り越える精神力の鍛錬 

九の塔(希望の塔) 上級冒険者のあらたなる旅立ち


※なお、塔の守護者(管理人)の入れ替わりにより、上記内容に変更が生じる場合があります(by ティアナ)


「それでティアナ、全部クリアするのにどのくらいかかるの?」


「そうねぇ・・ 一樹くんひとりで周るなら最低でも1年くらいかな」


「えーーーっ  かかり過ぎじゃねぇーー!」


「でも旅の途中で仲間を増やして、パーティーを組めば短縮できるし、わたしがサポートすれば更に短くなるわよ」


「まぁ、クリアして帰ったとしても、向こうの時間が経ってないならいいか」


俺はティアナの言ったことを思い出し、この冒険をゆっくり楽しむのも良いかと考えた。

ただし、コミュ障の俺はパーティーを組める自信がまったくないのだけど。


・・・

・・


どのくらい歩いただろう。 足の感覚がなくなってきたころに、ようやく最初の町というか村が見えてきた。

ずいぶんと長い距離を移動してきたが、なぜか魔物には一匹も出会わなかった。


今は武器も持っていないし、自分の実力も把握出来ていないので、これはこれで良かったのかも知れない。


途中からティアナは、俺の頭の上で眠っていたようで、ちっさいわりには大きな鼾が聞こえていた。


「ティアナ、起きろ。 村が見えてきたぞ!」


「う~ん。 ああ、チャベル村かしら。 ここの村にはすっごく美味しい食堂があるのよね」


「そういえば俺、もう腹ペコなんだよ~」


「そうね。 わたしもお腹減ったわー」


そういうとティアナは、目の前で等身大の女神の姿になった。

初めて見る等身大のティアナは、女神様というだけあって、めちゃめちゃ綺麗だ。

そしてそれは、俺の思っていた「きれいなお姉さん」の何倍もだった。

しかも、推定Fカップ。 ウッシッツッ


「それで、村には勝手に入っても怒られないのかな?」


「だいじょうぶよ」


ティアナは平気そうな顔をしているが、村の入口であろう門の前には、鍬クワや鎌を持った男が数人立っている。

しかも、こっちをものすごく睨んでいるのだ。


「なあ、ティアナ。 ここまで来て飯抜きってことないよね」


俺はとっても不安になり、ティアナの方を振り返り、じっと見た。


・・・ 『いや、なぜ視線をそらす!』


それでも、せっかくココまでやって来たのだから、村に立ち寄らないわけにはいかない。

不安にかられるなか、さらに笑顔で近づいていくと。


「おいっ、よそ者ども。 そこで止まれ!」


おそらくこの村一屈強であろう、お兄さんが怖い顔をし、両手を広げて俺たちの前に立ち塞がった。


   


第七話(初クエスト)に続く

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