第26話 鉱山メンバー


約束のその日……


例の水晶の発掘メンバーとして集まったのは、

ホビットのクルト王…今回のリーダー。


巨人族のドミニカ…彼女はピエトルのイトコらしく、整った顔立ちにプルプルの唇、それでいて大変巨乳なため、あきらかにエロティックなナイスバディをしているギャルだ。


「ドミニカちゃ〜ん!今日の衣装も見事じゃよ〜!なんというか…ふーむ、まるで、熟れたピーチを剥いたときの皮がほんの少し残っているところに砂糖をまぶしたような……

いや違うな……むき卵のツルツルに塩をほんの少し振りかけたような……」


「相変わらず言ってる意味わかんねっつーの爺さん」


どうやらクルト王のお気に入りらしく、もう既にデレデレになっている。


それから砂漠族の女王の弟シモン。

彼は砂走りや複雑な地形でも素早く動けるということで参加してくれた。


「どんなところでも俺におまかせあれっすよ!」


まぁ本音は単純に憧れのパヴェルがいるからという一点だけだろうが。


そして……


「なんっでお前がいんだよアルトゥル!誰もお前なんか呼んでねぇわ!この目立ちたがりが!」


「テメェこそなんでいんだよパヴェル!こういう時は俺様の出番って決まってんだテメェは引っ込んでな!」


この2名とそして浪曼の、計6名である。

なんとも先が思いやられるメンバーで、浪曼は不安しかない。



「今回はあの鉱山じゃ。」


なかなか高く険しそうに見える崖のような丘が見える。


「いつもは荷車で行くんじゃがな、今回はこのナイスバディのドミニカちゃんがおるからの、あそこまで運んでもらおうというわけじゃ!じゃあ儂はそのお胸の間に……っうわぁ!」


クルトは問答無用でひょいとドミニカに摘みあげられ、頭の上に乗せられた。


「ほぅ……これはこれで胸の谷間さんが……!」


続けて全員ひょいひょいとドミニカの肩などに上げられた。


「うわぁ……すごいっ…」


つい感嘆の息を漏らしてしまう。

4メートルくらいの高さからズンズンと前を進んでいく景色は、なかなか圧巻だ。



「うわぁ〜!これめっちゃ楽しいっすねパヴェルさんっ!」


「テメェは羽あんだから飛べや!」

「いいだろ別に!ひゃほ〜いっ☆巨人最高〜」


こんな感じであっという間に丘の前に到着した。


「ここからどうするんですか?頂上まで行かなきゃなんですよね?」


「ここからはドラゴンの出番じゃ。ほれ、アルトゥル小僧。」


「あ〜はいはいっと!」


なんとアルトゥルは大きな翼を広げて舞い上がったかと思えば、ビュンッと目にも止まらぬ早さで飛んでいってしまった。


しばらくして戻ってきた。

のだが、同時にものすごい突風が吹いてきて、思わず何歩か後退りした。


目を開くと、そこには……


「まさかロープウェイ?!」


どうやら頂上に置きっぱなしになっていたこれを、アルトゥルに下ろしてもらったということらしい。

おそらく下りは別の方法を使っているから置きっぱなしなのだろう。


「なるほど。これに乗っていくんですね!それは便利だ!」


「さぁ乗るんじゃ」


クルトに続いて、浪曼とパヴェルが乗り込んだのだが、シモン、ドミニカ、アルトゥルは乗らないようだ。



「この乗りもんは普通に乗ってたらチンタラと遅いからの。じゃからこうしてもらう。」


「じゃー行くぜ〜っ!」


アルトゥルの掛け声と同時にガシッと車両を持ったドミニカ。

そして……そのまま思い切り投げるように押されたかと思えば、翼を広げたアルトゥルが、

ビュンッ!!!と翼から風の力でさらに押してきた。


声を出す間もなく、一気にロープを滑って上がっていく。凄い勢いだ。


「なっ、なるほどっ!投力と風力で物理学的勢いをつけるやり方かっ…うわぁあ!怖いっ」


ビューーーーンと凄まじい速さで登っていく中、ふと見ると、同じくらいのスピードで横を走っているシモンがいた。


「うわはははは〜っい!たっのし〜い☆やっほーパヴェルさんっ☆」


さすが、フェネックの足を持つ生物。

いとも簡単にぴょこぴょこと険しい道を跳ねている。


後ろには、定期的に風を飛ばしてくるアルトゥルが飛んでいて、ターザンのように木を伝って移動しているドミニカがいる。


こうしてものの3分もしないうちに到着してしまった。

通常だと30分はかかるらしい。

10分の1も時間短縮してこんなに早い山登りなんて普通はありえないだろう。



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