第18話

俺達は家に帰っていると、人がいないことに不自然感を抱いた。おかしいいつもならここはたくさんとはいわないまでもそれなり人がいるはずだ。なにか人為的な作為が起きてるのか?


「お兄様なにか不自然です。いやな予感がします」


「ああ、そうだな早く帰るか」

 

歩みを進めたとき、一人の男が怒りを滲み出しながら現れた。今こいつどっから来たんだ。全く気配を感じなかったぞ。陰業の類いか?十中八九この人気のなさはこの男の仕業だろう。なんの術式か分からないが。男は俺に歩みよった。俺は花梨を背中に隠した。味が


「何が目的だ」


「お前みたいなやつに悠香さんは渡さない。お前みたいなやつより僕みたいなイケメンの方が釣り合っている。振られたのは何かの間違いだ!」


悠香に告白した男か。確かにこいつは俺よりもイケメンだ。そこらのモデルよりも上だろう。だが悠香人を見た目で判断しない。こんな暴挙にでるくらいだ。中身は大したことないのだろう。見た目イケメンなだけのやつなんて悠香からしたらむしろ好まない。


「間違いじゃねーよ。こんなことで潰そうとしてる時点で見た目以外の魅力なんてないだろ。現に女子を今まで侍らせてきたんだろうが、ちゃんと愛してくれたやつはいたのか?」


「僕はモテモテだった。皆僕をイケメンだねと誉めてくれたんだ。お前みたいなやつが悠香ちゃんに好かれているなんてあり得ない」


「俺があり得ないならお前はもっとあり得ないな」


「炎よ燃やし尽くせ。フランマ」


確かラテン語で炎か。それなら


「水よ我の周囲に宿れ急急如律令」


俺は周囲に水の塊で覆い、炎を鎮火して、防いだ。それにしても聞いたことない術だ。ラテン語からして魔術か。陰陽道が存在してるならヨーロッパに似たようなものがあってもおかしくない。だが魔術師にしてはやけに弱い霊気だ。素人が本でも齧って使ったか。何はともあれすぐに決着を付けよう。


「雷よ轟け。急急如律令!」 


雷の直撃を受けた男は気絶した。やはり素人か。しかし呪術を使ったが、魔術を使ってきたら問題ないよね?少なくも防犯カメラには写っているはずだし。陰陽師側も魔術を使ってきたことを認識して、問題視するだろうが。素人にヨーロッパの術の本が流れてることに。陰陽師はそいうのに敏感だからな。


「さてと、こいつどうしようか」


「お兄様警察な付きだしましょう。お兄様を嫉妬で攻撃する人は逮捕されるべきです」


「それが無難か。それじゃーちょっと時間かかるが交番に行くか」


俺は男を抱えて近くの交番に行った。そして男を預けて取り調べは男が目覚めてから明日することになったので、俺達は直ぐに家に帰った。明日は少しお見舞いには遅れそうだな。一応連絡しとくか。あまりこっぴどく振ったりもしないようと忠告もして。


「お兄様明日も悠香さんのお見舞いに行くのですか?」


料理を作ってる最中の花梨が話しかけてきた。まぁ事前にいえば花梨は自傷しないから言っておくか。言わなかったらまた必要ないと思われていると言って、自傷しかねないからな。


「ああ、行くぞ」


「私も行っていいですか?」


悠香は花梨に対してはヤンデレ発動しないから大丈夫だろう。やっぱり妹ってのかでかいのかね。俺が花梨を好きだったらヤンデレが発動してただろうな。


「いいぞ、きっと悠香も喜ぶはずだ」

 

花梨はまた直ぐに料理に集中した。俺はその間フランス語の勉強をしていた。私立文系には外国語がどれだけできるかが合否の分かれ目になるからな。日本史はもうすでに過去問で八割とれてるから問題ない。あとは国語だか、これも苦手意識がないから勉強すれば大丈夫だろう。今勉強を熱心にするのは授業についていくためと、余裕をもって受験生になりたいからだ。


それから一時間くらい勉強してると、花梨が料理作り終えましたよーと言ってきたので、俺は参考書を閉じて、参考書を部屋に置いていって、またリビングに来た。


「お兄様運ぶの手伝ってもらえますか?」


「作ってもらったからな、元々そのつもりだ」


俺はできた料理を机の上に運んだ。どれも美味しそうだ。お弁当以外には血は入ってないから美味しく食べれる。できればお弁当にも血をいれないでほしいが。俺達は席に座った。


『いただきます』


俺達は食べ始めた。まずはピーマンの肉詰めからだな。ピーマンの苦さかうまい感じにでていて美味しい。それから七味をかけて豚汁を飲む。出汁が聞いていて美味しい。ニンジンの食感もちゃんとしていて美味しい。それから違う料理も食べたが、どれも美味しかった。そうしてるとあっという間に食べ終わった。


「どれも美味しかった。さすが花梨だな。これならどこに出しても恥ずかしくない」


「フフよかったです。でも私はお兄様の元から離れません。例え一人暮らししようともついていきますよ。食生活も心配ですし」


そこまで甘えるわけにはいかないんだが。花梨のことだ言っても聞かないだろう。ここで否定して、自傷されるのも困るし。


「そうだな、花梨に食生活を管理してもらえないと、乱れそうだ。これからもよろしくな」

 

これが一番無難な返しだろう。それから食器は俺が洗った。そりゃ作ってもらったしなこれくらいやらないと。



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