第29話

やがて悠香と花梨は食べ終えて、残りマッカンケーキは俺が家で食べることになった。久々に食べれるから楽しみだったりする。今日はマッカンを控えるか。それにしても本当に美味しそうに食べてくれたな。作り甲斐があった。やっぱり自分だけのために作るより、人のために作るのも悪くないな。喜んでくれるならな。まぁだからといってこれから毎日料理を作ろうとは思わないが。だってデザート以外に関しては花梨の方が美味しいし。花梨の料理を食べれないのはいやだからな。たまに作ったりするのはいいかもだけど。


「それでこのマックスコーヒケーキってどんくらいマックスコーヒをいれてるの?」


「四本だ。結構染み渡っていただろう?」


ちょうどいい本数をいれるのに苦労したんだよなぁー。入れすぎると甘すぎるし、入れなさすぎると微妙な味になったりするからな。加減が難しい。


「それじゃ今日はマッカン飲まない方がいいね」


「そうだな。マッカンをかなり入れたからこれにマッカンをさらに飲んだら糖尿病になりかねない」


好きなものを飲んで病気になるのは仕方ないが、好きなものを飲めなくなるのは痛いからな。何事も適量というものがあるし。俺は携帯で時間を見ると、そろそろ取り調べの時間だった。取り調べは面倒だが、こっちの言い分も言わなきゃ陰陽法で罰せられるからちゃんと自己防衛の範囲で使ったと説明しなきゃいけない。


「花梨そろそろ警察署に行くぞ」

 

「もうそんな時間なんですね。それじゃまた来ますね悠香さん」


「じゃあな悠香。また来る」


「じゃあね。料理とケーキありがとねぇー」


それを聞いて俺達は病室を出た。警察署の取調室ってどうなっているんだろうか。ちょっと気になるわ。ドラマだと真っ白い空間だが。リアルをモデルにしているのだろうか?


「お兄様何を考えているのですか?」


「いや取調室ってドラマと一緒かなと思ったんだよ」


「改編している刑事ドラマを多いと思いますが、改編しなくてもいいところはしてないと思うんで、一緒じゃないですか」


花梨は俺の腕に抱き付きながら言った。さりげなく抱き付くなよ。心臓に悪いだろう。急に来たから心臓がドクンドクン鳴っている。妹でもそれなりの大きさの胸はしてるからな。


「そうかもな、後急に腕に抱き付くな。ドキドキするだろ」


「それを狙ってやっているんですよお兄様」


狙ってとか余計に質が悪いわ。しかも胸を押し付けてくるし。胸好きじゃない俺でも鼻の下伸ばしちゃうよ。それにしても胸って本当に柔らかいな。揉みしだきたくなる男の気持ちが分かる。こんなのが生で目の前にあったら揉みしだいちゃう。


「ふふお兄様が顔がニヤついています。そんなに気持ちいいですか?なんなら直接触りますか?」


それは不味い。父さんに知られたら家を追い出される。触っていいとか兄に言うなよ。本気だったら悩んじゃうだろ。とりあえず今は我慢だ。


「触んないからね?触ったら悠香に何をされるか分からないし」


だからお願いだからむぅーといいながらほほを膨らませるのはやめて?可愛すぎるからね?何かしたくなっちゃうから。これ妹じゃなかったら惚れてたな。


「きっと許してくれますよ。、、、、私と悠香さんは協力関係ですし。まぁここまで来るのに色々衝突はありましたが」


「なんか言ったか?」


「なんでもないですよ。それより警察署はここからは近いのですか?」


「千葉みなと駅だからモノレールに乗るな」


アイドルのライブ帰りにちょくちょく職質されて、警察署に行くから覚えたんだよなぁー。まぁニヤニヤしながら妄想してたらそうなるよな。


「そうなんですね。でもなんで警察署覚えてるんですか?」


「まぁ色々あったんだよ」


職質されて覚えたなんて恥ずかしくて言えねぇー。警察署の人にまた君とか言われたくないな。花梨にばれるのは恥ずかしいし。お願いだから言わないでくれよ。


それから最寄り駅に着くと、俺達はモノレールに乗った。これ乗るの久々だな。相変わらず桐乃とあやせの声が聞こえていい気分だ。やっぱり声優の声はいい気分になるよな。萌え声で癒しになる。


花梨の学校での話を聞いているとあっという間に千葉みなと駅に着いた。モノレールって揺れるよな。だからってどさくさに紛れてほほを肩に擦ってくるな。めちゃくちゃ柔らかいが。


俺は周囲の視線を集めながら、モノレールに揺られていた。


なんとか我慢しながら早く着けと祈っていると、千葉みなと駅に着いた。体感時間は長く感じた。


「着いたぞ花梨」


「もう着きましたか。お兄様の照れてる顔も可愛かったですよ」


「いや分かっているなら止めろよ。お陰で周囲の視線がやばかったんだからな」


今にでも殺してやろうかという視線だった。特に高校生や大学生の視線がやばかった。イケメンになってもこういった視線には慣れない。嫉妬はなれた瞬間自分はそれにふさわしい人間だと思っちゃうから慣れない。


「私達と一緒にいるならなれてもらわなきゃ困ります」


恐らくもう一人は悠香のことを示しているんだろう。


「嘲笑はなれているが、いつまでたっても嫉妬の視線は慣れないものなんだよ。自分が慣れたら特別だと勘違いしそうでな」


「特別ですよお兄様は」


周りからみたら少しイケメンなだけだと思うがな。俺達は駅を出た。














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