第51話

俺は霊気をたどり、優香のいる建物に着いた。魔術師の霊気も感じる。そこそこ強そうだ。強力な呪術を使って一発で仕留めるか。同じ場所にいると、優香が何をされるか分からないからな。俺は極限まで気配を消して、でるタイミングを伺うため、中の話を盗み聞きする。


「フフフなんと柔らかそうな胸なんだ。触りたいがまずはこっちの始めてもだくか」


「俺たちもやっていいんだよな?楽しみだぜこんな上玉とできるのは」


優香がすごく怯えてた表情をしている。俺はその瞬間タイミングなど関係なしに、でていき炎の呪術で魔術師を焼いた。


「なんだ?この炎は。まさか!」


「優香からその薄汚い手を離せ」


俺は霊圧を加えながら言った。男はがくがくと震えた感じで座り込んだが、優香が手元に居ると分かるとニヤッとした。人質にするつもりか。


「優香がどうなってもいいのか?俺に危害を加えればどうなるか分からないぞ」


遠隔攻撃ならできないこともないが、優香に当たる可能性があるとできないな。かといってここで動かないのは論外だ。そんなことをしたら優香が襲われるのを黙ってみることになる。式神を出して、背後から攻撃させるか。そうすればあいつも気づかないで終わるだろう。


俺は式神を霊札に霊気を込めて、召喚した。俺はテレパシーで式神にあの男を背後を取って、攻撃しろと伝えた。そして式神が移動した瞬間俺のはらが何者かに刺された。周囲に人なんて居なかったはずだ。さっき刺してきた魔術師か。俺は倒れながらも符で傷口を塞ごうとするが、回復しない。これは噂に聞く、回復させない呪具で刺したか。どんどん血がでてくる。


「ちっ不味いな」


「ふははそこで倒れながら優香が襲われるのを見てるんだな」


「義弘くん私は大丈夫だから無理しないでね」


優香は弱々しい笑顔を浮かべながら俺に言った。全然大丈夫じゃないだろ。優香のためならどんな無理だってしてやる。俺は息を荒くしながら立ち上がった。俺は目を瞑り、また魔術師が攻撃してくるタイミングを読むために霊気を感じるようにした。これなら少しの霊気の乱れで判断できる。


するとわずかに俺の正面で霊気が乱れた。俺は目を開けて、思いっきり足に霊気を纏わせて蹴った。魔術師はいきなら蹴りが来たことに驚いているが、避けられず俺は蹴り飛ばし、魔術師は壁にぶつかった。あれくらいの威力なら気絶してるだろう。


「はぁはぁ次はお前の番だ」


「ラマーク。こいつをどうにかしてくれ」


「仕方ない。それじゃこの陰なの始めては俺がいただくがそれでいいならな」


「ちっ背に腹は変えられないか。分かったよ。優香の初めてはお前にやる」


「こんな上玉の初めてを頂けるとはな。愉快愉快。それじゃささっと倒して頂くとするか」


優香はお前らみたいな穢らわしいやつにはやらねーよ。俺も本気を出すか。封印を解き霊気を全快にした。そして全力の霊圧を魔術師に浴びせる。しかし魔術師は目を細めるだけで、とくに恐怖を抱いた感じにはならない。


「ほうなかなかの魔力じゃないか。これは久々に面白い戦いができそうだ」


男はそう言って、魔術を繰り出す。


「影よあいつを絡みとれ」


そう言うと俺の影から腕がたくさんでてきた。ちっただでさえ血が出ているのに、動き回ったら大量出血で死ぬわ。これは一気にかたをつけたほうがいいな。俺は腕から懸命に逃げながら呪術を発動する。


「輝剣よ天より降りて霊樹に宿りたまえ急急如律令!」


樹木が魔術師を覆った。これで動きを止められればラッキーなんだが。早く決着をつけたいからな。血もヤバイし。やべふらふらしてきた。早く倒さないとな。


「燃え咲かれ炎よ」


樹木が焼かれた。結構な霊力を込めたんだかな。あの魔術師もかなりの霊力を持っているってことだろう。


「フゥー危なかったな今のは。陰陽師とは面白いものだ」


全然危なそうに見えないが。霊力はまだ残っているがその前に血が流れすぎて体のほうが倒れそうだ。俺はなんとか踏ん張り次の呪術を発動する。


「鉄のよう固く叩き割れ急急如律令!」


金属の刃が弓じょうとなり大量の矢が魔術師を襲う。周囲の霊気と俺の霊気大量に含んでいる。一つ一つの威力も高く、それプラス無限に降り注ぐ矢の嵐だ。これを防ぐ手だてはないだろう。しばらく放つと、魔術師の霊気が消えた。どうやら逃げたらしいな。今回はこれで諦めてくれたらしい。準備が足りなかったんだろう。魔術師も準備をするものが多いと聞くし。


「それじゃ気絶してもらうぞ。お前にはな。ふん!」


俺は霊気を拳に纏って思いっきり男の鳩尾にパンチを入れた。


「がは!くそ、が」


男は気絶した。俺はそのまま不動金縛りの呪術を男にかけ念のため動けないようにしてから優香の縛っているものを見た。魔術か、霊気の剣で切るしか方法はなさそうだ。俺は霊気剣を作り目を瞑って縛ってるもの透視して見えたところを切った。すると縛っていた魔力の奔流が切れた。


「義弘くん!血が血が!」


「大丈夫だと言いたいところだが、ちょっとヤバイわ。救急車を呼んでおいてくれ」


なんとか魔術師は避けたし、そろそろ限界だわ。意識が朦朧としてきた。ああこれは意識を持たせるのは無理そうだな。そこで俺は意識を手放した。














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