第52話
「知らない天井だ」
言ってみたいセリフ第一位を言ってみた。本当にいいたいだけで、おおよその場所は把握している。このチューブと薬品の匂いが病院だと物語っている。取り合えず喉が乾いたのと、腕に抱きついて寝ている悠香をどうにかしないとな。悠香は何日か分からないが面会ギリギリまでいてくれたのだろう。俺は抱きつかれてないほうの手で悠香の頭を撫でる。
「んぅ?よ、義弘くん!起きたんだね!良かった本当に。もうおぎないかと思ったんだからね」
悠香は泣きながら俺の胸元にきた。そしてそこで嗚咽を漏らす。もう悠香の泣き顔は見たくないな。もっと鍛えないと、それに魔術師があれだけだと思わないし。組織で動いているのは確かだろう。恐らくお金であのイケメンが雇ったんだろうな。今回は完全に犯罪をしていて、悠香の身にも危ないことをしたからお金をだしてもでれないだろう。悠香の家は足利家の家系だからな。かなり力を持っている。母方は天皇家の出身だから日本トップクラスの家柄だ。それとナースコールは押しておいた。
「心配かけてごめんな。だがやったことに関しては後悔はない。悠香を救えたんだからな。俺にとって掛け替えのない大切な存在だからな」
俺はそう言って悠香の頭を撫でた。すると悠香はめを細めて気持ち良さそうにしていた。何があってもこれからも悠香は守る。彼女ができようがな。
「掛け替えのない存在に思われて嬉しいよ。これはもう付き合うしかないじゃないかな?」
「いや彼女と大切は別だ。可愛くて、優しい女子と付き合うんだ」
確かに今回のことで命を張ったりするぐらい悠香は大切なんだと再認識したが。それでも彼女はヤンデレじゃないやつと付き合いたい。ヤンデレだと一々顔色を伺わなきゃいいけないからな。疲れて、別れるのがオチだからな。俺は付き合う相手は結婚まで考えているから試しに付き合うというのはない。
「それなら私でもよくないかな?義弘くんにはすごい優しくするよ」
「いや、女子と話したときの反応見たら無理だろ。これから先大人になったら依頼人とかと話す機会もあるし」
本家を継いだら自ずと女子と話すときもあるし。そもそも幽霊も祓わなくていいものでも悠香は俺と話したから祓うよとか言って祓っちゃいそうだしな。嫉妬して、要らぬことをやりそうなのだ。
「大丈夫だよ。仕事はちゃんと切って考えるから。プライベートは許さないけど。だからお礼とかは行かせないけどね」
全然大丈夫じゃねぇー。有力者の誘いを断れるわけないだろ。婚約に関しては断れるが。婚約は相手の気持ちもあるからな。親が勝手に決めた婚約は子供が反対するだろう。今の時代に自分の好きな人以外と結婚してもいいなんて人いないだろうしな。悠香と結婚したら血生臭くなりそうだ。
「それほぼ女子と関わるなと言っているようなものだろ」
「そうだよ私以外の女子と関わる必要ないでしょ。私がなんでもしてあげるんだから。もし相手から関わってくるなら私が潰すよー」
いや怖いからそんないきなり真顔で言うなよ。悠香と結婚したら自由がなくなりそうだな。でも奥さんがいるのに女子と一緒に行くのはそれはそれでダメか。それなら悠香の言っていることも分からなくもないが。
「土御門くん大丈夫ですか?」
するとイケメンなお医者さんがやってきた。イケメンで医者とかモテモテだな。羨ましい限りだ。看護婦さんも美人だ。こんな職場環境だったら旦那さんや奥さんは気が気でないだろう。いつ不倫されるか分からないからな。俺だったら不倫はしないが。好きな人さえ近くにいれば裏切ることはない。
「それで悠香よ。看護婦さんに威嚇するのはやめろ。決してその足にみとれてたりはしてないからな」
なかなかムチムチしていていい足だが。悠香ほどではないからな。だから目のハイライトオンにしてくれ。悠香は俺の顔をハイライトオフの目で見つめてくる。そんなに見られると照れちゃうと思いたいが、目のハイライトが働いてないせいでなにもやってないのに恐怖心がでてくる。
お医者さんと看護婦さんは気にせず俺のことを軽く診察して、問題ないと判断して、すぐに出ていった。その頃には悠香の警戒心も解けていた。
「悠香これから無茶をするかもしれないが、そこはおあいこってことでこれからもよろしくな」
「死にそうになっても死なないでね」
「善処するわ。それであれからどうなったんだ?」
「魔術師の方は最初に戦っていた方は逮捕できたけど、最後に戦っていた方は逃げられたらしいよ。後あの男は捕まって、少年院に行った後刑務所だって、五摂関家のうちに手を出したから、さすがの政治家の息子といえどお金で解決はできないからね。私達を忘れるくらい長く服役をしてくれると嬉しいんだけど」
あの魔術師やはり逃げたか。恐らく狙いは俺の抹殺かもしれないし、悠香の血筋がいいから誘拐の可能性もあるな。これから大変なことが起きるかもしれないが、悠香のことはこれからも死ぬ気で守ろう。そう思いながら悠香の笑顔を見て、悲しい思いはさせないと誓った。このときは一大事件が起こるとも知らずに。
ヤンデレ幼馴染みのせいで彼女できない 作家目指すもの @Ronisei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます