第14話
やがてお医者さんと看護婦さんが来た。どちらもほっとした感じの表情をしながら検査をし始めた。まぁいくら推測できるとはいえ、目覚めてなかったらお医者さんの責任になるし、不安にはなるよな。まぁ俺はお医者さんを攻めたりはしないが。みんな時間を削って患者さんに向き合っているんだから。横暴だったり、ナンパしてたら軽蔑するが。
「問題ないみたいだね。これなら一週間ほどで退院できるよ。でもこんな無茶をもうするんじゃないよ?もう少し心臓に近かったら死んでいたかもしれないんだから」
「お医者さんは大切な人が死にそうになったら助けますよね?それと同じで刺されそうになったらどんな無茶でも助けます。なので忠告は聞けないです」
悠香には命を助けて貰ったが、ああいうことはもうやらないで欲しい。きっとそれでも義弘くんのためならとやるんだろうが。そんなことをしてたらいつ死ぬか分からない。悠香には楽しい人生を送って欲しい。だから俺は自分の身は自分で守れるようにしたい。きっとそれが一番悠香を危険に晒さない方法だ。
「そうかい。まぁ言ってることは分からなくもないね。でもそれだといつか自分の身を滅ぼすよ」
すると悠香は俺を見て優しく微笑んだ後、お医者さんの方を向いた。
「そうなったらそれまでの人生ってことです。それに本当にやばくなったらきっと義弘くんが昨日みたいに助けてくれますから」
すごい信頼をされてるな。だが悠香がピンチの時はきっと俺も側にいるはずだ。それなら何がなんでも助けよう。これがある事件を起きたときにそうなることをまだこの時の俺は知らなかった。
やがてお医者さんは納得して病室をでた。すると俺は悠香を見た。もう一回抱きついてという感じに笑顔で構えている。俺ははぁーと溜め息を吐くと、悠香を胸元に寄せて、頭を撫でた。
すると悠香気持ち良さそうに目を細目ながら涎を垂らしている。それをもし悠香のファンが見たら即倒するだろうな。俺には見慣れた光景だが。悠香は変態な節があるからな。まぁヤンデレ化したときは雰囲気が一変するが。禍々しい霊気を纏わせるからな。まるで恋人を取られた悪霊のような。だがらほとんどの俺に近づいてきた女子はそれで離れていく。いつ彼女ができるやら。それの妹とも徒党を組んで他の女子に対抗してるし。
ある程度の時間撫でると、俺は頭から手を離した。すると悠香は満足したような笑みを向けた。普通に笑みを浮かべると、こっちがドキッとするんだよなぁー。
「そうだ、義弘くんマッカン持ってきている?」
「俺がマッカンを常備してない方がおかしいだろ。もちろん持っているぞ。昨日は飲む気分じゃなかったから四本今手元にある」
「一本ちょうだい。無性に甘いものが飲みたい気分なんだー」
「いいぞ、フッはまっても知らないがな」
俺はマッカンを出した。氷の呪術で冷やしてあるからギンギンに冷えている。霊気の無駄遣いだって?マッカンが温いのと、霊気を貯めるんだったらマッカンに消費するわ。というか、マッカンを飲めばなぜか霊気が回復するんだがな。だから霊気自体はすぐに戻るから大した問題じゃない。
悠香はプシュっとマッカンを開けると、ごくごくと飲み始めた。甘かろう。この甘さが癖になるんだがな。これより美味しい飲み物は存在しないってくらいな。
「ぷはー喉に絡み付くようなこの甘さ最高だね。義弘くんがはまるのも分かるよ。頭に糖分がいってスッキリするし、霊力が活発になっているのがわかるよ」
「そうだろ。マッカンはもっと広がるべきなんだ。それにマッカンを飲むと霊力が回復するから陰陽師も常備すべきだろ」
陰陽師が持っておけば自分より強い妖怪や悪霊や鬼にも勝てるだろう。霊力っていうのはそれだけ大切なのだ。だから俺は何があってもいいようにマッカンを常備している。
「そうだねー。この美味しさなら広がってもおかしくないはずなんだけど、なんでだろ?」
「甘すぎて親が禁止してることが多いからじゃないか、練乳入りまくっていて、糖尿病になるし」
「練乳入りすぎだもんね。まぁこんなに甘かったら親は飲ませたくないかも」
だが子供は甘いコーヒーから入るべきなんだ。それにはマッカンが入りにはちょうどいいだろう。まぁこれを飲んだらブラックは飲めなくなるかもしれないが。コーヒはこいうものだ子供が思ってしまったらブラックは苦すぎだろうからな。俺は一応ブラックは飲めるが朝に目覚めのために飲むくらいだ。
「なにか食べたいものはあるか?買ってくるぞ」
「ポテチが食べたいなぁー」
悠香が好きなのはカラムーチョだよな。あれはなかなか美味しい辛さをしているから俺も好きだ。
「分かった。あんまり出歩くなよ。ナンパされるから」
悠香みたいな可愛いやつが出歩くと、可愛い子があまり入院なんかしないから、悠香みた瞬間ナンパをしてみるだろう。悠香はそれだか飛び抜けて可愛いからな。
「ふふ、私を取られたくないんだね」
「少なくともその辺の男にはやらないぞ。イケメンでお金持ちじゃない限りな」
じゃあ行ってくると言って俺は病室を出た。
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