第40話

「それでどう美味しかった?」


お弁当を食べ終わった悠香は顔を赤くしながら聞いてくる。恐らく俺の使ったスプーンを使ったことで興奮してるだろう。とんだ変態だな。あれじゃ間接キスじゃなくてほぼキスだ。だがそんなことを言うとそれじゃキスをしても一緒だねとか言ってキスをしかねないから言わないが。本当のキスは付き合ってないのにやるのは余計に噂に尾鰭が付く。


「美味しかったぞ。ちょうどいい辛さだった」


花梨みたいに血をいれたりしないから変な味をするものもなかったし。なんで花梨はお弁当だけに血をいれるんだろうか?普通の夕食は血をいれないのに。


「ふふ、研究した甲斐があったよ」


正直中華料理屋にでてきてもおかしくないくらいの味だった。料理の腕もどんどん上がっているな。やだ胃袋捕まれちゃってるわ。まぁ女子は料理が全てじゃない。魅力のひとつではあるけど。だからそんなすぐに惚れたりなんかはしない。これで惚れていたら俺は今頃花梨にぞっこん中だ。


「そうか、本当に美味しかったから毎週よろしくな」


まぁあーんはもうこりごりだが。あんな人を殺すような目でみられたくないし。嫉妬って生き霊とかぶつけられるのはごめんだしな。まぁ祓うことはできるが。


「ふふ、毎日でもいいんだよー。むしろ夕食だって」


「毎日は勘弁だ。一人の時間も欲しいからな。それに夕食は花梨の料理を食べたいからな」


毎日悠香と食べていたら、周囲に付き合ってると完全に誤解される。そんなことになったらかの序できるのが遠退く。高校生の時に青春をしたいからな。


「まぁそれなら仕方ないね」


俺たちはベンチでその後談笑をしていた。相変わらず嫉妬の視線は痛かったが。そしてお昼休みが終わり俺たちは自分達の教室に戻った。すると隆弘がこっちをにやにやしながらみていた。


「なんだよ」


「いや熱々だなー。やっぱり二人は似合っているぞ」


「それは嬉しいが、俺はなんとしてでも別の彼女を作るんだ」


それに悠香にはもっとお似合いのやつがいるだろしな。スマイル級のイケメンとか似合うだろう。そして俺はスマイル級のイケメンとイチャイチャしている悠香を想像した。少し心臓がズキッとなった。俺がショックを受けているのか?いやこれは悠香に助けられたから少し好意があるのと、大切な幼馴染みだからだろう。それ以外にショックを受けたりしない。


「なんでそこまで違う人を彼女にするのにこだわっているんだか」


なんでだろう?確かに姉にしか見えないのは確かだ。だが好意がないわけじゃない。やっぱり幸せにできる自信がないからだろうか?それと愛しているまでいかないから悠香に失礼だと思っているのかもしれない。それだけ大切に思っているってことだろうが。


そう思っていると、チャイムが鳴った。次は数学かよ。だが今日の俺は花梨に数学を教わっていつもの俺とは違う。だから今回はしっかり授業を受ける。花梨ノートとノートと教科書を取り出した。今日は当てられても答えられるぜ。




やがて数学が終わった。今日は当てられても答えられてビックリされたな。お前義弘か?と言われたときは失礼だなと思ったが。まぁ俺でも結構難易度のたかあ問題だったから驚いている。


「あ、義弘くんの今日は数学すごかったねー」


「まぁ妹に教わったからな。これで答えられなかったら妹に顔向けできないからな。それに美月だって分かっただろう。あの問題」


「うん分かったけど、あれは数学苦手な人が答えられる問題じゃないよー」


美月に誉められて悪い気はしないな。むしろ天使に誉められて気持ちが有頂天になりそうだわ。天使って存在してるだけで影響を与えるのにさらに天使から干渉してきたら嬉しすぎるだろ。美月はにこにこしていて、悠香とは違った感情を抱かせる。これが恋か?この心の奥底がポカポカする感じ。


「ありがとな。美月に誉められたからもっと数学頑張ろうと思ったわ」


目指せ定期テストで80点!花梨にもっと教わるか、それとも悠香に教わるか。花梨もテストが近いし、余裕の持っている悠香に教わるか。


「それでやる気出すならいくらでも応援するよー。頑張れー義弘くん!」


腕を頭の上に突き上げた。可愛い。やっぱ天使は何をやっても可愛いな。もう美月の可愛さならアイドルになれるんじゃないか?それなら俺はファン一号になろう。


「ありがとう。お陰でやる気がでたわ」


今ならなんでもできそうな気がする。それだけ天使に応援されるってことはでかいのだ。数学て高得点取れたら頭を撫でてくれるだろうか?ましそうなら絶対に高得点を取る。


「それならよかったよ。いつでも応援してるからねー」


「義弘くんなにデレデレしてるの?迫の女はやはり悪魔だね。私の義弘くんを惑わすなんて。始末した方がいいかな?」


そう言って、悠香は俺の腕に抱きついた。すると美月は少し不満そうな顔をした。多少の好意を抱いてもらって俺は嬉しいよ。美月の好きな人はやはり神なのだろうか?美月は天使だから。そんな関係ないことを考えたくなるほど悠香と美月はバチバチしていた。





















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