第46話

「そっかそれならいいや」


ハイライトオフ状態から普通の瞳に戻してくれた。どこにヤンデレになる要素があるか分からないな。とりあえずあまり悠香がとなりにいる時は女子をみないようにしよう。視線で気づかれるからな。嘘を着いても悠香は感が鋭いし、すぐにばれるだろうしな。


「みりんレモンケーキ楽しみだな」


ここはあえて話題を変える。ぼろをもろしちゃいそうだからな。話題転換は戦略的撤退とも言う。悠香は気にした様子もなくその話題についてきた。


「そうだねみりんがどこまで効いてるか楽しみだよ」


「それにしても店内涼しいな」


「私の霊気とはまた違ったなんと言うか自然の涼しさというか」


だがエアコンが効いているといった感じじゃない。まさかあの妖怪の妖気か?そこから推測すると、雪女か?ちょうどいい涼しさなのは調節できてるからか、それとも半妖だからか。まぁどっちにしてもあの妖怪が関わっているのとは間違いないだろう。


「恐らくあの店員さんの影響だろうな」 


冬とかかなり寒くなるよな。冬は働いていないのだろうか?半妖だったら夏でも普通に過ごせるんだな。雪女って東北のほうにいたはずだ。わざわざ千葉県に来るなんてな。よっぽどやりたいことでもあったんだろうか。


「ん?どうかしましたお客様」


そう言って店員さんが近づいてくる。どうやら無意識のうちに店員さんを眺めていたらしいな。悠香は理由が分かっているからなにも言ってこない。


「あなた雪女ですか」


「ええー!なんで分かったの?たゃんと妖気は隠してたはずなのに」


「いや妖気が少し漏れてたからな。俺は陰陽師だからそいうのに敏感なんだよ。普通のやつなら気づかないと思うから大丈夫だと思うぞ」


「え?陰陽師?それって私を退治しに来たとかそいうのじゃないよね?まだアイドルとして成功してないのに死ぬの嫌だよ!」


アイドルになるために上京して来たのか。それならこの美貌も東北から来たのも納得だ。まだ成功してないってことは地下アイドルか?今度行って見るか。


「今日来たのはたまたまだ。だから退治しに来た訳じゃない」


「まぁ私の義弘くんに手を出したら火炙りにするけどね」


無表情で言うな。こっちが敵意ないと言ってるのにそんなこと言ったら疑っちゃうだろ。店員さんは混乱してるぞ。お陰で気温が安定していない。寒くなったり暑くなったりしている。


「落ち着け店員さん。俺達はなにもしないからな」


すると温度は落ち着いた。マジで一瞬冬かと思うくらい寒かったわ。これが本物の雪女の妖気。これ冬だったら凍死してたわ。今が夏でよかった。


「フゥーごめんねとり乱しちゃった?なにもしないよね?」


「なにもしないから安心しろ。今は夏だからいいが、冬にバイトするのは厳しくないか?冬だと店内寒くなるだろう」

 

「まぁ冬は働いてないよ。アイドル活動があるからお金には困ってないし。働いてるのも人間界の勉強のためだしね」


社会を知りファンのこのみを知るか。でもなんで東京じゃなくて千葉県なんだ?いや千葉県は好きだが、上京するとなるとやっぱり東京じゃないのか?


「なんで千葉県なの?東京の方がライブも多いでしょ」


「ああ、それはねー千葉県が人も少なくて落ち着くって同じ半妖の人が言っていたからだよ」


その半妖はよく千葉県のことを理解してるじゃないか。今度話し合いでもしたいな。悠香がいない時に。いたら間違いなくヤンデレ化するからな。まぁ妖怪が好みって訳じゃないから付き合うことはないが。千葉県を語り合いたいだけだ。


「おーい唯衣ちゃんみりんレモンケーキできたよー」


「はーい今行くねー」


そう言って厨房に向かった。するとみりんレモンケーキを唯衣が持ってきた。見た目は黄色か。なかなかに甘そうだな。コトンとみりんレモンケーキを置いた。

 

「これみりんレモンケーキになりまーす。うちの看板メニューだから味は間違いないよ。すぐにカフェオレも持ってくるね」


そう言った再び厨房に向かった。悠香はそれを撮った。


「これなかなか映えるね。インスタとXに投稿しよっと」


まぁ確かに映えるな。これで味も美味しかったら文句無しだ。看板メニューって言っていたし期待はさせてもらうぞ。みりんがどこまで効いてるか楽しみだ。俺達はいただきますと言って食べ始めた。口にいれるとほのかなみりんの甘さが口に広がった。


「美味しいな」


「そうでしょー。これみんな食べるとみりんって美味しいんだねと言うんだよ。普段みりんは料理に使うけど、そこまで味はしないからね。ちょっとしたスパイスみたいな感じだからね」


確かにみりんは甘いときいていたが、思った以上だった。これならみりんのお酒とかも飲めそうだ。アルコールがそんなに強くないから、最初のお酒にはちょうどいいかもしれない。


悠香はほほを綻ばせてる。それだけ美味しいってことだろう。


「うーん美味しい。これならみんなに勧められるね」


恐らくファンに勧めるだろう。フッ千葉県がもっと有名になっちゃうぜ。ファンが押し寄せて、千葉県のよさを知ってな。このまま住民も増えて、税金も入ってウィンウィンだ。唯衣はニコニコと俺達が食べてる様子を見ている。そんなに人が食べてる姿はいいのだろうか。


そう思い、俺も悠香の様子を見る。ほほに手を当て美味しいと言っている。確かに見てる方は可愛いと思うかもな。











 










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