第12話
俺は意気消沈としながらいっしょに救急車に乗った。悠香の腹部からは大量の血が流れていたから呪符を使って呪術で血を止めると、お医者さんは驚いていた。まぁ普段呪術なんて見ないだろうし、いたとしてもファンタジーで虚構の存在だと認識してるだろうし。なんとか血を止めて、腹部の傷は小さくなった。完全には治せないか。それより臓器には呪術は効かないからそこが傷ついてないか心配だ。お医者さんの腕を期待するしかない。
悠香を見ると苦しそうにしている。お願いだ神様悠香は死なせないでくれ。俺はまだ悠香になにもしていない。助けてもらったのにだ。そうこうしてると、病院に着きICUに入った。
「彼女さんは絶対に助けますから、安心して待っていてください」
俺は外で待ちながら、無事を祈った。今悠香の両親は九州に視察に行ってるし、すぐには来れないだろう。きっと両親は今にも会いたい気分だろう。どういう顔を会わせればいいんだ。あそこで油断をしなければこんなことにはならなかった。だが助かったのは事実だ。だから祈ることしかできない。なんとか何事もなく無事でいてくれ。
俺は神様に祈っているといつのまにか手術が終わった。そしてICUからお医者さんがでてくる。
「悠香は無事ですか!」
俺はお医者さんに駆け寄った。するとお医者さんはニコッとすると無事だよと言った。
「もう少し心臓に近かったり止血をしていなかったら危なかったよ。呪術と呼ばれるものも侮れないね」
「良かったです。ありがとうございます」
どうやらあそこで呪術を使ったのは間違いじゃなかったようだ。俺は安心して床にヘタリ座った。良かった。ほんと無事で良かった!早く悠香に会いたい気分だが、時間を見ると夜になっていたので、取り合えず帰ることにした。俺は悠香の分のバックを持って、家に帰る準備をした。するとお医者さんが話しかけてきた。
「明日に目覚めると思うから、明日朝イチできなよ」
「はい目覚めたとき俺がいるようにします」
そう言って帰った。取り合えず助かって良かった。もし少しでもずれていたらと考えると恐ろしい。明日は一番に出会えるようにしよう。そのために家帰ったらすぐに寝ないとな。今日は花梨は友達の家に止まりに行っていて俺一人だから夜ごはんは作るか、買うかだが、作る気力はないので買うことにした。
近くのセブンで麻婆豆腐丼を買うと、それをもって家に帰った。家に帰ると、鍵を開けて中に入る。そして麻婆豆腐丼を温めて、できるまで携帯をいじっていた。するとあるニュースが目に入る。どうやらさっきの事件の詳細が書いてあるようだ。一人は陰陽師の家系で落ちこぼれて、悪いやつと絡むようになった強い。恐らくあの俺が気づかないで接近してきたやつだろう。あれをいい方向に使えればきっと役に立っただろう。
「落ちこぼれると他人が悪いってなるからな。何人かそいう幽霊も見て来て、そいつら末路は怨霊になっていたから、この人はちゃんと更生してもらうことを願うか」
そう思っていると、麻婆豆腐丼ができたので、俺はそれを食べた。いい感じに辛いな。辛さで悠香を思い出した。無事とはいっていたが、臓器は大丈夫なんだろうか?障害を抱えなきゃいいが、もし抱えたなら俺が責任を取る。悠香は俺のせいでこうなったんだから、もし大丈夫でもなにかひとつなんでも言うことを聞こう。
そう思っていると、食べ終わったでごみを捨て歯磨きをして、お風呂に入り、パジャマに着替えて別途に横になり寝た。
「義弘くん!よくも義弘くんをぼこぼこにしたね。許さないよ。きっと私に好かれているのに嫉妬したんだろうけど、私は義弘くん以外に靡かないよ」
ああ、この夢はイケメンに嫉妬されていじめられてた夢だな。なんとか数日間はごまかしてきたが、発振器を鞄につけられて、場所がバレて、イケメンをハイライトオフの目で怒りを宿していたんだよな。このときはヤンデレの兆候がでていた。
「こんなデブのどこがいいんだよ。俺の方がイケメンだろ」
「見た目だけしか取り柄のない人なんか興味を抱くはずないよ。取り合えず君達はぼこぼこにするよ」
「悠香、俺はいいから喧嘩はするな。悠香がぼこぼこにされるところはみたくない」
「大丈夫だよ。私古武術を習っていて強いから。こんな雑魚に負けたりしないよ」
「でも相手は男だぞ」
「へへ、俺が勝ったら俺のものになってもらうぞ」
「いいよ、だって私には勝てないだろうしね」
「いくぞオラー」
イケメンは悠香に向かって躊躇いもなく殴ってきた。だがそれ腰を屈め避けて、男の腕を取って、背負い投げしたあと、男の心臓付近に霊気のか溜まり放った。
「ぐぅ!」
そう言って男は気絶した。まさか霊気を使えるとはなとこのときの俺は思ったよな。そして悠香は俺に笑顔を向けると帰ろっかと言って手を差し出してきた。その手を握り立ち帰った。
「んうー?ふぅー久し振りにあの夢を見たな。いつも悠香は俺を守ってくれた。今回もだ。いづれこの恩は返さないとな」
俺はパンを食べて、外出する用意をすませると千葉大学病院に向かった。
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