第9話
「俺は今が楽しいし、今のところ一番好んでいるのは悠香だから安心しろ。彼女は欲しいが、美月は憧れであって好きではないからな。幼馴染みとして悠香は特別な存在だ」
すると悠香は目から光を戻して、ほほを赤くしている。そしてくねくねしだした。
「ふふ、大切で一番好きな存在だなんて照れちゃうなぁー。これはもう両思いなのではないかな」
そこまでは言ってないんだが、突っ込むと面倒だから突っ込まないで置く。彼女当分できそうにないな。まぁ近づいてきても悠香に潰されるだけだが。もし残ったとしてもヤンデレくらいだしな。実際にアピールしてくる女子はヤンデレばっかしだし。普通の女子に好かれたいものだ。
そうこうしてると、中華料理屋に着いた。着いた瞬間さっきよりも視線がいたい。ナンパされないように式神を出すと男達は目を背けた。中には震えているのもいる。まぁ鬼を知らないやつからしたらいきなり鬼が出てきたら驚くか。式神は便利だ。もう一人の式神は身の世話までやってくるれるからな。
俺達は列に並ぶと、御鬼が周囲を睨み付けれる。これ店の営業妨害にならないよな?いや鬼がにらんでいたら誰も入らないか。とりあえず止めさせよう。
「御鬼、にらむのはやめろ」
「しかし、悠香様に何かあったら面いや倒なのでは?」
「いや営業妨害のほうがめんどくなる。それにいるだけで威圧を与えられるから問題ない」
「義弘様が言うならそうします」
すると御鬼はにらむのをやめた。だが相変わらず鬼なので、居るだけで誰も話しかけてこない。ちなみに御鬼は俺が作った訳じゃないちゃんとした鬼だ。だから鬼特有の鬼気というものを纏っている。これを大量に放出すると、覇王色の覇気みたいなことができる。人間である俺もできるが結構な霊気を使わなきゃいけないから使うことはあまりない。鬼は少しだしただけでできる。ちなみにそういった霊気を拳に纏うこともできる。
「それにしても相変わらず義弘くんの式神だけあって筋肉が凄いね。服の上からでもマッチョなのは分かるよ。もちろん義弘くんも鍛えてるのは分かるけどね」
「お褒めくださりありがとうございます。鍛えとくのは義弘様の式神として当たり前です」
「これからも義弘くんをよろしくね。もしなにか怪我をしたら、ドウナルカワカッテイルヨネ?」
辺りに霊気を放出させて寒くなった。悠香の霊気の特性は冷気である。だから周囲の温度が悠香の霊気が広がると寒くなるのだ。鬼である御鬼もその霊気にビクビクしている。それだけ陰陽師としての才能はあるだが、無意識で恐怖の霊気をだしているからな。これが意識的にできるようになれば大抵の妖怪は恐れるだろう。
「あんまり威圧するなよ。御鬼が可愛そうだろ」
俺は悠香の頭を撫でながら落ち着くように言った。するとだんだん霊気は収まっていった。気温も元に戻り、それなり暑いぐらいになった。意識的にできれば夏は涼しく過ごせるんだが。
「うふふ、義弘くんが頭を撫でてくれた。今日はお風呂入れないね」
いや入れよ。別に好きなアイドルに撫でられた訳じゃないんだから。それに女子でお風呂入らないって色々不味いだろ。匂いがしたら俺もやだしな。俺は悠香の匂いが好きだし。
「お風呂には入れよ。臭くなるぞ」
「あー臭くなるって女子にいっちゃダメだよ?」
「お風呂入らないとか言うからだろ」
そんなことを言ってると、順番が回ってきたので、俺達は店に入った。そして案内された席に座ると荷物を下に置いた。今日はいつもより荷物が少ないから楽だった。
「何にするか。やっぱりここは中華屋だし、担々麺にするか」
「私も同じのにするよ。辛さは普通で良いかな」
「それじゃ俺は4にしておくか。あんまり辛すぎるのも美味しくないし。すみませーん注文お願いします」
すると一人の女子高生ぽい店員さんが来た。可愛いな。口には出さないが、出すと悠香がヤンデレ化するからな。後胸もでかい。ボブで目が大きい。結構好みの顔だ。なんとかラインをゲットできないだろうか?悠香がいるから無理か。次出会う時に期待しよう。そう思うと店員さんと目が合い優しく微笑んだ。なにそれめっちゃ可愛い。悠香はちょうど見てないところだったから良かった。見てたらヤンデレ化して、店員さんを攻撃していただろうからな。
「それじゃ担々麺3つお願いします」
「畏まりました。少々お待ちください」
そう言って店員さんは去っていた。悠香はアイスのメニューを見ている。いや食べる前にもうアイスなに食べようか決めてるのかよ。いや気持ちは分かるが、甘いものは辛いもの食べた後にすぐに食べたいからね。悠香は鼻歌を歌っている。御鬼はこっちを下品な目で見てくる男がいたら、そっちをにらんで、目線をずらしている。
「義弘くんはアイス決めないの?」
「どのくらいの辛さによってアイスがどのくらい甘いのが良いか変わるからな。俺は後で頼む」
「そうなんだね。私はバニラアイスにしたよ」
オーソドックスだな。まぁ甘いし美味しいが、俺の今の選択肢はバニラかチョコかストロベリーである。それなり辛かったらチョコである。辛かったらその分甘い方が美味しく感じる。
「それより俺の分まで頼んでよかったのですか?」
そう御鬼が申し訳なさそうに言った。まぁ悠香みたいにお金持ちじゃないから、申し訳なく思う気持ちも分かる。だがこれはにらみを効かせてくれる報酬みたいなものだ。
「これはナンパ対策をしてくれる報酬みたいなものだから受け取ってくれ」
「分かりました。それなら美味しく食べさせてもらいます」
担々麺が来るまで、俺達は談笑しながら過ごした。
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