ステータス

 先導するアンスリウム王女の後をついていくと、玉座の間へと続くと思われる扉が見えてきた。


 扉の前には、執事っぽい服を綺麗に着こなしたお爺さんが立っていた。

 白髪だし、顔の皺とかを見る限り60代くらいかな?

 正直海外の人の顔の見分けあんまりつかんから、当てにならんけど。


 え?俺の顔は随分とわかりやすいって?そりゃそうだろうね。

 これだけ、ユニークな顔してたらそりゃ見分けつくでしょうね。

 自慢じゃないけど一度見たら忘れないよ?

 

 やばい緊張しているのか脳内で自虐ネタしか出てこない。

 

 「ようそこお越しくださいました、勇者様方。こちらへどうぞ。国王陛下がお待ちしておりますゆえ。」


 召喚された部屋にあった扉がちゃっちく見えるほど立派な扉を、その執事さんが軽く押す。

 すると重厚感ある扉がスーっと開いていく。

 

 そして俺たちは、執事さんの指示に従い扉の向こう側へ進む。

 床にはフカフカの絨毯が敷いてあり、進むたびに足が少し沈む。

 20m程進むとどっしりとした立派な玉座に1人の男が座っていた。


 そして男が口を開く。


「君たちが勇者か。察しはついているだろうけど一応自己紹介をしようか。私はカイン・イヴェール。この国の王をやっている者だ。まずはこちらの事情で勝手に召喚してすまなかった。魔王討伐後に帰りたいと希望する者がいたら、私も微力ながら協力しよう。」


 王との謁見と聞いて、少なからず緊張していた俺たちはその立ち居振る舞いにほっと安堵の息をついた。


 そして、俺は今一度王をよく見てみる。

 アンスリウム王女と同じ金髪を短く整えている。

 どこか迫力を感じるような気がするのは威厳なのか、この部屋の雰囲気のせいなのかは分からないがとにかく穏やかな印象を受ける。

 歳もおそらく三十半ばくらいだろう。

 王って聞いて勝手にお爺ちゃんくらいの年齢を想像してたからちょっとびっくりしたな。


 それで、と陛下は続けて

 「この世界の事を詳しく説明しようと思ったんだけど、その前にステータスを確認してからの方が色々と理解しやすいと思うからまずはそっちを見ようか。」


 気になって集中出来ないだろうからねと一部の男子に目を遣りながら言う。


 どうやら、ステータスを確認するには心の中で強く念じるだけでいいらしい。 

 それを聞いた途端、皆黙々とステータスを確認し始める。


 俺も緊張しながら心の中で強くステータスと念じてみる。

 すると、ゲームとかでよく見る想像通りのステータス画面が現れる。


【 名 前 】回夜柊かいやしゅう

【 称 号 】異世界人 疎まれる者

       不撓不屈

【 種 族 】人

【 年 齢 】16

【 レベル 】1

【 体 力 】80/80

【 魔 力 】200/200

【 精 神 】−15

【 スキル 】火耐性Lv.3 精神耐性Lv.4   

       危険察知Lv.2 気配隠蔽Lv.1

【固有スキル】ボックス▼



 いや、マジでゲームみたいだな。

 上から順番に見ていこう。

 名前と年齢はいいとして。

 

 種族は人。

 良かったー!魔物とかになってなくて。

 中学生の頃とか化け物とか言われてたから万が一を想像しちゃったよね。

 いじめられ過ぎて、その辺普通なだけで嬉しくなってたわ。


 称号はまぁ、うん分かる、分かるけども。

 称号についちゃうレベルで疎まれてるのね。

 そしてもう一つは、不撓不屈ふとうふくつ

 確か困難にも挫けないみたいな意味だったよね。

 これめっちゃ嬉しい。

 かっこいいし、なんか褒められた気がするし!

 誰がつけた称号か知らんがありがとうと言っておこう。

 

 そして次だ。

 レベルは魔物とかと戦って倒したら上がるんだろうな。

 ゲームとかの鉄板だし。

 まだ見たことすらないからこれは妥当だろう。

  

 体力80は高いのか低いのか分からんな。

 でもまぁ、2桁だしめっちゃ高いってわけじゃなさそうだな。

 平均が分からないとなんとも言えないけどね。

 

 魔力200。うん分からん、保留。

 

 精神−15。これ大丈夫なん?

 マイナスって平気なやつ?

 精神に異常来しちゃってるやつ?

 間違いなく正常ではないんだろうけど、まぁ保留だな。


 そして通常スキル。

 俺獲得しすぎじゃない?

 なんか分からんけど、優秀なのでは?!

 炎耐性に精神耐性……危険、、気配。

 あっ察し。なるほどね。

 これはおそらく体験を通じて後天的に獲得できるやつだね。

 それなら説明がつくし。

 

 火耐性Lv.3は言わずもがなあの火傷のせい?おかげ?だろうな。

 全身焼けてめっちゃ痛かったはずなのにLv.3なのか。

 ふざけんなぶっ殺すぞ。

 もっとサービスしやがれ。

 傷害保険ボーナスでMaxになってもおかしくないだろ!

 見た目こんなんなってんだぞ!!

 おっと失礼。ごめんあそばせ。

 

 精神耐性Lv.4も十中八九、火傷後に自分の全身みてショッキング過ぎて精神崩壊寸前までいったやつと長年いじめに耐え続けたのが原因だろうな。

 

 危険察知Lv.2はいつ何処で殴られたりするのか分かったもんじゃないから、周囲に常にアンテナ張ってたからかな。

 音とかにすごい敏感になってたもんね。 

 危険察知のおかげだったのか。

 

 気配隠蔽Lv.1は学校とか公共交通機関とか人が多いところでなるべく目立たないように息殺してたから獲得したんだろうな。

 

 なんというか…うん。

 全然嬉しくない。

 思ったよりスキルが多くて良かったはずなのに全然嬉しくない。

 まぁ、何も無いよりはマシか。

 良かった良かった。ハハハ 


 そして固有スキル。ボックス?

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る