固有スキル



「…………………」


 あはははは

 参ったな。

 なんかエフェクトとかあるんちゃうの?

 効果音つくようなやつ。何にも無いやん。


 俺固有スキルちゃんと持ってるよね。


 でも確かに使った感覚はあるんだよな。


 厨二病の如くボックス!!と唱えたにも拘らず、周囲に何の変化もなく途端に恥ずかしくなった。


 今だけは一人きりで本当に良かったと落ち着く柊。


「んーとりあえずもう一回ステータス見てみるか。」



【 名 前 】回夜柊かいやしゅう

【 称 号 】異世界人 疎まれる者

       不撓不屈 アンリのおもちや

【 種 族 】人

【 年 齢 】16

【 レベル 】1

【 体 力 】46/80

【 魔 力 】200/200

【 精 神 】−55

【 スキル 】火耐性Lv.3 精神耐性Lv.5 

       危険察知Lv.2 気配隠蔽Lv.1

    雷耐性Lv.1

【固有スキル】ボックス▼

       万物を異空間に収納する。


 魔力消費もないしな。変化なし。

  

 なんか追加して唱えようか?

 我の魂に宿し…的なやつ


 ステータスにも何の変化もなかったが、何かを使ったという確信めいたものを柊は感じていた。

 

 真っ暗な独房の中を注意深く観察していく。


 ふとそこで自分の胸元よりちょっと下くらいに黒いキューブが空中に浮いているのを発見する。

  

 「…………」


 灯台下暗しってやつだね!


 ほらここ地下だし、真っ暗だし、キューブも黒いからさ。

 

 手のひらに乗せて持ってみてもほとんど重さを感じない。


 何か試しに収納してみようと履いていた上靴を手に取る。


 そして収納!と呟くと、上靴が吸い込まれるようにしてキューブの中に収まる。


 え、、便利だけどこの黒いキューブって収納したらずっと出たまんまなの?

 

 カバン持ってるのと変わらなくね?

 

 正直邪魔じゃね?って思ってたら出したり消したりは任意でできました。


 おーーーーと感心するのも程々に色々とこの能力の検証をしていく。

 

 容量。

 これは重さで決まるのか、大きさで決まるのか、数で決まるのか、これは今はわからない…と言うのも収納出来るものが少ない。

 なんせ今牢獄だしね…

 ここから出られたら限界を確かめよう。


 そして、肝心の隷属の首輪。

 端的に言うと外せなかった。

 収納しようと試みたら、俺の首ごと持っていかれそうになって危うく死にかけた。


 それで、俺考えました。

 

 この黒いキューブ。

 

 変形させれば良いのではと…



 だって俺から首輪を物理的に取ることはできないわけよ。


 首輪をTシャツやズボンの如く脱げたら良かったんだけど、そんなの出来ないし。


 だから、この黒いキューブ。


 つまりボックスを首輪だけに纏わせたらよくね?って。


 そしたら俺の首を巻き込まず収納出来るじゃないか!と思ってたんだけど、それがまぁむずい。


 最初はボックス黒いキューブに触れずに魔力を流し込んで形変えようと頑張ってたんだけど、よく考えたら触れても良かったわ。


 だから今は最終的に首輪を外すための予行練習として、鉄格子にボックスを纏わせようと必死に一緒に握り込んでます。


 首輪と違って鉄格子は直線だからさ、少し纏いやすいよ。


 それとこの固有スキルの凄いところなんだけど、まずコスパがえぐい。


 なぜか魔力消費なしで出せるボックス。


 なら俺、魔力要らなくね?とも思ったんだけど、ボックスを変形させるのにしっかり必要だったのでよかったです。


 本来の機能である、収納は魔力消費0で出来ちゃうんだけどね。


 こんな応用、最初から使わせんなって運営に文句言いたかったけど、俺をこんな状況にした張本人が王女運営だったのでしっかりお返しをしようと思います。


 ボックスを使った攻撃技を開発すればだいぶ化けると思うけど、まずは隷属の首輪を何とかしなければどうしようもない。


 どうにかアンスリウムに殺される前に成果を出したいけど、あのイカれ女がいつまで生かしてくれるか…








 


 



 



 







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